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CLASSICA News and Topics


カラヤン/ウィーン国立歌劇場初CD化ライヴ

 1956年からの8年間、ウィーン国立歌劇場の芸術監督の地位にあったカラヤンのライヴ録音4つがCD化される。軋轢あり、新機軸ありの、帝王カラヤンの黎明期と言えるこの時期から登場するのは、ワーグナー/タンホイザー、R・シュトラウス/影のない女、モンテヴェルディ/ポッペアの戴冠、ピッツェッティ/大聖堂の殺人という、ウィーン国立歌劇場での4演目(いずれもドイツ・グラモフォンから。国内盤4月5日発売)。
 まず「タンホイザー」はこれがカラヤンの唯一の録音。自分で指揮して自分で演出もするカラヤン、すでにスカラで演出経験済みの「タンホイザー」を63年にウィーンで上演したが、この舞台はわずか6回だけの指揮に終わり、その後この作品に取り組むことはなかったというもの。当時の公演評では、演出は叩かれたが、指揮、アンサンブル重視の歌手陣は好評を得ていた。客席の反応も良かった。しかしカラヤンにとってはなぜか以後避けて通るべきワーグナー作品となってしまった。歌手はハンス・バイラー、ルートヴィヒ、ブルヴェンステイン、フリック、エクヴィルツ他。
 「影のない女」もウィーンではいわく付きの演目。R・シュトラウスの権威カール・ベームの指揮が予定されていた同作品を、上演前年にカラヤンが指揮と演出を行うと発表し物議を醸したというもの。結果的に「影のない女」を最後にカラヤンはウィーンの芸術監督の地位を去ることになった。リザネク、トーマス、ホフマン、ヴンダーリヒ、ポップ、ルートヴィヒ他、64年。
 「ポッペアの戴冠」(63年)、「大聖堂の殺人」(60年)はともにカラヤンとウィーン国立歌劇場のレパートリーとして珍しい演目。「ポッペアの戴冠」なんて一体どんな演奏がされていたんだろうかとちょっとコワいような気も。
 いずれもモノラル録音。(98/02/19)

東スポの一面にドドーンとルネ・コロ!

 これはびっくり。2月11日付け東京スポーツ1面大見出しはこれ。「ナイフ少年原宿でカネ強奪/世界的歌手襲撃/ルネ・コロさん被害」と来たもんだ(笑。って笑い事じゃないんだけど)。ベルリン・ドイツ・オペラの来日公演中のルネ・コロが散歩中の原宿で、ナイフを持った少年5人に取り囲まれ財布を盗まれたという事件。ずばり「オヤジ狩り」にあってしまったわけだが、ナイフを用いた少年犯罪がマスコミを賑わしていることもあって、東スポにドドーンと顔写真入りで載ってしまった。大事には至らず警察への被害届は見送られ、コロ自身もこれで日本を嫌いになったりはしないと述べているのが救い。
 それにしても日本が誇る伝説級スポーツ新聞、東スポはやっぱりスゴイ。記事の結びがこうだ。「日本で少年のナイフ事件は連鎖反応のように多発しているが、ついに海外にまで飛び火した」。う〜ん、原宿での事件なんですけどぉ(笑)。(98/02/19)

武満徹作曲賞、本選該当作品なし。リゲティ先生ばっさり。

 これはちょっと感動かも。東京オペラシティによる今年の武満徹作曲賞(旧ネクスト・ミレニアム作曲賞)、なんとリゲティによる譜面審査の段階で、該当作品なし。つまり、譜面審査→本選演奏会→受賞作決定というプロセスで、いきなり譜面審査の段階で全部落ちちゃったわけで、5月に予定されてた本選演奏会は当然中止になるし、「ファイナリスト自作を語る」も開催できないし、おまけにリゲティは手術で来日中止になるし、たぶんオペラ・シティ的には大変。が、ワタシら的には受賞作該当なしってことに感心を持ってるわけじゃなくて、このニュースを伝えてくれたプレス・リリースにあった「リゲティ氏の書簡」ってのがおもしろいのだ。全作品を入念に読んだ結果、なぜ全部落ちたのかって説明に始まって、作曲のスタイルの問題、教育の問題にまで触れており、読みごたえあり。これはきっと東京オペラシティのウェブサイトに同じものが載っているはずだと思って見たところ、本日の時点では載ってなくて非常に残念(プレス・リリースってウェブに載せてしかるべき3大要素の一つくらいに入ってると思うんだが)。「オーケストレーションの勉強をするなら、リムスキー=コルサコフが最重要で、ストラヴィンスキーやラヴェル、ハイドン……などのスコアと書物を読んで学べ、私だって今ケックランの論文を読んでるんだ」「テレビや広告などコミュニケーション技術がもたらした文化の均一化によって、音楽院の重要性は薄まりつつある。教育は独創性を獲得するために不可欠ではない」等々。
 最後には、若い作曲家に向けて「作曲コンクールに優勝するという目先の利益を求めるな」とエールを送っているんだが、こりゃフツーなかなか書けないっすよ、その作曲賞の審査を請け負っている人間は(笑)。リゲティ、立派。このリリース、早くウェブに載せてくれないかなあ。(98/01/21)

music.co.jp その後

 日本初の本格的有料音楽配信サイトとして始まったmusic.co.jp、クラシックではバレンボイム/ベルリン・フィルのライヴで華々しくスタートしたわけだが、その後のコンテンツを見てみると、ベルリン・フィル級の大物はないとはいえ、ずいぶんと増えてきている。重鎮園田高弘のピアノによるベートーヴェン、バッハなどの多数の録音をはじめ、ハイドシェック、梯剛之、天満敦子らのCD音源や、昨年のタンゴ・ピアソラータのライヴ、マリンバの神谷百子ライヴなど、多彩。また、これらの音源の他に、水戸芸術館での園田高弘公開講座からいくつかテキストが閲覧できるようになっており、こちらも興味のある方にはぜひ(ちょっとサイトの作りがうまくいってなくて場所が分かりにくいのが惜しい)。(98/01/21)

EMIに続きグラモフォンからもチェリビダッケが

 録音をしない指揮者セルジュ・チェリビダッケのCDが遺族の協力を得て、EMIクラシックスより大量に出てきたばかりだが、続いてドイツ・グラモフォンからも登場する模様。EMIのほうは80〜90年代だったけど、こちらはもうちょっと前、70年代のシュトゥットガルト放送響時代の録音。とりあえず、ブラームスの交響曲全集ということで、74〜76年の演奏がCD化(3/1発売)。その後は8月にブルックナーの7、8、9番(4枚組)、11月に5枚組でその他の録音を集めたものが出る予定(←プロコフィエフ&チャイコフスキーのロメジュリ、レスピーギ/ローマの松、ラヴェル/ラ・ヴァルス、クープランの墓、等々)。すべてオケはシュトゥットガルト放送響。いや、出るとなったらすごいもんです。(97/12/29)

梶本音楽事務所、ウェブサイトを立ち上げる

 クラシックの大手音楽事務所、梶本音楽事務所(http://www.music.co.jp/~kajimoto/)、ついにウェブ発進。もちろん主催公演の情報中心。98年に来日する演奏家の情報もしっかり掲載されている。まだ作ったところということで、これからさらに拡充されるようなので楽しみ。(97/12/29)

Music Boulevard、新星堂と業務提携、国内盤も販売へ

 CLASSICAの読者様にはおなじみ、オンラインCDショップのMusic Boulevard日本版が、CDショップの新星堂と業務提携、98年春より国内盤も取り扱うことになる。現在扱っている20万タイトル超の輸入盤に加えて、17万タイトルの国内盤が取り扱われる。これでますますオンラインCDショップが使いやすくなってくれそう。購買面で便利だってのももちろんあるが、データベース化されてネット上に載るってのが意味が大きいと見た。(97/12/29)

Music BoulevardとCLASSICAが協力関係に

 自分のサイトの話で申し訳ないんだけど、インターネット上の大手CDショップ、Music Boulevardの日本語サイトと当サイトCLASSICA間で、新しい試みを始めることにしました。本日更新したSyn-chro-nicle この人を聴けっ!のコーナーがその第1弾。これは、CLASSICA内での記事に対して、対応するCDのサンプル・サウンド、ジャケット写真、オーダー・ボタンを連動させるというもの。たとえば、今回のようにポリーニを記事に取り上げた場合、Music BoulevardよりポリーニのCDのサンプル・サウンドやジャケット写真をリンクの形で提供してもらい、同時に同ショップでCDを購入するための「入り口」を設けるというスタイル。実際には、サンプル・サウンドやジャケットは米国Music Boulevardサーバー内に置かれているに過ぎず、CLASSICA内に置かれるわけではない。特にサンプル・サウンドに関しては、米国で著作権上クリアになっているものをMusic Boulevardから配信していることを明確に示すため、常に別ウィンドウを開いて扱う形となる。
 サンプル・サウンドはおおむねmpeg2形式で30秒、100k強からのサイズでやや大きめとはいえ聴いてみればやっぱり聴いただけのことはあるし、オーダーができたり、ジャケットを見れたり、Music Boulevardのデータベースからアーティストのディスコグラフィを引っ張ってこれるのは物欲刺激or充足的に吉ではないかと。ワタシの知る限りでは、現時点でクラシックに関してMusic Boulevard以上のデータベースを持っているオンラインCDショップは他になく、価格も日本への送料を込みで考えるともっとも安価な部類に入るので、サイトがより便利になるものと信じている。
 あ、もちろんCDは全部輸入盤になるっすよ、念のため。(97/11/11)

恐るべし、ニューヨーク・フィル。歴史的放送録音10枚セットCD発売!

 ニューヨーク・フィルのサイト、見ましたか。The Historic Broadcasts 1923 to 1987 ってことでCD10枚組を発売中。このラインナップ、これまで録音のなかったような珍しいものが目白押し。1935年のハイフェッツとトスカニーニの共演によるブラームス/ヴァイオリン協奏曲、ストラヴィンスキーが指揮したチャイコフスキーの交響曲第2番(1940)、グリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲とか、ストコフスキーのメンデルスゾーン/交響曲第3番「スコットランド」(1947)とか、ルービンシュタインのピアノでワルターが指揮したショパン/ピアノ協奏曲第1番(1947)とか、同じくワルターのR・シュトラウス/家庭交響曲(1945)とか……(←そんなレパートリーがあったのかって感じっす)。もうちょっと新しいところではバーンスタインのベルク/3つのオーケストラのための小品(1961)とかクーベリックのバルトーク/青髭公の城抜粋(1981)なんてのもある。まあ、逐一あげてもしょうがないのでウェブサイトへ飛ぶべし。
 それにしても、こういうのってウェブ上でセキュア・サーバー通してクレジット・カードで世界中から買えるのが当たり前みたいな感じになりつつあってなかなか吉。ちなみにウェブ上でのお値段は $185プラス送料。日本のお店でも買えるんじゃないかとは思うんだけど、一応。(97/10/14)

マリア・カラスのカラー映像、しかもステレオ

 マリア・カラス没後20周年ということで、様々なイベントが永遠のディーヴァの業績を称え中。で、なんと、マリア・カラスのLDがカラー&ステレオで発売される(11/27、東芝EMI)。そのソースとなるのはただ一度のカラスの来日公演である74年のNHKホールでのコンサート。ディ・ステファノとともに行った世界ツアーで、当然両者のソロ、二重唱が収められる。もちろん当時のTVはモノラル音声だったわけだが、そこに同日収録されたFM放送の音声を持ってきて(たぶん世界でただ一つの)カラー&ステレオの映像誕生となった次第。ちなみに、NHK-BSでも今月下旬に同コンサートの模様が放映されるみたいなので、とりあえずそっちを観るって手もあり。(97/10/14)

訃報:三浦淳史氏

 こんな場所に載せるのが気がひけるような、悲しいお知らせなのですが、音楽評論家の三浦淳史さんが10月13日逝去しました。享年83歳。
 特に日本の聴衆のイギリス音楽受容において、氏ほど貢献のあった評論家はいなかったでしょう。エルガーやディーリアスやヴォーン・ウィリアムズ・ウィリアムズを知る上で、三浦氏独特の味わいを持った文章は欠かせないものでした。ご冥福をお祈りいたします。(97/10/14)

朝比奈隆のベートーヴェンはDVDで出るそうなんだが……

 ここのところ新聞等でDVD-RAMの規格を巡ってまた一悶着あったみたいな感じで騒がしいんだが、それにしてもコンピュータ用の記憶装置としてのDVDはいいとして、映像再生用としてのDVDってのは、どうなっちゃったんでしょか。いや、いろいろとタイトルが出てるのは分かってんだけど、クラシック音楽という辺境にまではなかなか波が押し寄せないというか、そもそも押し寄せるほどの波がないのか……。とりあえず、ワタシが耳にした範囲で唯一本格的なクラシックの映像ソフトといえるのが(もし他にあるんだったら教えてください)、年末予定の朝比奈隆/大阪フィルのベートーヴェン交響曲全集(ポニーキャニオン)。新録音で、CDとDVD同時発売で快挙かも。なんと6回目のベートーヴェン交響曲全集っていうのもすごいが。
 ここ2、3年くらいクラシックの映像ソフトに関しては、質はともかく量的には寂しくなっているけど、いまだにLD→DVDへのシフトというのがあるのか、あるいは映像再生装置としては現状のLDがこれからも標準の装置でありつづけるのかは、なにしろ市場の小さな分野しか見てないわけだからさっぱり分からず。身近に見かけるDVDソフトっていうと、レンタルビデオ屋で映画「ファリネッリ」のDVDが売られていたり、レコード屋で「エヴァンゲリオン」の案内見たり(これは毎月1枚くらいのペースで先月あたりから売られてる。でも6600円で全7巻ってのもなかなかのお値段っす)ってところで、朝比奈とあわせて「やっぱりコアなファンがいるところからなのね」って印象大。ディスクのサイズが小さいということだけでも魅力あるので、なんとかがんばってほしいもんである。(97/08/26)

スター・ウォーズ! ありがとう、ジョン・ウィリアムズ、マジで。ついでに3種類の演奏を聴き比べてみたりする

 これだけ話題になってるので周知だと思うけど、今年はアメリカ映画のいまや古典となった「スター・ウォーズ」リバイバルの年である。一応おさらいしておくと、20年前に最初の作品が公開されて以来、大ヒットを収めた「スター・ウォーズ3部作」が、特別編として映画館に帰ってきた。20年前にはなかったCG技術によって、初回公開時のカットに新たな登場人物を付け加えたり、ボツ・シーンが復活したりでリフレッシュされており、一般的にはその辺が話題になるわけなんだが、まあそれは何もここで書くことじゃないっすね。現在制作中の「スターウォーズ」超待望の新作(時代設定は第1作よりも前、ルーク・スカイウォーカーの父アナキンの物語となる)の公開より前に、この特別編をリバイバルすることで、ジョージ・ルーカスは「かつての作品の不満だったところを直して」しかも「それで並のヒット作を超える収益を稼ぎ出して」、なにより「新作のためのウルトラ効果的な究極のプロモーション」をできたわけだから、まったく舌を巻くしかないわけなんだが、ここは一発、かの有名な「スター・ウォーズ」の音楽についてってことで。

 いくら第1作目から20年経ったとはいえ、あの「スター・ウォーズのテーマ」を耳にしたことのない人はいないと思う。ましてやガキの頃に第1作目を映画館で見た人間なら(ワタシもそうだ)、「スター・ウォーズ」というコトバを聞いただけで条件反射的にあのジョン・ウィリアムズの壮大な音楽を思い起こしてしまう。スペース・オペラにふさわしすぎるバカに景気のいい能天気な音楽ということで腰がひけてしまうところも当時は感じたけど、今は何の衒いもなく名作であると言い切ってしまおう。その明快さは20世紀アメリカ音楽が生んだ財産かと(そこまで言うか)。ジョン・ウィリアムズのオーケストレーションは抜群にウマいし、音楽は古典的だ。たとえばメイン・テーマにしても力強く男性的な第一主題、優美な女性的な第二主題といったウィーン古典派以来のお約束は守られているし(笑)、メイン・テーマ以外も含めて、その物語と同様、誰にも通じるベーシックな分かりやすさ、美しさに満ちている。実際、第1作を作る際にルーカスはプロコフィエフの「ピーターと狼」のように各テーマと登場人物が結び付く音楽をジョン・ウィリアムズに望んだという。結果的には映画音楽らしく場面と音楽が結び付いているわけだが、それでもルーカスの要望はいくつか実現されていて、「レイア姫のテーマ」や「ヨーダのテーマ」は登場人物そのものと連関し、「帝国のマーチ」も事実上ダース・ベーダーのテーマと言っていい。メイン・テーマは物語の序曲であると同時に、第1作の終曲となる凱旋の場「王座の間とフィナーレ」で変型されて回帰するので、主人公ルーク・スカイウォーカーのテーマでもあると言えようか(なんだかオペラ的でもありますね。スペース・オペラだからってのは全然違うんだけどさ)。これで各人のテーマが、他の曲中にも物語に応じてもっと顔を出して有機的に絡み合ってくれれば、「ピーターと狼」というより「ニーベルングの指環」だと言いたくなるんだが(なにしろ物語が神話的であり、おとぎ話的だから)、さすがにそこまで言うのはムリすぎっすね(笑)。

 で、当然のことながら「スター・ウォーズ」特別編公開に合わせて、日本でもCDが再発売されている。他にもあるのかもしれんが、ワタシの目についたところでは3種類ある(冨田勲のシンセ版は別として)。
 一番新しい録音はジョン・ウィリアムズ指揮スカイウォーカー・シンフォニー・オーケストラの演奏(レーベルはソニークラシカル)。これは90年になって、ルーカスがぶったてたスタジオ、スカイウォーカー・ランチの落成式を機に再録音されたもの。オケはフリーランスのプレーヤーの集まりで、もちろんデジタル録音。3部作から代表的な曲を選択して1枚にまとめている。
 それからオリジナルのサウンド・トラックもある。ジョン・ウィリアムズ指揮ロンドン交響楽団の演奏だってのは有名っすね。こちらはBMGジャパンからリリースされている。が、残念ながらワタシはこれ「ジェダイの復讐」を聴いただけで、CDでは肝心の第1作を聴いていない。
 もう一つ、クラシック・ファンには割と知られてる録音だと思うが、ズービン・メータ指揮ロス・フィル盤というのもある。録音当時のSF映画ブームを反映して「スター・ウォーズ」組曲(第1作の音楽のみ)と「未知との遭遇」組曲とのカップリング(笑)。77年の録音で、キングレコードのロンドン・レーベルから復活。
 この3種、聴けた限りで言うと、それぞれやっぱり演奏が全然違う(おっ、何だかレコード評みたいっすね)。どれが一番ウマいかって言われれば、それはクラシックの名門オケを差し置いてスカイウォーカー・シンフォニー・オーケストラだ(笑)。とにかく洗練された演奏で、薄味ながらもソロはウマいし、アンサンブルもいい。他の録音と比べてオケのメンバーのモチベーションも高い。ただ意図してそう録音してるんだろうけど、弦楽器が薄い、というか後ろにいってて目立たないのでややブラバン化している(最初は人数が少ないのかと思ったけどメンバー表見るとそうでもないんだな)。いずれにしてもクォリティの高さはこれが一番。一方、力強さ、迫力という点ではオリジナルのロンドン響。オーセンティックという意味でもベストだし(そりゃそうだ)、「ジェダイの復讐」しか聴いてないのでナンだが、メイン・テーマの頭でトランペットがヒステリックなくらい高音を強奏するのを聞くと「ああ、これが昔の記憶にあるスター・ウォーズだっ」と納得できる。弦も強力でオケの厚みもある。すべてが洗練されて趣味のいいスカイウォーカー・シンフォニーと、濃い目のロンドン響と、それぞれ持ち味が対照的。変わっているという点ではメータ/ロス・フィル。それなりに指揮者の解釈もあるし(笑)、この中ではクラシック・ファンにとって一番自然なバランスでオケが録られている。ただし、演奏は最弱に雑(苦笑)。ぱっと譜面見て「さらいました」って感じで、音楽の感興は乏しめ。
 って、何を書いてるんでしょか→自分(笑)。77年からのスター・ウォーズ・ブームは直接間接にSFファンを多く生んだ。が、同時にオーケストラ音楽のファンも数多く生み出しているはずで、その点ではジョン・ウィリアムズの功績は今思い返しても大きい(とムリヤリまとめる)。(97/06/18)


インターネットでバレンボイム指揮ベルリン・フィルのライヴを

 聴けるという。それも、5月1日、つい先日の公演を。提供するのは、その名もずばり、music.co.jp。おそらく日本の商業音楽ウェブの中でもっとも本格的な取り組みを行っている企業がここだろう。音楽に関する情報を提供するサイトはいくらでもあるが、なにせ「音楽そのもの」を流そうというのだから。多岐にわたるジャンルで、様々なアーティスト、音楽関連企業が参加し、(基本的に)ユーザーに有料で音楽を提供し、そしてアーティストへ著作権料を支払うシステムの確立を目指す。
 これがビジネスとしてどれだけ成功するか、誰もが真っ先に思うカギは2つ(まあ、他にもあるだろうけど)。まず、どれだけ魅力的な音楽ソフトをそろえられるか。バレンボイム/ベルリン・フィルのようなビッグ・タイトルがこれほど早期に登場するとは正直思ってなかったので、まずは幸先の良い出だしということになるだろうか。次はユーザー側の環境の問題。music.co.jpでは音楽を、RealPlayer、RealAudioPlayer、TwinVQ、Liquid Audioといった手段で送ってくれるわけだが、ユーザー側がそれに対応するためのプラグインなどをダウンロード、インストールしなければならない。それと専用線やISDNの方はいいとして、一般公衆回線を使う場合は、契約しているプロバイダの品質も問われるかもしれない。そして最大のチャレンジは、パソコンで音楽を聴こうという気持ちになってくれるかどうか。
 件のベルリン・フィルは、とりあえずReal Videoによるフリー・サンプルが置いてあるので(これはいいやり方)、まずは体験してみるしか(下のボタンをクリックでGO!)。残念ながら、ワタシの場合、マシンが486なのでRealPlayerの動作条件を満たしていないくて自ら確かめられないんだけど……(なんてことだ!)。(97/05/10)
music.co.jp


デヴィッド・フィンケル(エマーソン・カルテット、チェリスト)、語る

 WWWは音楽家の活動にとっても力となりうるメディアである。と、いったようなことはよく言われるんだけど、やっぱり具体的な実例がなきゃ説得力に欠ける。そこで、興味深い例を。現代の代表的な弦楽四重奏団の一つ、エマーソン・カルテットのチェリストのデヴィッド・フィンケルが自らの録音のためのレーベルを立ち上げ、そのウェブサイトを作っている。レーベル名はArtistLed。エマーソン・カルテットといえばバルトークの弦楽四重奏曲全曲などいくつものCDをドイツ・グラモフォンからリリースしているわけだが、それとは別個に夫人のピアニスト、ウー・ハンと共演したソロのレコーディング活動をこのレーベルで行っている。なぜArtistLedを作ったのか。フィルケルに尋ねてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「ArtistLedは、クラシック音楽界の新しいタイプのレーベルとなるものです。このレーベルの名前がその特徴を表しています。つまり、レパートリーの選択から、どのテイクを採用するかということまで、すべてアーティスト自身が直接コントロールするということなんです。このプロジェクトで優先されるのは芸術的な関心です、商業的な関心じゃなくて」

 サイトを覗いてみたところ、R・シュトラウスの初期の作品チェロ・ソナタとフランクのヴァイオリン・ソナタのチェロ編曲版他のカップリングなど、4タイトルがリリースされていた(当然オーダーも受けている)。音のクォリティも水準を超えたものだという。カルテットでのメジャー・レーベルでの活動に加えて、ソリストとして自らの芸術的な欲求を100%満たせる個人レーベルを持つということは、チェリストにとってある種理想的な環境なのかもしれない。そして、そのまだ小さなレーベルを広く知ってもらうためのメディアとしてウェブほど容易で身近なものはない。「個人レーベル」と言ってしまったが、フィンケルは「他のアーティストによる将来的なプロジェクト」も構想していると語っている。
 アーティストがリードするレーベルの行き先や、いかに。(97/04/11)

珍しくマジメなニュースも書いてみたのだよ。


武満徹アナログvsデジタル

 もう発売されてると思うんだけど、武満徹の「琵琶、尺八、オーケストラのための秋」「ウォーター・ドリーミング」「トゥイル・バイ・トワイライト」「ア・ウェイ・アローン2」を収めたCDが、なんと同じ演奏をデジタルとアナログで収めた2枚組でリリースされてる。DENONレーベルで、沼尻/都響、横山勝也(尺八)、中村鶴城(琵琶)、小泉浩(フルート)っての。同一内容のCDをデジタルとアナログで1枚ずつでセットにして商品化してしまうっていう大胆さがすごい。こうのってオーディオこだわり系の方にとっては貴重なんだろうなあ。2枚で3800円。「うーん、武満作品聴きたいんだけど、オーディオ的な関心は薄いのだ」って方は3月20日にフツーにデジタル録音のみで1枚でリリースされるのもあるからそっちを待てばOKの親切系。快挙なのかも。(97/02/27)

まだ落ちこぼれてないあなたにバーチャ3攻略ビデオ(笑)

 もうダメ。CGの芸術的美しさを獲得した対戦ゲー「バーチャファイター3」、ワタシ的には完璧に落ちこぼれたのだ。バーチャ2の時点でもお気楽初心者の域を出れなかったが、3になってさらにシステムが高度化、街のゲーセンは真剣勝負のためのバーチャ求道者たちの試合の場に。もうコワくてプレイできないので初心者ですらなくなったかも。が、まだ脱落者となっていないあなたに心強い味方が。「バーチャファイター3キャラクター別攻略ビデオ」(日本コロムビア)。VOL1の「葵」に始まり、3月20日にはVOL10「ラウ」、VOL11「リオン」、VOL12「鷹嵐」、VOL13「デュラル」が発売されて完結。各巻30分構成で、エスケープ・ボタン、アンジュレーションのシステム面から、コンボ技・見せ技などの技術面、さらにスーパープレーヤーたちのハイレベル・バトルまで用意。これ、笑えるのが、宣伝用のチラシなんかに書いてある各キャラのサブ・ストーリー。たとえば「ラウ」だったら「第2回トーナメントでアキラに敗れたラウは、大会終了直後、自分の飯店が経営危機に陥っているという連絡を受け、しかたなく厨房に立った」云々ってな具合で爆笑モノ(←本業料理人の格闘家って設定なんです、このキャラは)。つうわけで、求道者たちは見るしか。(97/02/27)

ウィーン・フィルのウェブ&CD−ROM

 フォルカーさんのページでも伝えられているように、ようやくウィーン・フィルのウェブがリリース。ちゃんとその筋の会社に制作お願いしたらしくて、なかなかHTML的にも力の入ったページになっとります(でもせめてYahooくらいには登録しろよ>関係者)。当然レコーディングとかツアーの予定も載っている。録音はラトルのベルリオーズ「幻想」、ヤンソンス/ショスタコ、シャイー/ヤナーチェクとか、例によって定期演奏会と重なりまくりの超多忙楽団向け合理的(すぎる?)スケジュール。ツアーを見ると、バレンボイムのヨーロッパ&アメリカ公演、ラトルとムーティがヨーロッパ。次回の日本ツアーのことはまだ出ていない(今シーズンって区切りだから入ってないんだろな)。←もし日本ツアーの情報載ってたら、案外まだ日本じゃ発表ダメなことなんかが書いてあったりするんじゃないかとイジワルめな目的で見たんすけど。
 ちなみに同ページでは「ニューイヤー・コンサート」を題材にしたCD−ROMの発売も告知されている(現在は独語版のみで2月に英語版が出るらしい)。ちゃんとクレジット・カードで買えるしくみになっていた。日本から購入できるかどうかは不明。内容的にはそんなに目新しいものでもなさそうなんだが、Quick Time VRでムジークフェライン・ザールがグルグル回転させられるみたいなので、これは笑えるかも。推薦コメントをマゼールが寄せてるのもいかにもで吉。
 全然関係ないけど、今年のニューイヤー・コンサートのCDって、オーストリアじゃ1月10日発売って紙のプログラムに書いてあった。むむむ。(97/01/25)

マルチメディア系オペラ&ピアノ教則

 さらにマルチメディア系の話題を2つ。一つはCD-ROM(ハイブリッド)で「オペラのすべて」。永竹由幸さん監修でキングレコードから4月9日売り。ってことは国産タイトルなのか? 全然知らなかったなあ的伏兵系。内容はオペラの歴史、作曲家・台本作家紹介、フィレンツェ・オペラの「アイーダ」メイキングもの等。笑えるのが、上の「ニューイヤー・コンサート」と同様、ここでもQuick Time VRでボローニャ・オペラをぐるぐる回せるっての。流行りなのか。ただしお値段は高めで9800円。
 もうひとつはお気軽メディアでCD EXTRAによる「エッシェンバッハ・ピアノ・レッスン」。ポリグラムから3月26日。バイエルとかブルクミュラーとかインヴェンションなどのおなじみの定番を5枚で、前から音は出てるやつにEXTRAのデータ入れた模様。1枚2800円のレギュラーなお値段はCD EXTRAの掟。こっちは使い方の定まってないメディアなので、どういう風に料理してあるかお手並み拝見系。(97/01/07)

講座「フランス革命前後の鍵盤音楽」&「声明のレクチャーコンサート」

 関根敏子さん(←特に古楽系の方は音楽誌等でおなじみ)からタイトルの件のご案内メールもらったので、東京圏にお住まいの興味ある方はGO! 楽してご本人のメールからカット&ペーストなり。

●1月18日(土、午後1時半から4時半)
昭和音楽大学の生涯学習講座で、「フランス革命前後の鍵盤音楽」 について話します。チェンバロ、フォルテピアノ、現代ピアノを舞 台に並べ、パリ音楽院のチェンバロ科を卒業したフランス人ロラ ン・テシュネさんが演奏します(昨年9月にイヴ・アルトーの伴奏 をした方です)。私も余興にテシュネさんと、チェンバロとフォル テピアノの二重奏をする予定!
 場所は新百合ケ丘から徒歩1分です。

●1月22日(水、午後7時から8時半)
日仏学院(飯田橋)のホールで、声明のレクチャーコンサートをし ます。一応、私が解説兼通訳で、新井弘順先生(真言)と海老原先 生(天台)が声明を担当し、声明の歴史や種類を実演をまじえて説 明していくものです。このコンサートの最後には、エロワの作品の 一部も演奏されます。
声明 −−仏教聖歌−−
場所:エスパス・イマージュ
東京日仏学院(新宿区船河原町15、電話03-5261-3933)
入場料:1.500円(一般)/出演:新井弘順(真言声明)、海老原廣伸(天代声明)、関根敏子(講師)/プログラム:如来唄、散華、対揚、四智梵語讃、四智漢語讃、百八讃、舎利讃嘆、涅槃講式、アナーハタ(JCエロワ作曲)より

つうわけで問い合わせはそれぞれ昭和音大、日仏学院、あるいは関根有賀子さん(ykk-neko@pis.bekkoame.or.jp)まで(このページって、こーゆー使い方もあるな)。(97/01/07)


東京オペラシティは今月からチケット発売

 これも東京ローカルで申し訳ないんすけど、秋に開館する初台の東京オペラシティのオープニング・シリーズ(の一部)、早くも1月28日(Arts友の会優先発売は25日)からチケット売り出し。お隣の新国立劇場より一足早く9月からシリーズ開始で、最初に出てくるのは12種の公演で、ざっと順に列挙すると、高橋悠治オン・キーボード、柴田南雄/声によるシアターピース、今井信子&バシュメット、バシュメット/モスクワ・ソロイスツ、ピーター・ゼルキン、ストルツマンやマの武満&メシアン、パメラ・フランク&ヨーヨー・マ、ストルツマン+ビル・ダグラス+エディ・ゴメス、ストルツマン&ネクサス、東京クヮルテット、秋庭歌一具、アンドラーシュ・シフ。詳細は音楽誌なりなんなり参照(残念ながら、資料にはURLないっす。あったらこういうときにリンクできるのに)。このオープニング・シリーズ、故人となった芸術監督武満徹の「祈り・希望・平和」ってのが全体のテーマ(オープニング・シリーズだけでも98年の6月まであって膨大)。なお、たぶん人気集中するオープニング・コンサート(小澤/サイトウ・キネンのマタイ受難曲)は6月24日(友の会21日)発売予定って話。(97/01/07)

気になる系メディア、CD EXTRA

 クラシック関係でもポツポツと出はじめたCD EXTRA(Enhanced CD)。音楽CDの余白にWindows or Macintosh用のデジタル・データ入れてるって説明はもういいとして、近頃見かけた中ではたとえば、EMIのパッパーノ指揮の「ボエーム」(ただし輸入盤のみだ、やはり)。クリック・アンド・ゴーな感じのアーティスト紹介とか、ウェブの住人から見ても親和性高げなスタイルもいいが、ポイント高いのは音楽の進行に合わせて歌詞対訳が流れるってとこでしょーか。って、イタリア語の英訳が流れるんだけど(苦笑)。そもそもオペラのCDって、対訳付けなきゃなんないのって売る側的には頭最強に痛いはずなので(手間がかかる上に、製本が必要な小冊子になってしまう→紙の冊子作るとCDのプレスと違ってとってもお金がかかる→しかも売れない)、日本盤も紙の対訳止めてデータにしたらどうだろ。ってのは暴力的か。
 あともうひとつ、フォンテックから出る「高橋悠治リアルタイム7/音楽のおしえ」もCD EXTRA仕様。これは超充実。エキスパンド・ブック使ったスタイルで(←ボイジャー制作)、一見地味なんだけど、これも一種のハイパーテキストだなと納得系。つまり紙の解説をベースに、そこからクリックして音楽の該当箇所に飛んだり、楽譜が出たりするんだけど、それを徹底的にていねいに作ると、もはや紙の延長とは言えないくらいの別のメディア化しちゃうっての。さすが、ドリカムがCD EXTRAを出す国は力の入り方が違うってところ。
 あとはワタシが知ってる範囲ではコニファーのキャプラン指揮マーラー「復活」と、冨田勲「バッハ・ファンタジー」なんかがCD EXTRA。他にもマイナー系で見たことあるけど、純クラシック系で何か知ってたら教えて。ただしこのメディアには弱点が。CDプレーヤーとコンピュータとそれぞれに入れたり出したりするのがめんどくさめ。コンピュータのCD−ROMドライブがオーディオとして自立するくらいの再生能力持つか、CDプレーヤーがコンピュータになるか(笑)してくれりゃ解決なんだけど。惜しい。(96/12/17)

日本人アーティストのCDも

 ほんと、増えた。特にメジャーなレーベルから毎月のように出るようになった。マイナーまで見てたら、もう把握しきれんくらいかも。で、巷にある「Jクラシック」って表現はコトバ的に超絶苦手なので避けるとして、その線で1月発売あたりをにらんでみると、広上淳一/ロイヤル・フィルのベルリオーズ/幻想交響曲(コロムビア)とか、モルゴーア・クァルテットのショスタコーヴィチ第2弾/弦楽四重奏曲第5番&第9番(東芝EMI)など、やっぱりあり。あとは世代的にうんと上にいって、岩城宏之&アンサンブル金沢とヘルマン・プライの共演でシューベルト歌曲集(グラモフォン)ってのもある。一月でこれくらいは出てくるので、出るって以上にそれに応える消費力がある(たぶん)ってのがパワフル。(96/12/17)

バーチャル・アイドルっすか

 仮想のキャラクターに対してファンができるって構図、別に考えてみりゃ昔からアニメとかでもあるわけなんだけど、電脳化されてるってとこが今時のバーチャル・アイドル興隆のミソなのか。ってことで、見つけました、「ときめきメモリアル」のヒロイン藤崎詩織ファースト・アルバムってのを(笑)。「ときメモ」ファン向けにバレンタインデー発売で、ピクチャーCDという念の入りよう。その筋のゲームに興味ないのでコトの重大さをイマイチ把握しきれんのだが(笑)、やっぱりセールス的には結構見込めるのかも。かくなる上は、これを応用して、バーチャ3のウルフがプロレス・デビューとかもいいかも。ジャイアント・スウィングとかキャッチ投げとかやるとウケまくり。で、時々投げ抜けされたり、しゃがんでる相手を投げようとして失敗するとモーションだけ入るとか、そういうお約束もあり。スト2が実写版の映画になる時代だから、新興プロレス団体あたりでないとは言えん。(96/12/17)

e-mail送ると、ロストロ&新日フィルの「第9」に招待されるかも

 今回はおトクな話を。新日本フィルのページで、東京でのベートーヴェン「第9」公演に抽選で読者無料ご招待って告知が載っている。応募してみようって人はクリック&GO! ロストロポーヴィチ指揮、晋友会合唱団他の陣容。今まではいわゆる「チケット・プレゼント」ってのが音楽雑誌なんかでもあったんだけど、これからはウェブ上でも同様の告知が増えてくるかも。しかもこのプレゼント、「応募はe-mailで」ってことになってるのが吉。ウェブなんだから当たり前だろと思われるかもしれないが、そもそもウェブ上にページ主のメール・アドレスすら書かれていないような商業サイトが少なくない中では、悪くない話だ。それに、紙メディア畑の人間が言うのもナンだが、この種のプレゼントにハガキ書いて送るのはかなりかったるめ。e-mailなら256倍くらい気楽。なお、この新日本フィルのページは今のところは「第9」告知ページがあるだけだが、近く独自ドメインを取得して正式オープンするそうなので、その際には当サイトのリンク集に加える予定。(96/11/14)

Gimellレーベル、フィリップスから国内発売に

 日本でも人気高げなタリス・スコラーズ専門レーベルGimellが、12月21日第1回分よりフィリップスから発売される。途絶えていた国内盤復活っすね。お値段も2500円なので日本語欲しい場合は国内盤で買ってもいいかって水準。第1回は全10点で、ジョスカン・デ・プレの「パンジェ・リングァ」、ビクトリアのレクイエム、アッレーグリのミゼレーレ、タリスの「40声のモテトゥス」などなど、これぞってのが並ぶ。遅まきながらジョスカンって作曲家をこの盤で知ったので、個人的には結構懐かし系。(96/11/14)

数あるクリスマス・アルバムの中でひときわ輝くのは……

 高木ブーである(笑)。クリスマス・シーズンになると、ドミンゴやらカレーラスやら、新譜やらコンピレーションやらいろんなアルバムがドドーンと出てくるが、こーゆーのもあるのだ。アルバム・タイトルはHawaiian Christmasってことで、キャッチは「ハワイアン・ブームの最終兵器、高木ブーの常夏クリスマス・アルバム!」と来たもんだ。なぜクリスマスにハワイアンなのかはともかく、高木ブーはドリフターズ加入前から活動を続けるベテラン・ハワイアン・アーティスト(だそうだ)。パッケージには「雷様」も登場しているってのがナニ(ソニーレコード、11/21発売)。(96/11/14)

見れ!カルロス・クライバーのリハーサル映像

 見たいかって言われりゃそりゃ見たい。レーザーディスクで登場するのは「名指揮者たちのリハーサル〜こうして音楽は創られる」。リハーサル&本番って構成で5人の大指揮者登場なんだが、そのリハーサルが1曲あたり20分〜50分って気前の良さが嬉しめ。で、並んだ名前がC・クライバー、ノイマン、ショルティ、シェルヘン、フリッチャイと来たもんだ。それぞれ1or2曲とりあげられて、注目のクライバーのは「魔弾の射手」序曲に「こうもり」序曲と選曲ふさわしまってる。ん?それにしてもこんな映像がなんで存在するのって疑問が真っ先に出るが、実はいずれもドイツで60〜71年に渡って放送されたもの。だからオーケストラはシュトゥットガルト放送響(当時南ドイツ放送響)というわけ。ゆえにモノクロ・モノラル。爺さんクライバーではなく、若いクライバー。って、当然みんな若いんすけど(東芝EMI、11/27発売、4枚組なので20600円とさすがに高価)。(96/10/18)

目指せ、すぎやまこういち(笑)。マイケル・ナイマンがゲーム・ミュージックを

 20世紀において映画音楽を書いた大作曲家は珍しくないが、もうこれからは違う。ゲームの時代だ。なんとマイケル・ナイマンが日本のゲームのために仕事をしたってのがその第一歩。で、それも仕事の相手先ゲーが驚愕系。「エネミー・ゼロ」なのだっ! ゲーム業界の風雲児飯野賢治氏率いるワープの制作で、セガ・サターン用(ウケウリ)。すげー唐突な話。しかもナイマンが来日して飯野氏と共同記者会見はやるわ(←知らんかった。つうか音楽畑の人で行った人いるんだろか?)、件の曲をピアノ・アレンジしたミニ・アルバムは出すわ(←キティエンタープライズから。って、これもクラシックの人間にとっちゃ見過ごされ系でナニソレ?って感じ)、それどころかワープ主催でナイマンのコンサートまで開いてしまうわ、もう暴れまくり(笑)。ぜーんぶ終わってから知ったというありさま(ゲーム系メディア&人間経由で)。結構痛快な話かも。ってこの痛快さが分かってくれる人ってすごーく少数のような気もするけど。バーチャ4のテーマ曲は誰に委嘱されるか、とか今後そういう話が出てきたりしてくれたら超吉。(96/10/18)

ポスト・マーラーのシンフォニストたち

 ってタイトルの本が出たのだ。磯田健一郎著、吉松隆イラスト(おいおい)。思いっきり手前ミソなんだけど、「音楽の友」誌での同名の連載に新たに書き下ろし部分を大量に加えたもので、音楽之友社発行(980円←安い)。連載中自分が途中から担当したから言うわけじゃないんだが、20世紀の交響曲作家に近づく羅針盤としてオススメ。ちょっと前にケント・ナガノが来日公演でハイドンの1番とマーラーの9番ってプログラムを組んでて、そこに交響曲史の始まりと終焉というテーマが想起されてしまいがちなんだけど(別にそれはそれで一つの交響曲史観なんだが)、しかしシベリウスやショスタコーヴィチの例を挙げるまでもなく、その後も交響曲の歴史は続いている(もちろん今も)。そういうマーラー以後の人たちを、あえて言えば今の聴衆が持ってておかしくない常識的な視点から語ったってのがこれ。たとえばニールセンの交響曲を、とりわけ第3番(名曲っすな)や第5番を薦めるってのは、今日ではすごーくよく分かる話。にもかかわらず「ハイドン→マーラー」的視点から書かれたこれまでのガイドでこういった言葉が語られることはあまりに少なかった。軸となるのは、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、アイヴズ、ショスタコーヴィチ。日本の交響曲も視野に入っている。(96/10/18)

ミサれハイドン

 ハイドンと言えば交響曲、そして弦楽四重奏曲。が、声楽曲も忘れるわけには。で、ロビンズ・ランドン言うところの「ミサの言葉を用いた声楽とオーケストラのための交響曲」、すなわち6曲の連作ミサがシブめで中吉。その中から、古楽器系の新譜関係がちょうど2本。「戦時のミサ」@劇的系がブルーノ・ヴァイル指揮ターフェルムジーク・バロック管&テルツ少年合唱団他(ソニークラシカル:10/21、来日記念)、アンド、「ハーモニー・ミサ」@管楽合奏活躍系がクイケン指揮ラ・プティット・バンド&ナムール室内合唱団(BMG:10/23)。手元のディスク・ライブラリー充足させれなミサ対決。(96/09/24)

恐いもの見たさ半分。ヨーヨー・マvs坂東玉三郎

 これって何年か前にどこかでやんなかったっけ? 今年10月の来日公演でもやるらしいんだけど。何かというと、ヨーヨー・マのチェロと坂東玉三郎の舞踊が戦う、じゃなくてコラボレーションするっつう話で、LDで登場(ソニークラシカル:10/02)。バッハの無伴奏チェロ組曲第5番を共演するという、話を聞いただけでは何をどうするのか想像もつかない芸術的試み。しかもコワイのは、マは無伴奏全曲の再録音を、それぞれ異なる分野のアーティストと共演して行おうと計画しているそうで、その一環らしい。進化する(しすぎる)チェリストなのか。LDではメイキングとインタヴューが付いているので、ファンなら買うしか。(96/09/24)

衛星放送のメト・ガラ耐久レースに疲れたらetc

 ジェイムズ・レヴァインのメト・デビュー25周年ってことで、放送やら紙媒体やら賑わしてくれたメトロポリタン・ガラ1996。衛星放送では長時間耐久レース化してたそうだけど(<見てない)、LDでパッケージ化されると2時間ちょいにまとまる2枚組(ドイツ・グラモフォン:10/25)。また見たいor見逃したつう方にはいいんでは。ところで、LDの話してると段々気になってくるんだけど、DVDってどうなんでせうか。少なくともワタシはクラシック系についてのソフトの供給に関しては全然耳にしてないんすけど(パイオニアの記者会見欠席したんだけど、ソフトについての話は出てたんだろか)。ちょうどWIREDの11月号にDVD関連記事として、ソフト供給のタイミングを巡って各方面の足並みそろわずといったことが書かれてて気になる。ま、目玉タイトルがクリスマス商戦に間に合うか合わないかを云々されてるようでは、クラシックはいつのことになるのやら。(96/09/24)

モンテヴェルディ関係強まる秋

 ってのは、相当強力なのが2つ出るってことで、まずは歌劇「ポッペアの戴冠」がガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツで。ガーディナーのモンテヴェルディってことではすでに絶賛まった「聖母マリアの夕べの祈り」ありで、期待高まり中。マクネアーとかフォン・オッター、チャンスあたりが歌っとります(フィリップス 09/26)。もう一つは「やっと出るのか」つう映像(当然LDで)。ジャン・ピエール・ポネルの演出で、アーノンクールがチューリッヒでやった歌劇「ウリッセの帰還」。これで「オルフェオ」「ポッペアの戴冠」に続くポネルのモンテヴェルディ3部作完結。80年ユニテル制作のお待たせ系。ホルヴェーク、アライサ、エステス、エスウッド他(ロンドン 09/26)。(96/08/24)

追悼。クーベリック&ウィーン・フィルを放送

 享年82歳。名指揮者クーベリックを追悼せよ。ま、放送って言ってもWOWOWなので、ワタシは見れないんだが(ラ抜き言葉。わざと)、71年にクーベリックがウィーン・フィルの指揮台に登場した歳の模様が放送される。モーツァルトの「プラハ」にブルックナーの「ロマンティック」の2曲。10月26日午前10時から。いやー、ウチもホントはアンテナ立てたいんだけどねえ(<セリエA見たいとかスポーツ系欲望込みなる言説)。(96/08/24)

あなたもブリン・ターフェル。カラオケ・コンテスト

 人気急強まり中のバス・バリトン、ブリン・ターフェルがロジャース&ハマースタインを歌ったっていうアルバムがドイツ・グラモフォンから出るんだけど(09/26)、なんと、これをネタにカラオケ・コンテストが実施されるそう。日本盤のみのボーナス・トラックで、「魅惑の宵」のカラオケ・ヴァージョン、さらには「ターフェルの歌唱アドバイス」(笑)ってのが入ってて、このカラオケに合わせて歌って送れってな趣向(ちゃんとメロディ譜も入ってるらしい)。審査員は地獄見るかもって一瞬思うんだけど、案外「どっちがターフェルだ」ってなくらい(オイオイ)レベル高まりそうな気もする、クラシック系の方々の場合は。優勝はオリジナル・カラオケ・セット。やはり。(96/08/24)

ノンサッチ・アメリカーナ

 Part1「21世紀へのプレリュード」と題してノンサッチから再発売シリーズでいくつかCD登場。1800円だし日本語解説欲しい曲もいくつかあるということで何点かゲットする予定。初CD化になる高橋悠治プリペアド・ピアノ、ルーカス・フォス指揮のジョン・ケージ「ピアノ・コンチェルト」が目玉か。あとはケージ&ヒラーによるHPSCHD(こんぴゅたに作らせた楽譜をテープのハープシコード音と生ハープシコードで共演、てな曲だったと思う)。あとはジョージ・クラムとか、デル・トレディチの「夏の日の思い出」とか(ワーナー 9/25)。(96/08/24)

テクハラ撃退ビデオ(笑)「パソコンなしでわかる!インターネット」

 すごいコンセプトのビデオ登場。「これを見れば、あなたも今日からインターネットが語れます」ってキャッチで、しかも「バカにされない編」と「尊敬されたい編」の2巻同時発売(キング 8/21)。ドラマ仕立てでインターネットのなんたるかを教えてくれる模様。そうか、インターネットって使うものでも見るものでもなく「語るもの」だったのか。結構卓見かもしれんからコワイ。で、若者からデジタル方面で攻撃される(テクハラ、つまりテクノロジー・ハラスメントらしい)熟年層が増えて社会問題化しそうな状況をこいつでお助けってことみたい。やれやれ。(96/07/19)

マーラー編曲のベートーヴェン「セリオーソ」が

 2つほど出るっすよ。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」をマーラーが弦楽合奏用に編曲したヤツ。オーソドックスなラインではドホナーニ指揮のウィーン・フィルの演奏で、ブラームス作曲シェーンベルク編曲のピアノ四重奏曲第1番とカプリングした世紀末系編曲対決(ポリグラム/ロンドン 8/25)。も一つはガット弦使ってるスミソニアン・チェンバー・プレイヤーズで、こちらはシェーンベルク/浄夜、マラ5のアダージェットとくっつくテーマもの(BMG 8/21)。以前R・シュトラウスの「メタモルフォーゼン」メインで、「鎮魂」ものを出してたあの団体で、前作同様オマケ付き。(96/07/19)

ラローチャのぉ、モーツァルト?全集完結ぅみたいなぁ〜

 シメは第16&17番、および合わせワザ第18番(「アレグロとアンダンテ」に「ロンド」組みわせるおなじみ技)ってことでBMGから8/21。16番っていい曲だよなあ。簡素だし、終楽章がなんかヘンテコで。んで、今後はシューマンの幻想曲他、モーツァルト/協奏曲27&19なんて予定なんだそうで期待まれ。(96/07/19)

試金石かも。アワダジン・プラット

 ま、本来演奏家の容貌つうのは音楽と何の関係もないんだけど、それでも異端な様子は何だか底に流れる閉塞感を払拭してくれるんじゃないかと期待させてくれるもんである。で、アワダジン・プラットってピアニスト。黒人、アメリカ人、風貌は完全にレゲエ系(ジャケットで拝んでくれ)。EMIクラシックスからのデビュー盤のタイトルはA Long Way From Normalだった(ブラームス、フランク、リスト他)。で、第2作はベートーヴェンのソナタ第9、7、30、31とメリハリな組み合わせで(近く国内盤も登場)。椅子が低いってのも、アメリカのTV・ラジオなどメディアへの出演に積極的なのも、なんとなくグールドを思わせるが……(にしても、新たなピアニスト登場時のグールド被言及率って異常に高くて常套句にして胡散臭系だな)。とりあえずおなじみげな曲なので、これ聴いて試金石とするしか。なんだか打破すべきスタイルってのが多い世界だから期待強まるのか?(96/06/17)

冨田勲の新作「バッハ・ファンタジー」はエンハンスドCDだっ!

 前にもちょっと触れたけど、エンハンスドCDってのがある。一応軽く説明すると、フツーの音楽CDにMacやWindowsで読める付加デジタル情報(動画とか文字とか)を入れたもの。値段もフツーのCDと同じで、何食わぬ顔でレコード屋で売られてる。例えば、ドリカムの新譜「ラヴアンリミティッド」もそのエンハンスドCD(CDエクストラとも言う)。パソコン持たない人も多いし、すべての機種に対応するわけじゃないので、街で売られている姿を見ても、よ〜く観察しないとエンハンスドだってわからないような、控え目な売られぶりだ。で、本題。冨田勲超久々のニュー・アルバム「バッハ・ファンタジー」がもうすぐ国内先行発売(Win,Mac両対応)。ズルしてすでに見せてもらったのだ。目玉は冨田勲インタヴューがクイックタイムで収録、さらに「トッカータとフーガ」の1曲のみはMIDIファイルが入ってる(オルガンのみの軽い作りで、さすがにトミタ・サウンドの秘密がわかるってものじゃないけど)。過去のディスコグラフィも美麗ジャケット付きかつサンプル・サウンド付きで押さえるところを押えてる。「おまけ」なんだけど、CDのあり方としてはこの線でぜひ。ついでに曲目演奏者一覧なんかをテキスト・ファイルで入れておいてくれると自分の所有CD管理する人たち(ワタシは違うが)は大助かりするはずなんだけどなあ。クラシック系国内盤としてはこれが初エンハンスドなので、今後WWWとの連動なんかも考えてくれることを含めて期待したいっすよ。(96/06/17)

オリンピックの音楽家と言えば?

 さて、アトランタ・オリンピックも近づいて、とりあえず日本代表が緒戦でいきなりブラジル@金メダル獲得宣言と対決するというサッカーが気になるところであるが、この種の世界的スポーツ・イベントには音楽も欠かせない。で、今回はアメリカ。84年のロス大会でジョン・ウィリアムズ作曲のファンファーレをメダル授与の度に聞かされて耳タコ状態になった方も多いと思うが、やっぱり、今回もファンファーレはジョン・ウィリアムズなんだそうだ(笑)。で、ジョン・ウィリアムズ指揮のおなじみボストン・ポップスによるCDがリリースされる。「サモン・ザ・ヒーロー 1996アトランタ・オリンピック・ファンファーレ」(ソニー、6/1)がソレ。アトランタの公式ファンファーレがこの1枚でしか聴けないよってのはどーでもいいことで、ここは選曲に注目したい。たとえば、92年バルセロナ大会のテーマはなぜかテオドラキスが書いてんだなとか、バーンスタインにオリンピック賛歌って曲があるのか(世界初録音だそうな)とか、アメリカのポスト・ミニマル系作曲家マイケル・トークの曲が1曲入ってるけどこれは何だとか、その辺がおもしろいかも。ショスタコーヴィチの「祝典序曲」があるかと思えば、ヴァンゲリスの「炎のランナー」も入っているという節操のなさも(笑)、開き直っていて大吉。(96/05/18)

シノーポリもテルデックから

 テルデックって、ここ数年でイメージ変わったレーベルの一つ。バレンボイム、アルゲリッチ、クレーメル等、メジャー・アーティスト化顕著だが、シノーポリも出てくるのだ。ドレスデン・シュターツカペレとの一連の録音が予定され、まず第1弾リリースが6/25のシェーンベルク/グレの歌。この後も新ウィーン楽派の3人の録音が続くって話。(96/05/18)

アルゼンチンだよ、バレンボイム

 「わが懐かしのブエノスアイレス」ってことで、バレンボイムがタンゴを弾いたという1枚がテルデック・レーベルよりリリース(国内6/25)。いやー、バレンボイムの故郷がアルゼンチンだったなんてこと、すっかり忘れとりました。曲はやっぱりピアソラの曲がメイン。バンドネオン、ロドルフォ・メデーロスが共演。去年だったか日本・ブラジルの修好100周年だったけど、来年だったかその次だったか(すげーいいかげんなうろ覚え情報)が日本・アルゼンチン修好100周年なんだそうだ。音楽関係のイベントいかにもありげな気配だが、まずは先駆けるか、と。いや日本とは関係ないっすけど。(96/05/18)

映像で見るベートーヴェンのトリプル・コンチェルト

 昨年から発売延期になってたヤツなんだが、パールマン、ヨーヨー・マ、バレンボイム(ピアノと指揮)、ベルリン・フィルというやたらと豪勢なメンバーによる、ベートーヴェン/三重協奏曲がLDで登場する(東芝EMI、05/29)。昔の、オイストラフ、ロストロポーヴィチ、リヒテル、カラヤンに次ぐ強力メンバーで、しかも映像付きなら、話題的にイマイチぱっとしない不幸な佳曲を救えるかも。(96/04/12)

初録音コンビなのさ、ブレ&ギレ

 シェーンベルクのピアノ協奏曲と言えば、これまでもP・ゼルキン&ブーレーズなどいくつか録音はあったが、この曲の世界初録音を行ったのはブレンデル&ミヒャエル・ギーレンなんだそうだ。で、そのコンビが93年に南西ドイツ放送響と再び録音、ようやくリリースとなるって次第(フィリップス、5/25)。ギーレンはシェーンベルクの75歳の誕生日記念演奏会でピアノ曲弾いたりしてるところで作曲者と関係深し。おまけは室内交響曲の1番2番。なんだかシブめコンビ。(96/04/12)

また大胆なオムニバスCDがでました。カロリーメイト・クラシック

 って言っても「カロリーメイト・クラシック」という名前じゃなくて、ホントは「現代人の栄養補給」シリーズが正式名(ドイツ・グラモフォン、5/25)。パッケージがまるっきりカロリーメイトそのものなので、みんなそう呼ぶだろうなという話。いろいろと体に良かったりストレス解消してくれたりするクラシックの名曲が入っている(笑)らしいが、全部で5枚。なぜ5枚か。そう、それぞれ「チーズ味」「フルーツ味」「チョコレート味」「流動タイプ」「スポーツ飲料エネルゲン」に対応しているのだっ! 誰だ、カロリーメイトはどの味も不味いって言ってるヤツは。(96/04/12)

目指せ男チバレイ(ウソ)。矢部達哉デビュー・アルバム

 22歳の若さで東京都交響楽団コンサートマスターに就任して以来、若手ヴァイオリニストの雄として活躍する矢部達哉がソニークラシカルよりCDデビュー。若林顕ピアノで、クライスラー、ラフマニノフ、ドビュッシーらの小品を中心に、最後はストラヴィンスキーのイタリア組曲でシメという構成(05/22予定)。で、なんで矢部達哉かって言うと、女性ネットワーカーには人気のアーティストてな背景があって、宣伝資料にも「女性コミック誌、パソコン通信で話題になるなど」なんてうたい文句が(笑)。つい先日、ソニー関係者に会ったときもパソ通関係とのからみの話題が出てて被認識度高め。sonyのホームページの中に矢部達哉のページができるって話も聞いたし、もはやクラシック界の男チバレイで電脳アイドル目指すしか(ってもう古いか、この話題は)。初回特典でオマケに付く「アーティストの素顔に迫る秘蔵ビデオ」ってのも思いっきり謎まってる(笑)。もちろん実力のほうも侮るべからずってフォローは言うまでもないが。(96/03/26)

ウィーン・フィルと名指揮者たち

 てなタイトルのLDが出ます。ウィーン・フィル150周年記念で、オーストリア放送協会(ORF)所蔵の映像から未発表ライヴ発掘なんだが、このラインナップがちょっと変わってる。指揮者は3人登場で、ベームは分かるとして、あと二人はセル、そしてオーマンディ(!)だ。セルはグルダと共演したベートーヴェンの「皇帝」、ブルックナーの第3番、オーマンディはベートーヴェンの8番と父ゼルキンとのモーツァルト/ピアノ協奏曲第21番。ベームは「英雄の生涯」、ベートーヴェン/第7番、モーツァルト/第40番。モノクロ、モノラルだが285分のずっしり4枚組(東芝EMI、4/24)。さすがにお値段も税抜19000円で重量級。それにしてもオーマンディ指揮ウィーン・フィルとは驚き。(96/03/26)

「詩人の恋」っす。コワルスキ。

 時代の要請なのか、カウンターテナー人気はまだまだ続いているようだが、そのスターの一人、ヨッヘン・コワルスキのシューマン/「詩人の恋」他のドイツ・リート(+モーツァルト、ベートーヴェン)が04/20にコロムビアから国内盤で(COCO80086)。ま、92年録音で輸入盤では前から出てるんだが、カプリッチョ・レーベルなので未入手のファンも多いかもってことでフォロー。(96/03/26)

世界一、流通しているデジタルなクラシック名曲は?

 Windows95のインストールもとりあえず無事終わって、タラタラとシステム・ディレクトリ(じゃなくてフォルダって呼ぶのか)を眺めてみると、な、なんと、ベートーヴェン/交響曲第5番第1楽章他のMIDIファイルがあるではないかっ! 第1楽章まるごと入っている。たぶんこの「運命」、カラヤンよりもフルトヴェングラーよりも世界中に出まわった「運命」だ(笑)。他にバッハ/ブランデンブルク組曲第3番やらドビュッシー/月の光とかいくつか入っているので、95ユーザーはC:\WINDOWS\MEDIA\へGO! 私の場合、MIDI音源を持ってなくて、FM音源(たぶん)のピコピコ音で聴いたんだが、なかなかインテンポかつスタイリッシュかつザッハリッヒなかつてない新鮮なベートーヴェン解釈で感動だ(オイオイ)。ちなみに、デフォルトの状態でのWin95の起動音はブライアン・イーノの作曲である(これは有名)。ファイルのプロパティを見ると、ちゃんとアーティスト名が入っているのだ。(03/14)

武満徹追悼盤

 日本の国内盤CDカタログで武満徹の項を見ると、現代の作曲家としては異例なほど数多くの録音が出ていることに改めて気付かされる。別に日本の作曲家に限定した話じゃなくて。で、追悼盤関係はこれからだと思うんだが、一つだけ新録音で出てくるのがすでにわかってるので簡単に。藤井一興ピアノで「武満徹/鍵盤作品集成(1950-1992)の一枚(フォンテック、4/25)。ピアノ・ディスタンス、フォー・アウェイ、閉じた眼1&2、遮られない休息他の代表的な鍵盤作品に混じって、「雨の樹素描2」が世界初録音で入っている。(03/14)

対決。「ロマンティック・カラヤン」対「ロマンス・カラヤン」

 売れまくった大ヒットCD「アダージョ・カラヤン」、その余波というか何というか、「アダージョ・フルトヴェングラー」とかいろんなCDが出ちゃってるわけだが、ついにネタかぶり。本家DGから「ロマンティック・カラヤン」が出るかと思えば、英EMI企画で「ロマンス・カラヤン」2枚組が。しかも国内盤の発売タイミングまで4月下旬売りで一日違い。「モルダウ」とか「イゾルデの愛の死」とか「アイネ・クライネ」の2楽章とか、一部曲も重複。うむむ。(03/14)

ミニマル系だよ、クレーメル

 インパク知なヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルがジョン・アダムズのヴァイオリン協奏曲をノンサッチ・レーベルよりリリース(国内03/25)。共演はルーツは熊本の日系3世ケント・ナガノ指揮ロンドン響で、おまけになぜか作曲者指揮のシェーカー・ループス付きってのが吉かも。前にクレーメルはフィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲をDGに録音してたので(ドホナーニ指揮のなんとウィーン・フィルでしたな、あれは)、ミニマル系コンチェルトげな今時。(02/19)
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