プッチーニと言えばまず「蝶々夫人」(ってこともないか)。勘違い系オリエンタリズム溢れる演出を楽しむのも吉。なんと言ってもヴェルディと並ぶイタリア・オペラの大作曲家、「トスカ」「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」「マノン・レスコー」「西部の娘」等、もはや決定的に次ぐ決定的名作オンパレード。プッチーニは聴きたいがオペラは聴きたくないという度し難くひねくれた人には、弦楽四重奏に書かれた「クリサンテーミ」(日本で言うところの菊の花らしい)という手もあり。
フランスに生まれ、アメリカに帰化した今世紀の作曲家。伝統に反旗を翻し、独特のリズムや音色を追究したその姿勢は誰もが決まって称えるが、一方でなぜか決してブームになりそうもない永遠のマイナーという様相もあり。サイレン(低くウゥ〜と唸るヤツだ)と多数のパーカッション、チェレスタ、ピアノからなる「イオニザシオン」には、旋律も和音もないがリズムと強弱により聴き手を虜にする訴えかけを持つ。フルート1本のために書かれた「デンシティ21.5」も有名(これは当然ながら旋律のある曲、珍しく)。デンシティすなわち比重が21.5というのはプラチナを指している。このほか、オクタンドル、アメリカ、砂漠、アルカナ等々、CD1枚に収められている場合多し(たった一枚で代表作のほとんどが聴けてしまう。おトクなり)。CDは結構選択肢多めか。ライヴ・エレクトロニクス系の音楽も。
ハンガリー生まれの大指揮者。アメリカに渡りシカゴ交響楽団の音楽監督に就任、今日の礎を築き上げた。コワイ系指揮者の代表の一人。特に目がコワイ。ちらっと古い映像で見たんだが、あの目に睨まれたら観念して鍛え上げてもらうか、一致団結して反乱起こすかどっちかしかない。
ちょうど(笑)生誕225周年、そしてベートーヴェンを描いた映画「不滅の恋」によって、1995年後半はベートーヴェン・ブームになる予定であった(笑)。やっぱり映画の影響力の凄さっていうのは「アマデウス」のヒットがあってみんな期待大、それでベートーヴェン関係の書籍やら雑誌記事やらイベントやら出てくるわけだが、何と言っても映画がヒットしないことにはしょうがない……。今さらながらベートーヴェンの好き好きベスト3を選ぶとすると、「英雄」、ピアノ協奏曲第2番、同第1番だな、私の場合は。ベートーヴェンのピアノ協奏曲は初期ほどカッコいいと思ってたりするのだ。ま、臆面もなく言ってしまうと、交響曲も協奏曲もピアノ・ソナタも全曲好きなんだが。
バルトークと並びハンガリー民謡を採集、それを自身の語法に取り込んだ作曲家。組曲「ハーリ・ヤーノシュ」が有名だが、これに食い足りなければ無伴奏チェロ・ソナタなんかがいいかも。「管弦楽のための協奏曲」というとバルトークの専売特許と思いきや、この人にも同名の名曲がある(ついでに言うとルトスワフスキにもロジャー・セッションズにもある)。良識的穏健派。教育者としても功績。
ヴェルサイユ楽派の作曲家。宮廷の要職を独占した。「深き淵より」「テ・デウム」他。「王の晩餐のためのサンフォニー」はルイ14世、そしてルイ15世の晩餐の席で毎週演奏された管弦楽曲。王の晩餐のための音楽も今じゃ極東の島国の庶民にポテチをバリボリ貪りながら聴かれてしまうというところがナイスである。
フランスの作曲家。メンデルスゾーン、シューマンのほんの少し前に生まれているわけだが、その管弦楽法は大胆かつ革新的。おなじみ「幻想交響曲」を始め、独奏ヴィオラ付きの交響曲「イタリアのハロルド」、声楽付きの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」や、オペラ、声楽曲などなど。近年、初期のミサ曲がほとんど偶然と言ってもいいひょんなことから発見され、ガーディナーが録音、話題になった。
フランスの作曲家。数年前に亡くなってしまったが、現代音楽において最も作品の演奏頻度の高い作曲家の一人。ヴァイオリンとクラリネット、ピアノのために書かれた「世の終わりのための四重奏曲」は、ドイツ軍の捕虜収容所で作曲、そして初演された(ぼろいアップライト・ピアノが使われたという)。もう一つの代表作、「トゥーランガリラ交響曲」はサンスクリット語で「愛の歌」という意味。交響楽大官能ワールドなり。愛鳥家であり、鳥の鳴き声をピアノ音楽化した(といっても前衛である)大曲「鳥のカタログ」も有名。
フィンランドの作曲家。もう、好きな人はどっぷりとハマってしまい抜け出せなくなるという作曲家。「フィンランディア」や交響曲第2番じゃなくて、第7番とか第6番にハマった人は中毒患者への道を進み、第4番が好きという人は別の方向に進んでいく傾向あり。まずは第5番なんかいいかも。個人的には、初めて7番を聴いたときに「なんて長大な序奏が続くんだろうかっ」と思ってたらそのまま曲が終わってしまったという苦い経験あり(笑) 以来ニールセン派なんだけど、いつか寝返るかも。
イタリア・オペラの作曲家。「カヴァレリア・ルスティカーナ」な人ですね。あとは「友人フリッツ」とか「イリス」とか。
リュリとラモーに挟まれたフランスの作曲家。レオンハルト/ラ・プティット・バンドによるオペラ・バレ「優雅なヨーロッパ」なんかいいっすよ。オペラ・バレ、あるいはレクイエムや「深き淵より」などの声楽曲でも知られる。
ご存じシェーンベルク、ベルクとともに新ウィーン楽派をなす大作曲家。12音技法を駆使し、その音楽は初期のものを除いて、ロマンのかけらもない禁欲的なものだ。後世の前衛作曲家への影響甚大。戦場で流れ弾に当たって死んだんだっけか。無調の音楽を「現代音楽」と呼びたがる人がいるが、生年月日を見れば分かるように、もうはるか昔の人であり、古典。むしろ12音技法なんて今や古臭い、という感覚のほうが普通では。で、マイケル・ナイマンが新しい(笑)
英国の指揮者。バルビローリと言うと紳士のイメージが強くて穏やかそうな感じがするが、LD「アート・オブ・コンダクティング」でブルックナーのリハーサルを行なっていたこの名指揮者の姿はちょっと違う。しつこく何度も同じ箇所を繰りかえさせて、オケに対してもかなり厳しい。名盤の誉れ高いベルリン・フィルとのマーラー/第9番は、オケ側の圧倒的な敬意により依頼されたものだ。
世界一有名な歌手ですね。伝説そのもの。逸話とか豊富な人なのでその辺のことはいろんな本で読めます。関口宏の番組にも取り上げられたし(笑) 私が印象的だったのは、昔「オレたちひょうきん族」の「タケちゃんマン」で(えー、この番組は説明不要だよね>学生の若者)、タバコ屋のおばあさん(モロ日本人)に「マリア・カラスさん」ってテロップが出たってこと。で、そこに「ワハハハハ」と笑い声(録音)が重ねられてたんだけど、ああ「タケちゃんマン」で名前が出てきて笑いになってしまうなんて、すごすぎるなと、妙なところで感じ入ったのである。だってこれは偉大なことだよ、マジに。
今、旬の作曲家かも。年代としては、ヴェルディ、ワーグナーと同年生まれ。フランスの「知られざる作曲家」だったんだが(実際、生前も人前に出ることを好まなかった)、近年では中村攝をはじめ何人かのピアニストが積極的に紹介して知名度も上昇中。リストもそのピアノの技巧を高く評価したと言う。メジャー・レーベルではムストネンがロンドン(デッカ)に「25の変奏曲」を録音している。25、ね。24の誤植じゃなくて(ハ長調が最初と最後に2回出てくるのさっ)。
ロッシーニ、ベッリーニと並んで19世紀前半のイタリア・オペラを代表する作曲家。シューベルトと同年生まれですなあ。オペラ・セリア、オペラ・ブッファ両面で数多くの作品の残した。上演頻度で言うと「愛の妙薬」「ランメルモールのルチア」が双璧か。他に「アンナ・ボレーナ」「連隊の娘」「ファヴォリータ」「シャモニーのリンダ」「ドン・パスクヮーレ」など。
イタリアはフィレンツェ生まれながら、フランス宮廷で活躍した大作曲家。ちょっと前までのリュリの認識はこう。「(当時の)長くて重たい指揮棒を足に落っことしたのが原因で死んでしまったバロック期の作曲家だが、今日では作品はほとんど忘れられている……」 だが、今は違う。「アティス」をはじめとする歌劇、モリエールとのコメディバレ「町人貴族」などで、多くの人たちに愛されつつある。同時代の作曲家マレとサント=コロンブを描いた映画「めぐりあう朝」でもちょびっと登場。実は権力志向の強いヤな奴で、王の庇護の下独占的に劇場作品を書いていたという話もあるが、ともかく300年も作品が生きているのだから作曲家としてはやっぱり天才だ。
ドイツの名ピアニスト。ベートーヴェン、あるいはドイツ・ロマン派の作品、ショパンなどの演奏で知られる。昔の人なんである。
現代を代表する作曲家の一人。セリーと無調にこだわり続ける前衛でもなければ、調性丸出しの快楽主義者でもない。ポリスタイリズム、すなわち多様式主義と呼ばれるその作風はバロックへの回帰もみせつつも厳格さと愉悦に溢れるものだ。合奏協奏曲、あるいは交響曲など録音も数多い。演奏頻度も高い。近年健康状態が思わしくなく心配される。