October 18, 2002

キング・イズ・アライヴ

●前から気になっていた映画「キング・イズ・アライヴ」(クリスチャン・レヴリング監督)をビデオで観た。これは容赦のない傑作。砂漠の真ん中で遭難した11人の男女を描く。が、「サバイバルもの」ではない。遭難した人々は力を合わせて水と食料を確保したりしないし、救助を求めるために知恵を寄せ合うわけでもない。孤独と狂気と戦いながらなにをしたか。それはシェイクスピアの「リア王」を演ずることである(ぶっとんでますなあ、この発想。それにしてもヨーロッパ人はなにかといっては「リア王」やりたがるね)。
●一人の元演劇人の提案により、「リア王」の稽古が始まるが、たまたまそこに居合わせただけの普通の人々は、台詞も覚えられないし、まともな発声もできない。バカげていると思いながらも、気を紛らわせるためにしぶしぶ演ずる。日を追うごとに、生命の危機が迫る。困難に面して、人は徐々にその本性を剥き出しにし、弱さや醜さをさらけ出す。その極限状態にあって、ついに男も女も本物の「言葉」を手にする。死に面した人の狂気を烈しく描写しようなどという趣旨の映画ではない。これは言葉の魔力を描いたファンタジーである。(10/18)

Posted by iio at October 18, 2002 05:46 PM | TrackBack (1)

Comments

はじめまして。この映画、「砂漠版CUBE」などというキャッチコピーがなければ、もっと評価されたと思います。
ドグマ95として撮影するのに相応しい題材ですよね。
人間の内面を追う専門集団ですから・・・。
俳優たちの演技力が存分に発揮されていたのが勝因でしょう。

Posted by: ルー at June 23, 2004 03:43 PM

 はじめまして&トラバ多謝です。
 そうなんですよ。「砂漠版CUBE」とは的外れですね。CUBEは言葉なき世界、本作は言葉がすべての世界を描いているんだと思います。

Posted by: iio at June 23, 2004 06:18 PM
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