どこまで観れるか!?
ワールドカップ1998テレビ観戦記
ウチじゃ衛星放送映んないけど、それでも何とかするのだ。


ワタシが最近観た順で並んどります。ビデオや再放送で翌日観る人たちのことも考えて、日本時間午前1時10分以降に放映開始の試合については翌日夜までは結果に触れない非速報主義(笑)。なお、対戦カード名に張られたリンクはFRANCE98公式サイトの試合記録につながってます。


決勝トーナメント / 一次リーグ第3戦 / 一次リーグ第1〜2戦

自分的ベスト・イレブン!
ゴールキーパー▼チラベルト(パラグアイ)
センターバック▼デサイー(フランス)、ブラン(フランス)、カンナヴァーロ(イタリア)
ウィンガー▼左:ロベルト・カルロス(ブラジル)、右:テュラム(フランス)
守備的ミッドフィルダー▼ダーヴィッツ(オランダ)、ドゥンガ(ブラジル)
攻撃的ミッドフィルダー▼ジダン(フランス)
フォワード▼ベルカンプ(オランダ)、ロナウド(ブラジル)

 勝手にベストイレブン。ただしフォーメーションは3−5−2。したがってセンターバックは3人だし、攻撃はウィンガー(ウィングバック)+一人のミッドフィルダーで組み立てるってスタイル。こういうのって4−4−2、あるいはお祭り的には4−3−3ってのもアリなんだろけど、やっぱりゲームメーカーよりはサイドアタッカー、センターフォワードよりはセンターバック重視っていう今日的なスタイル(笑)ってことでこんな感じで。ちゃんと見てないから3位のクロアチアから誰も入れられないっての(苦笑)。サブのメンバーを入れるとすると、GKにバルテス(フランス)、DFにマルディーニ(イタリア)、ガマラ(パラグアイ)、MFにプティ(フランス)、FWにスーケル(クロアチア)、ヴィエーリ(イタリア)ってところっすか。DFはオランダのフランク・デブール入れるって手もあるけど、ワタシ的にはロナルド・デブールと区別ついてないアンド共感度低いってのがあって、よく分からず。

 MVPは2試合休んでるけどジダンか。リアルな線ではデサイーって手もあるかもしれんが、それじゃーなー。86年はマラドーナの大会、90年は裏マラドーナの大会、94年は(ロマーリオではなく)バッジョの大会、98年はジダンの大会ってことで。主人公的には。(07/14)


決勝戦。王者vs開催国。
ブラジル vs フランス

 直前までロナウドではなく、エジムンドが先発する予定になっていたらしい。開始45分前にロナウドに訂正したというから、ロナウドのケガが問題になっていたに違いない。一方のフランスは、出場停止のブランが今日も試合前にバルテスのスキンヘッドにキスしていつものお祈り。

 4分、ジダンのスルーパス→ギバルシュで決定的チャンスが生まれるが、打ち切れず。この試合でもいつものようにフランスのフォワードはチャンスを潰し続けた。しかしそれでも立ち上がりはややフランスが攻勢。ブラジルは体が切れていない。

 27分、プティの右コーナーキックからジダンが強烈なヘディング。なんとジダンW杯初得点。いやいや、準決勝までは山のようにコーナーキックをもらいながら(しかもキックの質は悪くないのに)ゴールを割れなかったフランスだが、まさかジダンがヘディングで決めるとは。

 前半終了間際、ロングボールからギバルシュが完全にキーパーと1対1に。この超ビッグチャンスを決められないところがギバルシュ。しかし、その直後、今度はジョルカエフの左コーナーキックからまたまたジダンがヘッドで決める。まるで1点目の鏡像のような得点である。ヘディング以外のプレーならどんなことでもできそうなスーパー・オールラウンダーのジダンが、ヘディングで2点もゴールするんだから本当に分からないもんだ。この時のジダンの幸福そうな顔が実に印象的だった。それにしてもブラジルにとっては最悪のタイミングで失点してしまった。今日のコンディション不良のブラジルが2点を返せるとは思えない。前半、ブラジルには決定機と言えるほどのチャンスはまったくなかった。

 後半からブラジルはレオナルドを下げてデニウソンを入れる。フランスが攻撃に人数をかけなくなったことでブラジルも何度かチャンスを作り出すが、決定的なチャンスには至らない。ロナウドは本当に動けないらしく、前線で突っ立ったまま。63分、ディフェンダーのミスからまたもギバルシュが決定的チャンスをつかみ、またまたこれを外してしまう。もはやギバルシュの決定力のなさは救いようがない。あまりの酷さにギバルシュを下げて久々にデュガリーを投入するが……。

 68分、デサイーがこの日2枚目のイエローで退場してしまう。ブラジルにとっては微かな光明が見えたか。最終ラインには代わりにプティが入る。ロナウドは足を引きずり気味。74分、サンパイオを下げてエジムンド。ザガロ監督は動けないロナウドを諦めない。直後、フランスはジョルカエフを下げてヴィエラを入れ、完全に逃げ切り体制に。83分、カウンターからデュガリーが1対1の超決定機を得るが、やっぱり外してくれる。こんなにフォワードに決定力のないチームがワールドカップに優勝してしまうのか(苦笑)。一人多いにもかかわらず、ブラジルは一向に火がつかない。これだけ最終ラインで人が入れ代わったにもかかわらず、フランスのディフェンス・ラインはコントロールされている。

 ロスタイムに入って、プラティニが満面に笑みを湛えてガッツポーズ(上着の下に代表ジャージを着ている。ほとんどただのサッカーファンのおっさん状態)。フランスのベンチはすでに立ち上がっている。そしてロスタイム2分経過、カウンターから最終ラインのプティが最前線に上がり、3点目をゲットしてしまう。笛が鳴って、フランスの選手たちは狂喜。泣き出すバルテスの頭にブランがキス。デュガリーとジダンが抱き合う。みんなが肩を組んで、輪になって踊り出す。プラティニもシラク大統領も浮かれている。初優勝国が誕生したのは78年アルゼンチン大会以来か(その時も開催国だ)。表彰式でプラティニ、シラク大統領、アヴェランジェ前会長、プラッター会長が英雄たちを迎え入れる。シラク大統領がキャプテンのデシャンの手に「ワールドカップ」を手渡した。ここで壮麗なスターウォーズのテーマがサンドゥニのスタジアムに鳴り響く(おいおい、アメリカの文化侵略じゃないのかい)。一人一人の選手が順にカップの頂上にキスをする。そうか、ブランがバルテスの頭にキスをしていたのは、この時のための予行練習だったのか(笑)。

 開催国が優勝したおかげで、どれだけフランスは盛り上がったことか。こんなに満足度の高いワールドカップは当分来ないかもしれない。この決勝戦をブラジルの不調ゆえに「つまらない」という人たちも少なくないとは思うが、4年前、8年前よりはるかにすっきりとした勝負だった上に、開催国対王者という組合わせも最高のもの。フォワードが驚異的なほど決定的チャンスを浪費して、まるで得点できなくても、中盤の支配力と完成度の高いディフェンス・ラインで世界一になれるってのは新たな発見かも。

 他の多くのチームが一次リーグから決勝トーナメントと試合を進めていくたびに経験値を蓄えてチーム力が成長していったのに対して、ブラジルは徐々にコンディションを落としていったのがホントに残念。ゆっくりとした中盤orバックラインでのボール回しから、誰かが「仕掛け」を始めるとそれに反応して急激に選手とボールが3倍くらいのテンポで動き出すというブラジル独特の攻めの光景は、すでに決勝に入るよりもずっと前に失われていた。

ブラジル 0−3 フランス
至福度 ★★★
面白度 ★★★★
残念度 ★★★★★(ロナウドの体調に)
(07/14)


3位決定戦。ブーイング前夜祭。
オランダ vs クロアチア

 ワールドカップで最も結果がどうでもいい試合がこの3位決定戦。失意の敗者同士が対戦するこの試合を廃止すべきだという意見は多い。唯一意味があるとすると、得点王争いの行方。スーケルが1点でも獲れば、単独得点王の可能性が高い。これまでの試合と比べると、特にオランダがモチベーションを欠いているのは明らか。

 クロアチアのビリッチにボールが渡る度に大ブーイングが沸き起こる。準決勝のフランスvsクロアチア戦でウソ顔覆いをやってブランを退場に追い込んだ犯人なので、地元フランスのファンはひたすらブーイング。この日、ビリッチにブーイングを浴びせるためにチケットを買ったフランス人もいたんじゃないだろうか。

 今日もクロアチアはカウンター狙いでスタート。13分、思惑通り、カウンターアタックから左サイドを破ったヤルニからプロシネツキへ、追い付いたディフェンダーに囲まれながらも浅い角度から見事にゴール。しかし押し込んでるのはオランダ。21分、ゼンデンが右から中に爆発的なスピードで走り込んでミドルシュートを決める。3位決定戦じゃなきゃ「伝説」になるくらい素晴らしいゴールだが(オーウェンのゴールといい勝負)、三日もすれば忘れ去られること確実。

 36分、またクロアチアがカウンター、アサノヴィチからボバンへ、絶好のシュート・ポジションにいながら、わざわざスーケルへ友情パス(笑)。これを落ち着いて決めて、スーケル、単独得点王の可能性非常に濃厚。いやー、これは大会前には誰も予想できなかっただろう(所属チームじゃ最近ポジションを失ってるそうだしさ)。

 後半、クロアチアは守り切る作戦に。オランダが攻めるが、クライファートをはじめ次々と決定機を外してしまい、試合が締まらない。雑なプレイが続くまま試合終了、1−2でクロアチアの3位が決定。フランス・サポーターは最後の最後までビリッチにブーイングを続けていた。

オランダ 1−2 クロアチア
至福度 ★★
面白度 ★★
執拗度 ★★★★★(ビリッチへのブーイング)
(07/13)


準決勝第二試合。貴賓席の将軍も通れなかった戴冠への道。
フランス vs クロアチア

 今日も試合前にブランがGKバルテスのスキンヘッドにキスしてお祈り(ケーキを手に入れられるように祈ったようだが、上に乗せるチェリーの分まで祈るのを忘れていたようだ)。フランスはギバルシュのワントップで中盤にカランブー。ジダンをはじめ、フランスは飛ばしている。非常に攻撃的。いやー、ジダンのキープ力はすごい。体の入れ方がうまい。完全に中盤を制圧するフランスに対して、クロアチアは高いテクニックを生かしたカウンターを狙う。フランスは30分に早々と中盤右サイドのカランブーを下げて(ケガらしい)、より攻撃的なアンリを投入。が、攻めてるのになかなか点を獲れないのが今大会のフランス。前半の終盤は徐々にクロアチアが攻撃のチャンスを得る一方、フランスは失速気味。0−0で前半を終えたが、クロアチアとしてはプラン通りのはず。

 後半開始わずか30秒、恐れていたことが起こる(フランス寄りで観てるんです)。アサノヴィチのパスに反応したスーケルがフリーでもらってゴール(これで得点王の可能性すごく大)。ああ、8万人の(そしてワタシの)ため息。ところが、だ。わずか1分後、上がっていたサイドバックのテュラムが相手ゴール前でボバンのクリアミスをインターセプト、これをジョルカエフへ、そしてテュラムへ戻してシュート。なんと同点ゴールはジダン抜き、サイドバックのテュラム得点。あの点の入らない前半は何だったんだ。ここからは、もうクロアチアはカウンター狙いではない。攻め合いになる。

 60分を過ぎたあたりから、フランスは運動量が落ちてくる。68分、ギバルシュを下げて、トレゼゲを入れる。直後、またも右サイド、ペナルティエリアやや外からテュラムがファーサイドぎりぎりを狙って見事なシュート。2−1でフランスが逆転。うーん、所属チームのパルマではセンターバックをやってるらしいんだが、テュラムは突破力といいシュート力といいウィンガーとしか思えんような動き。これでフランスの運動量が回復。しかし、74分、相手ゴール前のポジション争いで、ブランがビリッチの顎のあたりを押してしまいレッドカードをもらう。ビリッチは大袈裟に顔を覆って審判へ嘘アピール。これはちょっと納得行かん。大ブーイング。フランスは持ちこたえられるか。ジダンは疲れており、あまり動けない。フランスのアンリがヤルニの額にエルボーを入れて出血させるという悪質な報復行為(って言うのもおかしいか)があったが、こちらは故意ではないという判断。

 フランスは一人少ない状態でリードを守るという苦手科目(おそらく)を克服できるのか。4分の長いロスタイムに入る(ロスタイムも苦手科目のはずだ)。クロアチアは必死の攻撃。あわやという瞬間を何度も作る。血も凍るような恐怖に耐えて、開催国はようやく勝利を手にすることに。相変わらずストライカー問題を抱えながらも、史上初めてフランスは決勝に進出する。気になるのは出場停止になるブランの不在と、ジョルカエフの不調。4年前も8年前も得点的には渋い決勝しか見れなかったが、今大会は攻撃的な試合が見れそうだ。

フランス 2−1 クロアチア
至福度 ★★★★
面白度 ★★★★★
恐怖度 ★★★★(74分以降)
(07/09)


準決勝第一試合。最強国対決。
オランダ vs ブラジル

 ブラジルが最強の敵を迎えた。何せ、試合前にザガロ監督が「今日はボールを相手にキープされる時間が長くなるだろう」なんて言ってるくらいだ。実際、試合が始まってみると、なんとブラジルが押されているではないか。ロナウド、ベベットまで守備に走る。まだリードもしてないのに引き気味になっているブラジルを見ようとは。そう言えば、4年前の大会でもオランダだけは真っ向勝負を挑んできたっけ(ブラジル寄りで見てます、ワタシ)。この相手に「受けて立つ」なんて王者の戦い方をするわけにはいかない。

 オランダは快速オフェルマウスがいないが、ブラジルも右サイドバックのカフーが出場停止。ブラジルから見て右サイドは、今大会初出場同士のゼ・カルロス(なんと代表2試合目だ)対ゼンデンの争いに。これは完全にオランダのゼンデンが勝っていた。28分には、そのゼンデンがダイレクトであげたクロスに中央でフリーのクライファートがヘディング。しかし枠を外す。今日はこの形でオランダが何回もチャンスを作る。ゼ・カルロスはおかげでなかなか上がれない、しかもどうやら周囲からの信頼度が薄いらしくて、その内ボールを回してもらえなくなってしまった。前半は0−0で終わったが、オランダがチャンスの質で上回っていた。危うし、ブラジル。

 ところが後半開始わずか20秒ほどで、リヴァウドが左サイドから中央のロナウドへ浮かせたパス、コクを振り切ったロナウドがこれを完璧なトラップからシュートして今大会4点目をゲット。

 50分頃から、ブラジルは無理をしなくなる。守備重視。右サイドにロナウドを張り付けて(どうせゼ・カルロスは上がれない)、リヴァウド、デニウソン(ベベットに代えて投入。いつもの交代)という3人だけで攻撃。オランダが何度か決定機を作るが、なかなかゴールを割れない。このままブラジルが守り切るかと思えた87分、オランダは右サイドからロナルド・デブールがフリーでていねいなクロス、これが中央のクライファートの頭にどんぴしゃり。ブラジル左サイドの一瞬の隙をついて同点。よく耐えていたが、ついにやられてしまった。

 そして延長へ。ロベルト・カルロスが左サイドを何度も突破してチャンスを作るが、どうも中で待つ選手と息が合わない。ついでに言うと、リヴァウドとロベルト・カルロスの左サイドコンビはずっーとイマイチ合ってない。全体にブラジルはコンビが消滅して、個人技だけに頼りはじめる。ああ、ドゥンガ、喝を入れてくれ。オランダはクライファートがポストにあとボール半分という惜しいシュートなどでブラジルを脅かす。疲労度が深刻なのはブラジルのほう。が、延長後半、センターサークル付近からロナウドが爆発的ドリブル突破、ゴール前まで突進するが後ろからボールにタックルしたフランク・デブールに倒される。うーん、PKにならないかっ! もしこれが決まっていたら、今大会最大の伝説的ゴールになったはず。今日は「伝説」には至らなかったものの、ロナウドのスーパーなドリブルを何度も見れた。時間が経つにつれ、お互い疲れのために中盤が消滅してくる。おかげでチャンスとピンチの連続に。どちらを応援する人も、この時点で腹を括っていたと思う。ザガロ監督、ドゥンガ並みに激烈な喝入れ。

 この延長で得点が入らなかったのが不思議なくらいだが、1−1のままPK戦に突入する。ロナウドに始まり、フランク・デブール、リヴァウド、ベルカンプ、エメルソンとゴールを決めて、オランダの3人目のコクがタファレルに止められる。ブラジルの4人目は主将ドゥンガ。左上に決めて、顔を歪めて雄叫び。これでオランダの5人目、ロナルド・デブールは外せばおしまいという最大のプレッシャーに襲われることに。こういう場面ではホントによくPKは外れる。ロナルド・デブールが無意味なフェイントを一回入れて、ためらったような中途半端なキック。これをタファレルが止めて決着がついた。タファレル、奇声をあげる。タファレルのガッツポーズは4年前の決勝戦と何も変わっていない。

 ここまで観てきた中ではブラジルとオランダが二強と思っていたワタシとしては、一足先に決勝戦を観てしまったような気になっている(とは言っても決勝戦で何が起きるかは分からんが)。どちらが勝っても全くおかしくない試合だった。もしオランダが勝っていたら、フランスvsクロアチアの結果のいかんにかかわらずワールドカップ優勝未経験国同士の決勝戦になるところだったが、どうやらそれはフットボールの神様の意に反するストーリーだったようだ。

オランダ 1(PK2)−1(PK4) ブラジル
至福度 ★★★★
面白度 ★★★★★
最強度 ★★★★★
(07/09)


ワールドカップの敵とは。
ドイツ vs クロアチア

 攻撃は単調だがパワフルなドイツと、テクニックに優れるクロアチアの一戦。一次リーグでのドイツvsユーゴスラヴィア戦のような好ゲームを期待したが、審判の信じられないような一つの判定が試合を決めてしまった。

 前半は空中戦で勝負を挑むドイツがやや優勢という展開。気温20度という涼しさもベテラン集団にはありがたかったか。ヤルニvsハインリヒといったサイドライン際の攻防が見物。しかし、41分にスーケルをファールで止めたヴェルンスに一発レッド。確かにここでスーケルがドイツの最終ラインを抜ければ決定的なチャンスになったかもしれないが、センターラインをやや越えたという場所、ゴールは遠い。さらにヴェルンスの脇にはコーラーが控えており、到底1点モノとまではいかない場面。要するに一言でいえばせいぜいイエローカードで十分な、よくあるファール。これで退場処分にしていては、どこのチームも90分を11人で戦うのは難しい。試合終了後、ドイツの選手は口々に「コーラーがヴェルンスのカバーに入っており、レッドカードが相応しい場面とは思えない」と発言、当のヴェルンスも「あとでビデオでリプレイを見直したが、レッドカードが出たのはジョークとしか思えない」と弁明していた。

 ドイツがドイツらしくなかったのはこの直後。前半ロスタイムに、ヤルニが目の覚めるような強烈なミドル・シュートを決める。10人でいかに戦うかというゲームプランを選手の間に浸透させるべき休憩時間を迎える前に1点を失ってしまった。後半はドイツの激しい当たりのために試合はやや荒れ気味。驚異的な運動量で必死に攻めようとはするが、時間とともに足も止まる。クロアチアがゲームを完全に支配していた。ドイツが攻める度にクロアチアのカウンター・アタックのチャンスが到来、80分にヴラオヴィチがこれまたものすごいミドルシュートで追加点、85分にはスーケルが決めて3−0。ゲルマン魂もこれまで。クロアチアがフランスと準決勝を戦うことになった。今回の決勝戦は新鮮味のある組合わせになるわけだ。

 もし退場者が出なかったとしても、もちろんクロアチアの勝利は十分あり得た。しかし、審判のレッドカードがこのような大差を作ったのは間違いない。あの赤紙がクロアチアの勝利の価値を下げてしまったと言いたいくらいだ。ドイツ・ファンではまったくないワタシでさえも、試合終了後の後味の悪さといったらなかった。この大会の裏テーマは、「審判の気紛れなレッドカードがワールドカップに新たな歴史を刻む」(大苦笑)。今大会は(前大会もだけど)レッドカードの基準を厳しくした。が、その基準の著しい不統一はフットボールの敵になりうる。

ドイツ 0−3 クロアチア
至福度 ★★
面白度 ★★
不満度 ★★★★★
(07/06)


正しいレッドカードの活用法。
オランダvsアルゼンチン

 30度を超える暑さ。イングランド戦での消耗が影響したのかどうか分からないが、終始オランダが中盤を支配していたゲーム。プレスをかけるオランダに対し、アルゼンチンがボールをつなげない。一方、オランダは次々とボールを奪って、グラウンドを広く使ったダイナミックなサッカーを展開。

 12分、R・デブールの突破からベルカンプへ、これをヘッドで中央に走り込むクライファートに落として先制。押し込まれていたアルゼンチンだが、18分、一本のパスからオランダの浅いディフェンス・ラインをクラウディオ・ロペスが抜け出てキーパーと1対1、余裕で同点ゴール。しかしそれでも流れは変わらない。耐えるアルゼンチンにチャンスが訪れたのは、77分のオランダのヌマンへの2枚目のイエロー・カード。これで11対10になって、ようやくアルゼンチンがボールを支配できるようになった。ここで一気に攻めに出れなかったことがアルゼンチンには悔やまれる。

 88分にオルテガがペナルティ・エリアで転倒。だが、これは審判がダイブと判定。さらにここでオランダのGKファンデルサルがオルテガに何かを言ったらしい。オルテガは立ち上がりながら頭頂部でファンデルサルの顎に頭突き、これで退場。挑発に乗ってしまった10番の退場で、再びゲームはオランダの手に渡る。90分、後方からのロングボールをベルカンプが正確にトラップ、ディフェンダーをかわして見事にゴール。

 オルテガとバティにそれぞれバーを叩いた惜しいシュートがあったとは言え、圧倒的にボールを支配されてしまったアルゼンチンの敗退はやむを得ない。しかも相手の退場でつかんだチャンスを愚行で逃してしまったとなっては……。オランダは攻撃的で、組織力もあり、決定力も高い。フィジカルも強い。ブラジルとの準決勝では攻め合いが見られる、かも。

オランダ 2−1 アルゼンチン
至福度 ★★
面白度 ★★★
愚行度 ★★★★★(オルテガ)
(07/05)


祭典にふさわしい至福の時。
ブラジル vs デンマーク

 「オープンマインドな」両チームの対戦は、今大会ここまでの中で最もおもしろい試合に。大事な試合ほど守備的になり、チャンレンジを拒んだゲームが多くなりがちな中、デンマークが勇敢に戦ってくれたおかげで「ワールドカップのサッカーはかくあるべし」(試合後のザガロ監督)という攻撃的な好試合になってくれた。

 開始わずか2分、デンマークが驚かせてくれる。ゴール近くのフリーキックのチャンスに、ブラジル・ディフェンスが整わない内に素早くリスタート、ブライアン・ラウドルップが走り込んでくるヨーゲンセンにアシスト、見事にゴールへ。なんとなんと、デンマークがブラジルをずる賢く出し抜いた。

 これでブラジルはいつものようにスロースターターではいられない。ロナウドが中盤に下がってドゥンガからのパスをもらい、ベベットへスルーパス、これをゴール左下隅ギリギリに決める。同点。いやー、不仲説があるとは信じられない見事なコンビネーション。

 次もまたドゥンガがカットしたボールをロナウドへ、これを前に走り込むリヴァウドへていねいな優しいパス。リヴァウド、落ち着いてこれを決める。ロナウド、2アシストで、ブラジル逆転。

 さて、後半。これからブラジルのゴール・ラッシュが始まるかと思えばさにあらず。デンマークは決して怯まない。ゴール前でロベルト・カルロスがオーバーキックでクリアしようとすると、これをカスッと空振り気味に足に当ててしまう。こぼれたボールはブライアン・ラウドルップの前へ。これをゴール右上に豪快に叩き込んで、まさかの同点。この試合で、ブラジル2度目の目覚め。お互い攻撃的な激しい展開に。60分、リヴァウドが遠目のミドルをほぼ正面から右下隅(サイドネットに当たるくらいギリギリ)に突き刺す。個人の技術だけで、再びブラジルがリード。大変なもんである。

 デンマークで惜しかったのは、77分にリーパーが決定的なチャンスを外したこと。両者ともこれまで決定的なチャンスを必ず生かしてきたが(おかげで試合は最高に引き締まってた)、ここが勝敗の分かれ目に。なにしろ、この時間帯は、ブラジルも足が止まり出していた。カフーがサイドを駆けあがっても、中に誰も走り込まないのは、守備も考えてのことだろうが、疲労もあったと思う。デンマークはDFのリーパーを前線に上げっぱなしてパワープレイに。リーパーのヘディングがバーを叩いて、あわや同点というブラジルのピンチもあった。今大会、ブラジルがここまで慌てたことはなかっただろう(一次リーグのノルウェー戦は結果の問われない試合だったわけだしさ)。

 ロスタイム、デンマークはコーナーキックのチャンスにGKシュマイケル最前線へ。場内騒然。そう言えば、イギリスのブックメーカーでは「シュマイケルがコーナーキックから得点するか」というのも賭けの対象になっていたっけ。しかし大穴を当てたギャンブラーはいなかった。笛が鳴って3−2でブラジルの勝利。タイムアップの笛にブラジルが救われたかのように思ってしまったのはワタシだけではないのでは(実際にはそんなことはないんだろうけど)。

 この試合、アタッキング・ゾーンでのボール支配率を見ると、デンマークがブラジルを上回っていた。王者ブラジルを相手に守って一発のカウンターを狙うというのではなく、デンマークは真っ正面から攻撃的に戦った。ザガロ監督は「われわれが2−3で破れていても不思議はなかった」と 語っていた。ただ、デンマークが得点する度に「受けて立つ」王者に火が点いたのも事実。もしデンマークが3点目を取れば、ブラジルはさらに強烈なプレイで襲いかかってきたはず。デンマークが攻撃的に戦ったおかげで好ゲームになった一方、この潔さをもってして王者を倒すのは困難とも思うわけで、このあたりに「勝利へのリアリズム」と「おもしろいサッカー」の二律背反を感じてしまう。

 次の試合は右サイドバックのカフーが出場停止になるが、代役は誰だ?

ブラジル 3−2 デンマーク
至福度 ★★★★
面白度 ★★★★★
熱闘度 ★★★★★
(07/04)


見応えある死闘。あるいは決定力不足vs守備偏重チームの凡戦?
フランスvsイタリア

 途中から、まるで決勝戦を見ているような気分になった試合。つまり、得点が入らない、(特にイタリアが)リスクを避けるために攻撃に人数をかけないっていう試合。前半はフランスが中盤を制圧、迫力のある攻撃を見せていた。0−0で終ったのはパリュウカの好セーブとフランスの決定力不足のためと言うべきか。特に前半ロスタイム、ジョルカエフがデシャンとの縦のワンツーでマルディーニをかわしてキーパーと1対1になった場面は決定的。これを蹴り損ねてしまうとは。

 イタリアはいつものように攻撃はデルピエロとヴィエリの強力2トップに頼って、守備優先で戦う。しかし前線にはほとんどボールが届かない。前半を0−0で終えたあたりまでは、これもイタリアのゲームプラン通りなのかとも思ったが、後半になってもあまりにもチャンスが少ない(というよりは攻撃している時間が圧倒的に少ない)。デルピエロとバッジョの交代も実らず。

 延長に入ると、ますますゴールは遠のく。イタリアはロングボールの放り込みという可能性は少ないが安全な攻撃へ。フランスは疲労している。決定的なチャンスをほとんど作れないまま時間が過ぎていく。フランスのコーナーキックが、なんと13本(それで一本も入らんか)。イタリアは2本。いかにイタリアは押し込まれていたことか。いくらツートップが優れていても、ペッソットはジダンのマークに追われている(それでもジダンは十分働いていたけど)、右サイドはフランスのテュラムが強力でなかなかモリエーロが前に出れない、おかげでディノ・バッジョ(途中からアルベルティーニ)とディビアージョの負担は激増という状態では(←ま、この辺TVだとよく分からんところもあるんだけど)、スコアレス・ドローに終ってしまってもしょうがない。

 PK戦はフランスの2人目、リザラスが失敗すると、イタリアもアルベルティーニが失敗。5人目、フランスのブランが決めた後、もっともプレッシャーのかかる状況でディビアージョがポストを叩いて外してしまう。うーん、よく見る光景(ちなみにバッジョは決めました)。フランスのGKバルテスは、PK戦に入る前、ベンチで「わっはっはっ」と大声で笑っていた。なんて神経だ。よっぽどおもしろいギャグでもかまされたのか(笑)。

フランス 0(PK4)−(PK3)0 イタリア
至福度 ★
面白度 ★★★
落胆度 ★★★★(ワタシゃイタリアvsブラジルの決勝を見たかった)
(07/04)


勝っていれば伝説のゴールだったかも→オーウェン
ルーマニア vs クロアチアアルゼンチン vs イングランド

 ハイライトでガマンするのは本日でおしまい。この後は全部観れるのだ。で、まずルーマニアvsクロアチア。これは今ひとつすっきりしない試合。えっ、あれでPKかよ、ってのが決勝点で0−1。後半は人数で守るクロアチアに対してルーマニアがボールを放り込むという展開で、数少ないチャンスも生かし切れず。暑かったのか?

 で、もう一つのアルゼンチンvsイングランド戦はいい試合だった模様。こりゃ盛り上がるに決まってる。なにしろ、かつて一つの試合の中でマラドーナの「神の手ゴール」と「5人抜きゴール」という2つもの歴史的プレイがあった対戦カード。しかもフォークランド紛争の当事者国だ(選手からすると関係ないだろうが)。予想通り激しい好試合に。開始5分にシメオネをGKシーマンが倒してPK。バティが決めて「揺りかごダンス」(3人目だそうです)。その後9分、オーウェンが縦の突破から転倒して、お返しとばかりPK。シアラーがもちろん決めて同点。しかし16分、オーウェン一人が爆発的な突破から右に流れながらのパワフル&ビューティフル・ゴール。もしイングランドが決勝まで行けば、これは伝説のゴールになったかもしれん。まったく、すごい選手です、オーウェン。で、さらに前半ロスタイム、ゴール前でのアルゼンチンFK。これを直接蹴ると思わせて、ヴェーロンが壁の裏で待つサネッティへ。左足できれいに蹴り込んで再び同点。2−2。

 後半開始早々にベッカムになんとレッドカード。シメオネに倒された後に、倒れたままチョンと足で蹴り返してしまっただけなのに(明らかに故意ではあるが)。報復行為だからレッドということなのか、それとも審判に何か言ってしまったのか。とにかくこれで試合の様相はがらりと変わった(ようだ)。消耗戦へ。イングランドのインスは守備で大活躍。一人少ないイングランドが延長戦までも守り切って、今大会初のPK戦へ。

 試合中のPKはめったに外れないが(先日のミヤトヴィチが8年ぶりだ)、PK戦のPKはよく外れる。お互い一人ずつ外して、5人目。後攻イングランドのバッティが外して試合終了。あの厳格なパサレラ監督が喜びのあまりズッコケてしまうところを見れようとは(笑)。

 イングランドのファンからすればPK戦で敗退とはすっきりしないだろうけど、ワタシとしてはアルゼンチンが勝ってくれて満足。だって、これにイングランドが勝ってしまっては、ベスト8から先は欧州選手権にブラジルが飛び入り参加しているようなものじゃないっすか。

ルーマニア 0−1 クロアチア
アルゼンチン 2(PK4-3)2 イングランド
(07/02)


絶好のチャンスを無駄にすると。
ドイツ vs メキシコオランダ vs ユーゴスラヴィア

 引き続き地上波ハイライトでガマン。まず、ドイツvsメキシコ戦。今大会最大の珍技ブランコ・ジャンプ(ボールを両足の間に挟んだままジャンプしてディフェンダーの間をすり抜ける)、いきなり失敗(笑)。後半、メキシコはエルナンデスのゴール前での落ち着いたドリブルから先制点ゲット。ドイツの攻撃は相変わらずシンプルかつパワフル。

 メキシコがドイツを突き放すチャンスはこの後に。中盤でボールを奪ってカウンター、アレジャノが長距離ドリブル、相手ディフェンダーに体を寄せられながらもシュート、バーに弾かれる……と思ったんだが、これスローで見るとドイツのマテウスのあわや自殺点というシュートだった模様(苦笑)。このバーに当たったボールをブランコが中央でフリーで待つエルナンデスへ。「ごっつぁんゴール」のチャンスにエルナンデス、GKケプケの真っ正面にボールを蹴ってしまい惜しすぎる決定機を失う。

 ドイツはゴール前の放り込みからこぼれたボールをクリンスマンがゲットして同点(もう終わった選手だと言われながらも、今大会大活躍ではないか)。さらに両者疲れ切った86分、左右に揺さぶってからキルステンのクロスにビアホフのヘディングで逆転。ワタシ的にはほとんど魅力の感じられないサッカーではあるが(ヘスラーは好き)、確かにドイツは勝ち方を知っている。

 続くオランダvsユーゴスラヴィアも好ゲームだった模様。守備的に戦うユーゴを見るとは。どうもユーゴの選手はフィジカル・コンディションもあまり良くないのか、一次リーグで見られたような華麗な中盤を作れない。ベルカンプに先制された後、ストイコヴィチの絶妙のフリーキックからコムリエノヴィチが同点ゴール。その後、PKのチャンスをミヤトヴィチが外してしまう(試合中のPKをはずしたのは8年前のヴィアリ以来なんだそうです)。ユーゴのディフェンスの足が止まっていたロスタイム、ダーヴィッツのミドルがキーパーの手をかすめてゴール隅に決まってオランダの勝利。今日の調子のユーゴでは勝てない。勝敗とは関係ないけど、ベルカンプってお行儀が悪い選手だねえ。あの選手踏み付け行為にレッドが出なかったのは不思議。

ドイツ 2−1 メキシコ
オランダ 2−1 ユーゴスラヴィア
(07/01)


スペインの立場はどうなる(苦笑)。
フランス vs パラグアイナイジェリア vs デンマーク

 こちらも地上波でハイライトのみ。すなわち試合翌日夜放映。なんとか結果を目にしないように、会う人には口を閉ざしてもらい、インターネットやパソ通には近づかず、コンビニのスポーツ紙からは目を逸らす苦行の一日。しかしうっかりしてたよ。放送時間を確かめようと思ってNHKのサイトで調べたら、もう準決勝の組合わせの決まったところが書き込んであるんだもん。

 で、まずフランスvsパラグアイ。フランスが攻めてパラグアイが守るって構図はこれまでの戦いから予想される通り。フランスのシュートがワクを外しまくったこともあって、0−0のまま延長戦へ。こういう膠着した試合のジリジリとした感じには、生放送なら最高にドキドキするだろう。ハイライトのため、その辺りがイマイチ味わえないのが残念なり。チラベルトのPK戦を見たかったが、今大会より採用の延長ゴールデン・ゴールで決着。フランスのブランが決めました。ワタシ的には好感度ナンバー2のチームが消えてしまって惜しい。

 もう一方のナイジェリアvsデンマークは全く予想外の展開に。開始3分にデンマークのメラーが決めて、これで試合がおもしろくなると思ったんだが、ナイジェリアの攻撃は淡白。ウソのようにデンマークが点を重ねる。圧巻は60分。デンマークはこの日大活躍のメラーを下げて、サンドを投入。ミカエル・ラウドルップが、その交代して入ってきたサンドにふわりと浮かせたパスを出して、ファーストタッチでゴールを決めさせる。4−1という得点差ほどボール支配に差があったわけではないが、とにかくナイジェリアは何かがおかしかった。フィジカル・コンディションが悪い。後方からの攻撃参加による怒涛の攻めがまったく見られない。スピードもない。パワフルで正確なロングシュートもない。一次リーグでスペインを破ったチームとは別物。すでにブラジルとの対戦を想定していたワタシ的には信じられないようなナイジェリアの不出来。何かピッチの上からは見えない理由があったのだと思うしかない。

フランス 1(G)−0 パラグアイ
ナイジェリア 1−4 デンマーク
(06/30)


強いチームの勝ち方二態。
イタリア vs ノルウェーブラジル vs チリ

 さて決勝トーナメント1回戦は、地上波では翌日に半分くらいに縮めたハイライトのみ放映。準々決勝が録画で後日放映、準決勝、決勝および3位決定戦になって、ようやく地上波でも生で放映される(W杯の中でもっとも勝敗が注目されない試合といってもいい3位決定戦をわざわざ生で放映するあたり、3位にも意味があるオリンピックと混同しているような気がする→NHK)。
 で、ここまでホテルに泊まる等、様々な手だてでBSを見てきたワタシなんだが、この決勝トーナメント1回戦に関しては、この翌日ハイライトでガマンする方針(番狂わせで強豪が早々と消えないことを祈る)。

 さて、まずはイタリアvsノルウェー。1次リーグで、親善試合モードのブラジルを倒したノルウェーが、イタリア相手にどこまでやるかという戦いだったんだが、どうやら1時間弱に短縮されたハイライトを見た限りでは、イタリアの完勝の模様。イタリアはデルピエロとヴィエリの2トップ、ケガのネスタの代役は前の試合の流れを引き継いで大ベテラン、ベルゴミ。18分にカウンターからヴィエリがディフェンダー二人を引きずりながら長距離を爆走、そのままシュートを決めたパワフルなプレイでイタリアが1−0とリード、このまま試合を終わらせた。ノルウェーにもT・A・フローの強烈なヘディングをGKパリュウカの超絶セーブに阻まれた惜しいチャンスがあったとは言え、むしろデルピエロが少なくとも2度の決定機を外してしまったこともあって、もっと点差が開いてもいい試合だったかも。これでデルピエロかR・バッジョかの議論が再燃するかも(マルディーニ監督はあくまでデルピエロで行くとは思うが)。

 もう一戦、ブラジルvsチリは、ブラジルのゴールをたくさん見れた試合。開始早々はチリが得意の短いパスをピシピシつないで、なんとブラジル相手にゲームを支配するというチリ的には至福の時が続いていたようだが、それもドゥンガのフリーキックからサンパイオが頭で合わせてブラジルが先制するまで(おお、Jリーグコンビだ)。ロベルト・カルロスの長距離砲のこぼれたところをサンパイオが2点目、さらに自ら得たPKでロナウド、キーパーとの一対一を落ち着いて決めて再びロナウド。チリはサモラノが競ってこぼれたところをサラスが頭で押し込んだ1点が精一杯。結果は妥当なところだが、それにしても今大会好感度ナンバーワンチーム、チリをもう見れないのが惜しい。勝負強さに欠けてたとしても、細かくて凝りすぎなくらいの、あの美しいパスワークはホントに楽しかった。試合前にサモラノが猛烈に気合いを入れてイタオペ調の国歌を叫び歌ってくれるのも好きだったなあ。なおハイライトなので★採点は止めときます。

イタリア 1−0 ノルウェー
ブラジル 4−1 チリ
(06/29)


決勝トーナメント / 一次リーグ第3戦 / 一次リーグ第1〜2戦

★は5点満点(って何だよそりゃ)
至福度:フットボールの醍醐味たるスーパーな個人技or
超モダンな組織プレイor壮絶な勝負の駆け引きなど
「至福の瞬間」の詰まり具合。
面白度:試合として自分的にどれくらい楽しめたか
っていう娯楽性の高さ。
あとは試合ごとにテキトーに。



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