番外編:TVドラマ「それが答えだ!」〜マーラー/交響曲第5番から「アダージェット」

 みなさん、毎週水曜夜9時フジテレビ系列、『それが答えだ!』観てますか?  なんじゃそりゃって、テレビドラマです。いや、私、日頃テレビドラマって全然観ないけど、これはいっぺん観てもソンはないです。

 ひょんなことからこのドラマ、放映前に第1回分の台本を読む機会がありまして、ウケたことはうけてしまったのだけど、もう10年近く前の、小泉今日子がピアニスト志望の音大生の『少女に何が起こったか』というドラマのほうが残念ながらもっとスゴかった。音大のピアノ科の入試課題曲が『トルコ行進曲』(これ1曲のみ。しかもこの楽章のみだったかも)。それから、「毎朝音楽コンクール」(ん!?)の最終課題曲が『革命』(当然これ1曲)と、私でもちょっと頑張ればこの世界でピアニストで生きていけそうかも、な夢のような世界のお話でした。しかも、キョンキョン演じる女生徒はボンビーで、ピアノが買ってもらえず、「紙の鍵盤」で練習していたという設定。ホント、頼むから、テレビドラマにクラシック持ちこまないでくれ〜(と思うのは、お医者さんが医者ドラマだけはやめちくれ〜と思うのと似てるのか、いや、私は別に音楽家ではありません)、なんてしかつめらしい発想もぶっとぶほどすごかった。完全に作ってるほうも遊んでる〜ってわかったし。

 で、『それが答えだ!』は、主人公は指揮者である。鳴瀬望とかいったか?(すいません、7月16日分の1回しか観てないんで)、演じているのは三上博史で、この人、前に中原中也の役をやってから、すっかりエキセントリックな芸術家の役ならこの人、になったようで、今回も役づくりに励んだらしい。ピアノ弾いてる時の表情なんか、なかなかうまいです。おナルシー系なんだけど、もっとすっげえの(妖怪系とか)がホントのピアニストにもいますんで、むしろひかえめなくらいっす。いやホント。

 鳴瀬せんせは、性格が傲慢不遜、一般常識まる欠け、精神年齢5歳程度、でもやっぱり音楽やらせれば(普段クラシック聴かない人は)うっとり、という、「芸術家、特に音楽家なんてこうに違いないっ!」(あるいは「こうでなけりゃ面白くないっ!」)という、実に健康な解釈に基づいて作られた設定で、おっかないのは、あながち外れてないかもってこと。ホントにいるもん、これに近い音楽家。で、「帝都フィルハーモニー」(!?)の常任指揮者だったのだけど、ワガママ言ってヴァイオリンを一人辞めさせちゃう。すると帝都フィルのメンバーったら、本番に、マエストロが振ってるのに演奏しないでボイコットする。せんせはもちろん、大ショック。いくら指揮者が気に入らなくても、普通ここまでやるかとか、折角聴きに来た聴衆の立場はとか、帝都フィル自体のメンツはとか、そういう常識的なことを言っちゃいけません。で、世をすねて田舎に引っ込み、しかも成り行きで田んぼのなかの一軒家、ならぬ一軒中学校(多分。とてものどかでいいところですが)のオーケストラ部で教えることになってしまう(第1回はここから始まった)。マエストロは「中央のオケで振らなきゃダメなんだ!」とか言ってますが、「ベルリン・フィルで」「ウィーン・フィルで」とまでは言わないところがなかなか謙虚です(中央のオーケストラもなにもあなた、地方の中学だってば)。外国出て行くほど実力なかったのね、とか、どこのオケも拾ってくんないって不自然すぎとか、そゆいぢわるな想像をしてはいけません。どうしたわけか指揮者の仕事もロクなのが来ないようです。それにしても、都立高校でもオケ部のあるところは少ないのにとか、なにも中学のオケで教えなくてもとか、そういう常識的なことは考えないでください。この中学、ひとクラス(25人くらい?)しかないらしく、つまりクラスほとんど全員オケの部員で、それにしてもなぜこの人数でオケなんだ、ブラバンが普通だ、とか、だから、そういう常識的なことを言っちゃだめ。
 しかも、部員たち、つまりこのクラスの生徒たち、名前が和音(ただし女の子)、楽人、弦太、などなど、親が「子供は音楽家にっ!」という人たちばかりだったのか!とか、そゆこと言っちゃだめだってば。

 今週は、チェロの中坊男子とマエストロがもめるのですが、男の子、かんしゃく起こして楽器をぶっ壊してしまいます。ああっ、部活費用はどこから出てるんだぁとか、そういうことを言うなって。でもって、体育教師の代わりに体育の授業を見ることになるのですが、バスケがぜんぜん出来ないマエストロは、チェロはヘタでもバスケはうまい男子生徒へのイヂでもって、必死に練習します。この生徒はどうしてオケやめてバスケやんないの? 可愛いし、スラムダンクだぁ〜なんて疑問(妄想?)を抱く間もなく、結局せんせと男子は連弾で和解します。さすがに鳴瀬せんせはピアノ弾かせれば、男の子もうっとり。
 それにしても、どうも、このマエストロ、中学生よりも幼稚なんで、中学で少し人格形成に励んだほうがいいようです。多分、この物語はマエストロ鳴瀬望の成長物語なんじゃないのかな? と思うのだけれど、展開は如何に(って来週も観るのか?)。いや、揚げ足取るつもりはありません、ほんとに。実際のクラシック界のほうがおそらくこのドラマのなかよりもはるかに隠微面妖怪奇、魑魅魍魎の世界だったりしそうだし。

 とまあ、なかなか楽しい番組でありますが、常識あるクラシックファンにご覧なさいと言っても観てもらえなさそうではあります。いや、でもテレビの力は大きくて、これでクラシック聴いてみようと思う人が増えればそれも良いのではないでしょうか。なんちて優等生〜な言辞を弄しつつ、ただ、頼むからマーラーのアダージェットだけは使うのやめてえ。ヴィスコンティのイメージが強すぎて、あまりのギャップにのけぞってしまう。ちなみにテーマ音楽のピアノは若林顕が弾いていて、たしか日フィルも協力してたと。(97/07/18)


番外編その2:TVドラマ「それが答えだ!」

 ご好評につき、『それが答えだ!』第2弾(いささか悪ノリ?)参ります。うっかり今回(23日)も、ワタクシ、観てしまいました。これ、傑作ですやっぱり。地団駄ふんで(?日本語がヘン?)笑い転げてしまった。次回も観ちゃうかも。

 まずオープニングですが、毎週違うのかな? 今週は、マエストロ成瀬が、なんと、校庭をグランドピアノに紐かけて引いて来る、というもの。私は一瞬『巨人の星』の星飛雄馬かと思いました。あの、校庭を均(なら)すローラーを引いて来るヤツ。「おーもーいーーーこんだーら」のあれです。あれであのローラーを「重い“コンダラー”」というものだと思い込んだ人が何人かいた、という伝説を残したオープニングですね。この番組って、スポ根ならぬオケ根なのかっ? と度肝を抜かれてしまった。

 とはいえ、もしかするとガキのオケってほんとに「オケ根」かも。私が3ヵ月でやめた高校オケ、朝練、昼練、もちろん放課後も練習。合宿行くと一日18時間弾くそうで、先輩には絶対服従(今考えりゃ1歳しか違わないのにバカすぎ)。「ボーイング100本っ!」「はいっ!」「ああっ、私の弓に画鋲をしこんだの、誰?」「誰かが私の松脂を隠したわっ」……は冗談ですが(会話の部分だけですよ、冗談は)、私みたいな気ままものには、とってもつとまらず、恐怖の合宿前にさっさとやめよーとしたら、辻村ジュサブローの人形そっくりの3年の女子コンマスの強烈なイヤミが……ああ、感動の高校オケ部物語。「オケって、文科系の部のなかでは唯一、体育会系なんですよね」と某氏に指摘されたが、実に言い得て妙である。しかし要するに私はオケで楽器を演奏するのがさほど好きじゃなかったんで、単に好みの問題かも(そんならオケ部に入るなよ)。いまだに交響曲よりもピアノ曲のほうが好きだし。

 ところで番組のほうへ戻って、この中学オケ、コンクールに出ることになりました。で、マエストロ成瀬のマネージャーが薦めたのは「チャイコフスキーの五番かブラームスの一番か」。ぶ、ぶらぁむす? あの荘重なる一番? そ、それは無謀すぎるっ。しかし、マエストロ成瀬は言い放ちます。「ドヴォルザークの七番の楽譜を人数分用意しろ」。「ええっ、ドヴォルザークですか? あれは中学生には難しいですよ」……ピョートルっ、ヨハネスっ、怒れ!……「俺が指揮するからには、必ず優勝してみせるっ!」とマエストロ。しかし、今週明らかになったのが、部員数。実は、この中学のオーケストラ部員は全部で12人!!!だったのです。
 さて、そこでこのオケ部の編成ですが、練習風景から記憶をたどると、おそらく和音ちゃんがコンマス。ヴァイオリンはもう一人いたような。ヴィオラは見たような見ないような、しかしヴィオラなしってことはないですから一人とする。で、チェロは先週マエストロともめた演也(のぶや)君一人きり、これは間違いなし。コントラバスは……いたっけなあ。でも、なしってわけに行かないので一人。あと、トロンボーンと、ホルン、フルートは見た記憶あり。トランペットいたかな? で、ティンパニは一人確実。今週リヤカーで運んでましたから。来週の予告で確かクラリネットが一人いたような。これで、11人。オーボエがいないってことはないよね。で、12人。
 ちなみに、ドヴォルザークの七番の編成は、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦5部です。こ、これをどーやって12人ですませるんでしょうか。

 さて、今週のテーマは女子部員の初恋です。律子ちゃんは実は演也君が好きなのですが、演也君は、夏休み後に転校してしまう和音ちゃんが好きなのです。ところが、マエストロはデリカシーのないことに、練習中に律子ちゃんのラブレターをみんなの前で読んでしまい、しかも、演也君に「おまえは彼女が好きなのか? はっきり言ってやれ」なんて迫ってしまうので、律子ちゃんは大ショック。他の先生たちは「思春期のデリケートな乙女心を傷つけた」と大騒ぎです。で、結局色々と反省したマエストロは、ラストで、律子ちゃんの「恋のお葬式」を演奏してあげるのです(なんだか書いててだんだん情けなくなってきた)。この時、部員を集めて湖畔で演奏するのがフォーレのレクイエムなのだけど、当事者の律子ちゃんはカヌーで湖に喪服?を着て出ていまして、演也&和音もいませんので、演奏者はなんと9人。チェロ抜き、ヴァイオリンは一人。これでも自分の指揮に陶酔してナルシーするマエストロってすごい。なぜかいないはずのコーラスがしっかりとBGMには入ってました。それにしても夏休み後に和音ちゃんが転校すると、コンマスは、ヴァイオリン・パートはどーなるのでしょうか。

 ところで、マーラーのアダージェットは有理子先生(羽田美智子? 英語の先生?)のテーマらしいです。今週もかかりました。「ふるさとで先生やるのが夢だったの。それも、お父さんの学校で」なんて台詞がマーラーにオーバーラップしたりしちゃって、クルものがあります。ちなみに校長先生=有理子の父親は谷啓@ガチョーン。有理子先生はおカタくて、マエストロとは喧嘩ばかり。今週も、デリカシーのないマエストロを「クラシックにだって恋の曲あるでしょう、それがわからなくてどうして指揮なんか出来るんです!」とかなじっていたけれど、実はマエストロにも女にふられた過去があるらしい。この時回想シーンで二人が棲んでいた部屋が出て来る。ああっ、あれは「レコード芸術」! レコ芸読んでる指揮者、いたら手を挙げてください。マエストロ成瀬の現在の住居にも、本棚に音楽之友社の「名曲ガイドシリーズ」がずらり。これはクラシック入門者用のシリーズ。体育の先生(萩原聖人)が受験生みたいに付箋紙はって赤鉛筆で線を引いて勉強しているのも、音楽之友社の大作曲家シリーズ・モーツァルト(読み取れるほど大写し)。小道具さんも大変ですね。

 今気づいたのだけど、このドラマって、『中学生日記』だったのね。そうか、そうか。なるほど。ほんとに、「感動の中学オケ部物語」だったんだ、それが答えだ。そう思えば納得できます。オーケストラと指揮者の物語、と思って観ていると、どのドラマでも最後に必ず出る、「このドラマはフィクションです」に深々と納得し、しみじみとかみしめることになります。毎週番外編『それが答えだ!』でMusiCinemaを埋めるわけにも行かないので、多分これでおしまいです。(97/07/27)


番外編アンコール:TVドラマ「それが答えだ!」

 『それが答えだ!』企画(いつ出来たんだ)が好評で、ぜひ毎週連載してくださいというお便りまで頂いてしまいました。あらまあ、どうしましょう。多分これでおしまいと前回書いたので、今回はアンコールつーことで、これ一回だけ。アンコールあんまり何度もやられるとしらけるもんね。

 さて、『それが答えだ!』第5回。今回の白眉はやはりしょっぱなでしょう。マエストロ成瀬の耳に届く暴走族のちっと調子のハズレたファンファーレ(?あれ、ファンファーレっていうのかな?)。むっ、となったマエストロ、暴走族のあんちゃんたちの前に立ち塞がります。「なんだよぉ、どけよおっさん」「どかねぇと轢き殺すぞ」などというあんちゃんたちの脅しに一歩も退かず、マエストロは言い放ちます。「2番目の音が1オクターブ低いっ! 最後の16分音符をしっかり刻めっ!」(ちょっと違ったか?)……マエストロぉ、あなたステキ! エライ! 私、涙出るほど笑ったある。

 ところで、先週のこの中学オケの編成推測、多少間違ってました。ええと、コントラバスはいません(をい)。ホルンが2人います。オーボエもいないみたい(オーボエのソロがある曲って多いよーな。ま、いっか)。代わりになんだったかはちょっと見損ねましたすみません。今回はクラの奏くんが主役。奏くん、ドヴォルザークの七番のソロ、どーしてもうまく吹けなくて、トライアングルに「リストラ」(はないよなあ。パーカッションの女の子泣いてたよ)されちゃうんだけど、最後はちゃんとクラに復帰しました(このドラマって、“はーとふるこめでぃ”なんです)。

 部員が12人なので、1回につき1人が主役、でもって、最後は見事マエストロが中央のオケに復帰して、これで13回ワンクールかな、と推察してたらどうも違うようです。なぜなら、来週のテーマは、「マエストロ、ウィーンに行っちゃうの?」らしいからです。今週の最後で、ウィーンからエアメールが届いたんだもん。なんと、「ウィーン中央オーケストラ」(相変わらずネーミングがあやしくて嬉しい)から、常任指揮者になって欲しいというお誘いがっ! マエストロがウィーンに行っちゃうってんで、みんなヤケになって楽器壊しまくって(クラなんかまっぷたつ。どうやってあんなに壊せるんだろうと思ったら、ハリボテなんじゃないかという意見も)、生徒たち全員の12嗚咽・号泣・慟哭シンフォニー。

 それで、ソラ恐ろしいことに、マエストロは結局このポストを蹴って、また中学オケに戻って来そうなんです。折角文字通り「中央」のオケからお誘いが来たのに、指揮者としてのキャリアは棒に振るのかっ、いや、棒振りが仕事だっ、わけわかんないこと言ってますが、つまるところ、マエストロ成瀬望、なんていい人なんだっ。ってまだ来週オンエア分だからわかんないけどさ。やっぱり来週も見逃せませんね。

 それはそうと、どっかの新聞にでかでかと載っていたのでご覧になった方も多いとは思いますが、主役の鳴瀬望を演じる三上博史のインタビュー、面白かったですね。あの人、演技がオーバーぎみなので、舞台畑の人だなとは感じていたけど、なんと寺山修司門下の人だったとは、知らなんだ(評価をあげてしまった)。そういや、あのエキセントリックでナイーブな感じ、どこか陰鬱な翳、それらしげ。結構キレてげで面白い人です。テレンス・スタンプみたいな役者になりたいそうで、彼の話になったら、なんと、「いきなり立ち上がって興奮して机を叩いた」とか。
 テレンス・スタンプといえば、何と言っても「コレクター」、それから天使のような悪魔のような闖入者の美青年を演じた「テオレマ」。線が細くてナイーブな感じも似てないこともない、だけど、ああいう俳優は日本でどーやって生き残るんじゃ? とかちょっと心配になってしまった。最近は「パソコン通信のチャット」にはまってたってのも面白い人だな〜と感心しましたが、指揮の演技のためにポルトガル(だっけ?)までモノホンの指揮者についてって、「役者としてはこれ以上の指揮の演技は出来ない。これ以上やるなら音楽の勉強が必要」というレベルにまで達したという自負をもって成瀬望を演じている、というのにも、びっくりしました。
 「鬼気迫る感じを出した」と三上博史自ら語るマエストロ成瀬望、あなたもぜひ一度ご覧あれ。(97/08/02)


番外編ファイナル:TVドラマ「それが答えだ!」最終回

 「それが答えだ!」が9月17日放映分で最終回を迎えました。主役のマエストロ成瀬望(三上博史)、最後は帝都フィルに戻りましたね。ドラマとはいえ、あのまま白山羊中学に骨を埋めてしまったらどうしようかと思いました。それじゃあまりにもウソっぽい。最初に台本をナナメ読んだ時には、挫折した音楽家の重苦しい物語かと思っていたけれど、ぜんっぜん違いましたね。学園ものハートフル・コメディだし、つまずいた指揮者が人生の休暇を取りに田舎町にやって来て、最後は成長して元の世界へ戻っていった、ということで。経験値を得てレベルが上がり、遊び人から賢者へ転職するのかなと思ったけど、最後まであんまり物分かりのよすぎるマエストロにはならなかったですね、よかったよかった。人間、そう根本的に変わるもんじゃありません。

 でもでも、帝都フィルハーモニー交響楽団には戻るのに、ウィーン中央オーケストラの常任指揮者を蹴るなんて、大胆過ぎるう〜、とかいった揚げ足取りは例によって随所に可能なんですが、ドラマにクラシック界のリアリズムを求めても無理というもの。12人のオケでドボ7やろうとしても、コンクールの2週間前にそれをジークフリート牧歌に変えても、3ヶ月前に初めて楽器を手にした生徒も多いというのに、たった2週間の練習でコンクールで審査員特別賞!をとってしまっても、「うっそ〜〜〜」と転げつつ、結局、結構最後まで楽しんでしまったドラマでありました。

 最終回のなかで印象に残った場面と音楽。まず、待ってました、遂にトロンボーンを手にした谷啓@ガチョーン。おそらくこのドラマの全出演者のなかで、本当にその楽器をしかもうまく演奏できるのは実は谷啓だけだったのでは。残念ながら演奏はしてくれなかったけど。ラスト、帝都フィルの「マエストロ成瀬、おかえりなさい公演」。「成瀬望“復活”マーラー……」とあるから、《復活》をやるのかと思ったらやっぱり5番じゃん、紛らわしい。田舎町をバックに延々と流れる成瀬の振るマーラーのアダージェット……お蔭でなんだかもう、ヴェニスに流れる頽廃的官能的なヴィスコンティのアダージェットが、すっかり牧歌的イメージに。タジオのアダージェットのはずが、成瀬のアダージェットで上書き保存されてしまいそう。
 三上さんはずいぶん指揮の練習をしたようで、ピアニスト偏愛系の私にはエラソーなこと言えないけれど、4楽章のアダージェットはちょっと刻みすぎ、だけど、終楽章は結構堂に入ってたかなと。一度も袖に引っ込まずにいきなりおっぱじめたアンコール、なぜかマイスタージンガーもなかなか威勢が良くて、そのまま幕切れ。日フィルが協力してるというのも、局が局だけにすごいなと思いましたけど、ファゴット奏者の方がなんと特別出演なさってましたね。

 ところで「成瀬望CD(?)」(ジャケットが三上博史=成瀬望だそうです)、ン万枚売れたとか。これから私が買う予定のポリーニ&アバドのブラームスのピアノ協奏曲第2番が、一体何枚売れるんだろうと思うと……やっぱりテレビってすごいなあ。

 最後に。ちなみに、私がドラマのなかで一番印象に残った曲。それは、エンディングテーマでありました。「どの街ばヒストリー、どの街ばいアポ〜ロジー」と聞こえて、どこの言葉だ意味が全然わかんないぞと怒っていたら、全部英語だった……Don't know much about history, don't know much about biologyと歌っているそうで……おあとがよろしいようで。(97/09/23)


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