amazon

Disc: 2019年12月アーカイブ

December 5, 2019

ビシュコフのチャイコフスキー「悲愴」論

●しばらく前に来日公演があったビシュコフ&チェコ・フィルのプログラムノートに、ビシュコフのインタビューが載っていた。この種のインタビューには珍しく、作品解釈についてあれこれ語っていて、チャイコフスキー「悲愴」の話がおもしろかった。
●ビシュコフは「悲愴」最大の秘密はフィナーレの意味だとして、初演を指揮して9日後に亡くなったチャイコフスキーの死因について、よく言われるコレラ説ではなく「自殺説がもっとも信憑性が高い」としている。自殺説はかつてニューグローヴ世界音楽大事典でも採用されていた時期があったが、最近はあまり耳にしない。まあ、どれも決定的な証拠を欠くだろうから、なんだってありうるのかもしれないが、その説を作品解釈の形で実践できるのが指揮者ならでは。ビシュコフはフィナーレを「死への抵抗」と解釈して、「死を受容したという一般的な解釈とは違った観点で臨む」と語っている。そんなの表現できるものなの?とも思うが、確かめたかったら彼らの録音を聴けばいいわけだ。

このアーカイブについて

このページには、2019年12月以降に書かれたブログ記事のうちDiscカテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブはDisc: 2019年11月です。

次のアーカイブはDisc: 2020年2月です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。