なんと、この人2月29日生まれである……って話は朝日新聞の天声人語で書かれてしまいました。オペラ作曲家として有名なこの人、作品数も多いが、結構上演される演目は固定化されている(ヴェルディを先取りして「オテロ」なんてのも書いてるのだ)。最大のヒット作はもちろん「セビリャの理髪師」。全曲ばかりじゃなくて、序曲だけでも楽しみ大。
今世紀最大の伝説的テノールときたらこの人。ナポリ生まれ。1903年のメト・デビュー以来、同劇場で16年間に600回以上出演、さらにツアーに235回参加しているという、メトの猛打賞タイトルホルダーでもある。ってことは、平均してメトだけで年間37.5回歌って、さらにツアーで15公演ほど歌ってるわけだ。いや〜、時代が違うとはいえ、働き者です。タフ。
同じ年に生まれたバッハと並べてバロック最後の大作曲家と称せられ、大抵名前もドイツ語でゲオルク・フリードリヒと来るわけなんだが、作曲家としてはほとんどイギリスの人。ドイツからイタリア経由でイギリス行き(そのまま帰化)、有名な「水上の音楽」もテムズ川での船遊びのためだし、「王宮の花火の音楽」はグリーン・パークでの祝賀会での曲、音楽活動の舞台はロイヤル・アカデミーだったりコヴェントガーデンだったりキングズ劇場だったりする。そんなわけでCDにはaにウムラウト付きで書かれることもあれば、HandelともHaendelとも書かれてしまう。器楽から声楽まで、作品数膨大、名曲数多し。映画「ファリネッリ」(カストラート)でも登場、ってまだ見てないけど。
ツェルニーとも書きます。リスナーにとっては超マイナーな、そしてピアノ経験者とっては超メジャーなウィーンの作曲家。お子様のピアノの練習法にも昨今はいろんなのがあるわけだけど、定番と来たら、バイエルをマスターしたらチェルニーの30番ってコースでせうか。で、次は40番、なのか。さすがにあの練習曲は鑑賞用ってわけにはいかんだろうな(って言うほど知らんけど)。ベートーヴェンの弟子ってのも有名。シリアスな作品もあるにはあるが、聴いてないので分からず。
オペラの演出家なので正確には音楽家とは言えないんだけど、重要人物なので入れるしか。亡くなったとはいえ、幸いにも映像ではそこそこ彼の演出によるLDが遺されている。見たことあるヤツから一つ挙げるとモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」。アーノンクールの指揮。こいつは劇場の舞台を撮ったんじゃなくて、セット作って映画的に撮っているので細部までポネルの意図出まくり。二組のカップルの偽装スワップってストーリーだけど(ってそこまで簡略化するか)、物語の構成はaとb、cとdというカップルが、デスピーナとドン・アルフォンソを軸に、時にはaとd、bとcというねじれたシンメトリー、時には男性陣3名と女性陣3名(各々ドン・アルフォンソとデスピーナを含む)を作るわけで、その対称性を視覚的にも表現しちゃうという演出。舞台じゃなくて映画として撮ったから、画面のフレームを自由に切れるわけで、だからこそ可能になった映像で大吉。
イタリア・バロック期を代表する作曲家の一人。1653年と言うと、他にムッファト、パッヘルベルなんかも生まれているという年。で、ヴァイオリニストでもあったコレッリ、作品はコンチェルト・グロッソ、トリオ・ソナタ、ヴァイオリン・ソナタがほとんど。愛称が付いていて有名なのは「クリスマス協奏曲」(コンチェルト・グロッソ集Op6の中の一曲)、それから「ラ・フォリア」の主題と変奏(ヴァイオリン・ソナタ集Op5の中のおしまいの曲)。「ラ・フォリア」の変奏はカッコいい(コレッリに限らんが)。これをバシッとキメた日には、お客さん「もうどうにでもして」状態の熱狂かつ興奮の嵐である、たぶん。
シェーンベルク、ウェーベルンとともに新ウィーン楽派をなす作曲家。何のかんの言っても基本的には無調の人だ。とにかくヴァイオリン協奏曲、美しすぎ。マーラー未亡人の再婚後の娘(ややこしい)マノンの死を悼んで作られた20世紀の記念碑的名作で、まだ聴いていないという方にはジャイアントおすすめな名曲なり。一応12音技法ってことらしいんだが、そもそもの音列が調的に響いてて反則気味って話もある(笑)。バッハのコラール引用もあり。あとはオケものでは「3つの管弦楽曲」、室内楽では「抒情組曲」(カラヤンはじめ弦楽合奏でやる人も多いっす)、オペラでは「ヴォツェック」あたりから。オペラは「ルル」もあって、歌曲もいろいろあるし、そう言えばピアノ・ソナタもあるな。おっ、結構名曲多いじゃん。
チリ生まれの巨匠ピアニスト。しかし、逝去の後、ぱたっと名前を聴かなくなってしまったような気も(ピアニスト版カール・ベーム現象か)。いろいろ弾いてますが、やっぱりドイツ・オーストリア系レパートリーでせうか。ベートーヴェンとかモーツァルトとか。晩年はややヨレヨレ系、でも偉大。
ウィーン生まれの伝説なヴァイオリニスト。「愛の喜び」とか「美しきロスマリン」とか、その種の小品の作曲家として知られるに至ったわけだが、当初彼はその小品の多くを18世紀に残された手稿譜からの編曲として発表していた。1935年になって「実は自分のオリジナルでした」と告白して、みなさんびっくり、という話は有名。で、下に続く
そのクライスラーと同じ誕生日にやはり伝説なヴァイオリニスト、ハイフェッツが生まれているってのが奇遇。ま、もちろん時代はずれるんだけど。これを見ているヴァイオリン弾きは、すぐに自分の誕生日が2月2日かどうか確かめるべし(笑)。ハイフェッツと来たらとにかく人間離れした技巧ってことで、その辺は今の時代こそCOOLと称えられるべきかも。録音、山ほどあり。去年全集も出ました。
イタリアはペーザロ生まれのソプラノ歌手。スカラ座、メトなど世界各地で活躍。50〜60年代にかけてはカラスとイタリア・オペラ界の人気を二分した。レパートリーは、アイーダ、ミミ、トスカ、アドリアーナ・ルクヴルールなどなど。
97年の生誕200周年の際には大々的に取り上げられるんだろうな、やっぱり。この人も夭逝(有名っすね)。それでもリートだけで600曲以上というすごい数の作品を書いている。以前、シューベルトの全作品を聴くべくドイッチュ番号をしらみつぶしにチェックしていたオジサンに会ったことがあるんだけど、そこまで無謀に挑戦すれば立派。
イギリスの作曲家。好きな人はむちゃくちゃに好き、そうでない人はほとんど聴かないという傾向強し。独特の透明感と色彩感が一部に熱狂的支持を受ける。
ブーレーズ、ベリオと並ぶ今世紀の代表的前衛作曲家。積極的に政治的メッセージを作品に盛り込んだ人で、例えば代表作の一つ「断ち切られた歌」(アバド/ベルリン・フィルのCDあり)では、大戦中のレジスタンスの戦士たちが死の間際に残した手紙をテキストに使っている。「ガルシア・ロルカの墓碑銘」ではスペインのファシズムを糾弾し、「力と光と波のように」ではチリの革命家ルシアノ・クルツの死を悼んだ。
モーツァルトの曲にはよくK364とか作品番号が付いてる。Kはケッヘルって読みます(<知ってるって、んなことは)。ケッヘルさんのモーツァルトの全作品年代順目録で付けられた番号。で、時々320dとかってのを見かける。こういう時は大体K6(6は右上添え字)320dなんて書いてある。これはケッヘル目録の第6版での番号って意味。版を重ねるごとに、研究成果をもとに訂正とか追加とか削除が行われてるわけです。黙ってKって書いてあるヤツは第3版での番号というのが通例。第4版、第5版というのも当然あるけどそこでは大きな変更はなくて、第6版で大幅に更新されたので、同じ曲でもK364とK6・320dなんて2つの番号を持つようになった次第。第6版の更新時になるべく番号が変わらないように考慮したため、488と489の間に来るべき作品には488aなんてアルファベットが付くシステムだ。私が学生の時に実物を初めて見たのが第7版。最初は7種類も番号があるんぢゃ学者さんも大変であるなと思ったのだが、そういうわけではなかった。個々の曲について譜例、編成、初演、出版社、注釈等々書いてあって超重量級かつ高価ゆえ、もう電子化するしかないかも。結構、HTML向きなんじゃないの。
生誕110周年なんですね。言わずと知れた世紀の大指揮者。トスカニーニとならび、伝説、というかほとんど神格化。かと言って、もっとも今でも音楽ファンの「通過儀礼」かというと、現状はそうでもないかも。古いモノラル録音を聴いて「現代の指揮者にはなしえない魂を揺さぶる表現」と感ずる人もいれば、表現の濃厚さ(大胆なテンポの変動等々)に「爆笑する」人だって絶対いると思う。ヘンテコだと思ったら思ったで、それでいいんじゃないでしょうか。正直で。時代意識ってそういうもんだってことで。
今世紀のポーランドを代表する作曲家。民族的な語法を用いる一方、音列技法や不確定性といった前衛的な手法も用いた。が、決して独善的な技法主義に陥ることはなく、伝統的な音楽の構成感、たとえば音楽の流れの中での強弱の対比などにも配慮している。録音もかなり多い。特に「管弦楽のための協奏曲」(バルトークやコダーイにもありますね)は近年のヒット曲、かも。