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July 28, 2025

サマーミューザ開幕!ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のワーグナー

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●26日はミューザ川崎へ。今年もフェスタサマーミューザKAWASAKIが開幕。そのオープニングコンサート、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団。全席完売。ワーグナーの「ローエングリン」第1幕への前奏曲、ベートーヴェンの交響曲第8番、ワーグナー~マゼール編の「言葉のない指環」(「ニーベルングの指環」管弦楽曲集)。これでノットがサマーミューザのオープニングを指揮するのは最後なのだろうか。寂しくなるが……。
●「ローエングリン」前奏曲は精妙。一曲目からいきなりの満腹感。ベートーヴェンの交響曲第8番は機械のような反復運動に妙味がある曲だが、さすがにノットが振ると一本調子にならず、軋むようなギクシャクがあってこそのマシーン感だと納得。ワーグナー~マゼールの「言葉のない指環」は芳醇な東響のサウンドを堪能。「指環」のハイライトにはデ・フリーヘル版もあるわけだが、マゼール版はけっこうせわしない。どんどん場面が移って寸足らず感もあるのだが、おしまいまで聴いたときの充足感はすごい。あと、ハーゲンの招集の場面の際立った異質さも印象に残る。このコンビでもっとワーグナーを聴きたくなるが、なかなかそうもいかないか。盛大な喝采があり、ノットのソロカーテンコールに。みんなノットが大好き。
●このマゼール編の「言葉のない指環」、Telarcからマゼール指揮ベルリン・フィルの録音が出たときは、すごく惹かれたものの(Telarcのジャケットがカッコいい)、そのときかぎりの編曲だと思っていた。「言葉のない指環」というけど、登場人物のいない指環というか、登場人物の影だけあって実体のない指環というか、録音ではウケてもライブ向きではないよなあ……と思いきや、予想に反して世の中に浸透している。以前、マゼール本人がN響を指揮したのを聴いた記憶。本人が広められるのは指揮者による編曲の強みではある。マゼールはオペラの作曲なんかもしてたけど、オーケストラのレパートリーには「言葉のない指環」の編曲者として名を残すことになるのだろうか。