WOWOW
June 29, 2016

EURO 2016 ラウンド16 イタリア対スペイン、アイスランドの大番狂わせ

イタリア●自分が見た限り、今大会ベストマッチは文句なしにこの試合。イタリア対スペインという対戦カードは前回EURO 2012決勝の再現だが、あのときはスペインがイタリアをボッコボコにしたのだった。決勝なのに4対0という大差がついた。ゼロトップ・システム完成形の最強スペインがスペクタクルを展開したわけだが、イタリアは日程上不利なうえに試合中に2名の負傷交代が出て、しかもそのうちの二人目は(モッタなのだが)交代カードをぜんぶ切った後だったため、以降10人で戦うことになってしまったのだ(以上、4年前のおさらい)。となれば、イタリアが雪辱を期すためにどれほどの思いでこの試合に臨むかわかろうというもの。
●激しい雨のなか、キックオフから猛然とイタリアはスペインに襲いかかった。あまりのハイテンションに守勢に回るスペイン。これはまず見られない光景。事前に予想された「攻めるスペインに守るイタリア」という図式はどこにもない。今回のイタリア、スター不在とはいわれるが、気がつけばなかなかの大型チームになっている。前線のペッレは194センチで空中戦を支配。前半9分、フロレンツィのフリーキックからペッレが頭で合わせるが、これはデヘアがファインセーブ。今大会、ゴールキーパーのレベルの高さは尋常ではない。
●イタリアは2トップのコンビが機能している。長身のペッレとブラジル生まれのエデルによる2トップは、3バックのディフェンス・ラインともども、どこかクラシカルなテイストをもたらしている。前半33分、エデルがゴール前でフリーキック。強烈なシュートをデヘアがいったん止めるが、こぼれたところに猛然と走りこんだジャッケリーニが蹴りこみ、さらに跳ね返ったボールをキエッリーニが押し込んで、イタリア先制。すごい喜びよう。
●スペインは後半頭からノリートをアドゥリスに代えて修正を図る。イタリアは前半から相当飛ばしてきたので後半は足が止まるかも。と思っていたのだが、それでも必死に高い位置からの守備を続ける。スペインは次第にチャンスを作るようになったのだが、イタリアも徐々に守りの比重を高め、巧みにゲームをコントロール。スペインは途中出場のアドゥリスが負傷交代してしまう(4年前を思い出すが、立場は逆だ)。試合終了直前、攻めあがったスペインに対して、イタリアはカウンターからペッレがゴールを決める。イタリアの完璧な試合運び。そして、かつてEURO 2008、ワールドカップ2010、EURO 2012と主要大会3連覇を果たした偉大なチームは、ひとつのサイクルの終わりを迎えた。イタリア 2-0 スペイン
アイスランド●さて、残るもう一試合、イングランド対アイスランドで大波乱が起きた。開始早々にPKをプレゼントされてイングランドが先制したにもかかわらず、アイスランドはすぐさま同点ゴールを奪ったばかりか、さらに逆転ゴールまで決めて、そのまま逃げ切った。完全にノーマークだったチームがベスト8に進出。思わずアイスランドの人口を確かめる。人口は33万人。日本でいうとだいたい埼玉県所沢市とか秋田市と同程度である。つまり、所沢代表が欧州選手権に参加して、予選突破どころか本大会で決勝トーナメントに進出し、イングランド代表に逆転勝利したみたいな話であって、これはもうイングランドはどんな言い訳も不可能だろう。ロイ・ホジソン代表監督はショックのあまり辞意を表明。イングランドはEUからの離脱に続いて、EURO 2016からもまさかの逆転離脱。なにかの呪いじゃないのか。アイスランドによる最強男前伝説が誕生した。
●これで、ベスト8が出そろった。残るはポーランド対ポルトガルの「ポ」対決、ウェールズ対ベルギーの「一見地味だけど実はスーパースターが輝いてる」対決、ドイツ対イタリアの「一見派手だけど実はスーパースターが不足気味」対決、フランス対アイスランドの完全想定外対決。もうどこが優勝してもおかしくない。開催国フランスにはかなりプレッシャーがかかると思う。勝って当然と思われる反面、アイスランドは実際に強いはずなので(もう決勝まで進んじまえっ!)。日程面からは「ポ」対決の勝者が有利。こりゃ、「ポ」が来るんじゃないの。来るよ、来るよー、「ポ」、来ちゃうよ~。今回のEUROはおもしろい!!

June 28, 2016

EURO 2016 ラウンド16 フランス対アイルランド他

●EUROはラウンド16がいちばんキツい。選手がじゃなくてサカヲタのテレビ視聴者が。一日に3試合も放送されても絶対全部は見れないから。しかしここさえ乗り切れば、準々決勝からは1日1試合になる。耐えるしか。
フランス●フランス対アイルランドは、開始早々にポグバのファウルからアイルランドにPKを与えるという波乱の幕開けに。ロビー・ブレイディが蹴ったボールはポストを叩いて内側に。わずか3分でアイルランドが先制。万一これで開催国が敗れてしまうとズッコケ感が半端ではないが、後半13分と後半16分に立て続けにグリーズマンがゴールを決めてフランスが逆転した。フランスは後半からカンテを下げてコマンを投入し、4-3-3から4-2-3-1にしてから攻撃が円滑化した、ようにも見えるのだが、はたして。
●アイルランドは「魂のフットボール」。攻撃は至ってシンプルで、難しいことはしない。大半はサイドからのクロスボールかロングボール。それでも気迫がこもっていて手強い相手。ただ、後半からはペースダウンし、後半20分にダフィがグリーズマンを後ろからのタックルで倒してレッドカード。アイルランド・サポーターたちがスタジアムで歌っているあの歌、あれを2002年のワールドカップ日韓大会でも実際にスタジアムで耳にして心動かされたことを思い出す。外国から見て感じのいいサポーター、ナンバーワンだろう。 フランス 2-1 アイルランド
●ドイツ対スロヴァキアはドイツが完勝。ドイツの前線をどういうメンバーにするかが注目だったが、結局トップにマリオ・ゴメスを置いた。壊れていないものを直す必要はないということか。で、その下にドラクスラー、エジル、ミュラーを起用して、ゲッツェをベンチに。エジルのPK失敗があったのに3対0で勝ったんだから文句なしというべきなんだろうが、でもな。やっぱりマリオ・ゴメスで本当にいいのかと案じてる人は少なくないのでは。ドイツ 3-0 スロヴァキア
●ハンガリー対ベルギーは、期待通りベルギーが快勝してくれた。ベルギーは4ゴールの大爆発。グループステージではなかなか点の入らない大会だと思っていたが、決勝トーナメントに入ると派手な試合も出てくるようになった。個々の選手の質からいえばベルギーは優勝候補のはず。右サイドのアタッカーのポジションをメルテンス(ナポリ)とカラスコ(アトレティコ・マドリード)で分担してるのがぜいたく。 ハンガリー 0-4 ベルギー

June 27, 2016

EURO 2016 ラウンド16 スイスvsポーランド、クロアチアvsポルトガル、北アイルランドvsウェールズ

●いよいよ決勝トーナメントに突入したEURO2016。本当の戦いはここから。延長PK戦のケースも出てくる。さすがに全試合をじっくり見ることはできないのだが、メモ程度でも記録しておこう。
スイス●まずはスイスvsポーランド。ポーランドにはレヴァンドフスキという絶対的なエース・ストライカーがいるのだが、そのレヴァンドフスキのプレイに無理な体勢からのシュートなど、焦りを感じる。39分、コーナーキックの守備からポーランドがカウンターで逆襲。左サイドを突破したグロシツキのクロスに中でブワシュチコフスキが合わせて先制ゴール。堅守のポーランドだけにこれで試合が決まってもおかしくなかったが、後半37分、スイスに今大会随一のスーパー・ゴールが飛び出す。決めたのはシャチリ。ゴール前でのやや後方への浮き球に対して、戻りながら斜めひねり回転オーバーヘッドシュートとでも呼ぶようなアクロバティックすぎるキックで、見事にゴールに突き刺した。これは伝説だ。ついに生まれた今大会初の(もしかしたら唯一の)伝説。1対1の同点に。
●語り草となるゴールが生まれたのだから、これでスイスが逆転するというのが筋というもの。ところが、そのまま延長戦に入り、それでも決まらずPK戦に。スイスはジャカが失敗し、ポーランドは全員決めた。ポーランドが初のベスト8へ。せっかくの伝説のゴールが……。スイス 1 (4PK5) 1 ポーランド
クロアチア●クロアチアvsポルトガルは一見強豪同士の戦いだが、スペインを倒して1位通過してきたクロアチアと、グループステージを3引き分けの勝点3でやっと通過したポルトガルでは立場が違う。前後半を通してクロアチアが約60%のボール支配率。これがイタリアだったら支配率4割は「戦略」のひとつだろうが、伝統的に細かいパスワークを身上とするポルトガルにとって4割は「劣勢」でしかない。攻めるクロアチアに対し、体を張って粘りの守りを続けるポルトガル。結果として90分で枠内シュートゼロの地味な試合に。延長後半、ポルトガルのカウンターから、左サイドに出たナニが逆サイドのクリスチャーノ・ロナウドにディフェンスの間を通してクロスを入れ、クリスチャーノ・ロナウドのシュートをキーパーが弾いたところに途中出場のクアレスマが頭でごっつぁんゴール。この場面が試合を通じて唯一ポルトガルが枠内シュートを打ったシーン。クォリティで上回ったのはクロアチアだったが、ポルトガルは勝負に勝った。
●クアレスマといえば若き日に鳴り物入りでバルセロナに入団したものの(独特のリズムを持った変態ドリブルが魅力だった)、その後鳴かず飛ばずで、トルコやUAEのクラブでプレイし、気がついたら32歳のベテランに。「期待はずれ」に終わった才人といった印象が強いが、今大会でヒーローになってくれないものだろうか。クロアチア 0-1 ポルトガル
北アイルランド●ウェールズ対北アイルランド。ちょうどイギリスの国民投票で僅差でEU離脱派が勝利したという衝撃的なニュースがあった直後にこの試合。いっそのこと、EURO2016番外編で離脱派代表vs残留派代表で試合をしてはどうかと思っていたら、ウェールズ(離脱派)vs北アイルランド(残留派)が実現。この試合はハイライトしか見ていないのだが、スタジアム内にもEU離脱を巡るメッセージやチャントがあったようだ。報道によれば、北アイルランドのサポから「オレたちは残留に投票した。オレたちはバカじゃない」といったチャントも歌われたとか。しかし、試合は北アイルランドのオウンゴールが決勝点となってウェールズが勝利。暗示的というかなんというか、フットボール的には順当な結果なのだが……。ウェールズ 1-0 北アイルランド

June 24, 2016

アシュケナージ指揮N響のシューマン&エルガー、EURO2016 グループステージ第3戦 スウェーデンvsベルギー

●23日はアシュケナージ指揮N響へ(サントリーホール)。シューマンとエルガーのダブル「交響曲第2番」プロ。メインプロが2曲あるようでうれしい。シューマンは第1楽章冒頭が印象的。自分のイメージでは4分の6拍子で揺らめくような弦楽器が前景にあって、その背後から金管楽器の主題が後光のようにさすところだが、アシュケナージの遠近感は逆で、金管主題が前面に出て、遠く背景で弦楽器が揺らめくという構図。第1楽章全般に弦を抑制気味で、管楽器の厚塗り気味のオーケストレーションがいっそう際立つ。提示部のリピートはあり。これはあったほうが断然楽しい。第3楽章も多くの場合は悲痛で鬱々とした音楽で、一歩まちがえると大変なことになりそう感があると思うのだが、アシュケナージが振るとどこか前向きというか、楽天的な感じすらする。新鮮。
●エルガーは以前の第1番のときも感じたけど、指揮者の思い入れがたっぷりで、ものすごく生々しい。第1楽章冒頭から、危ういくらいのタメを効かせて入ってドキドキ。それにしてもなんて高貴で威厳に満ちた音楽なんだろう。ディテールまで作りこんだ音楽を再現してくれるというよりは、その場その場に沸き起こる感興を大切にしたようなエルガーで、とても心を動かされた。客席の反応はばらけた感もあったが、定期でエルガーとなれば関心の度合いが分かれるのはしょうがないか。
---------
●さて、フランスで開催されるEURO2016は、グループステージが終了。一日休んで決勝トーナメントに入る。各組3位の明暗が分かれて、勝点4のスロヴァキアとアイルランド(メンバーを大幅に入れ替えたイタリアを倒した!)は文句なしの通過、勝点3は得失点差でポーランドと北アイルランド(!)が通過、トルコとアルバニアは惜しくも敗退となった。ま、まさか北アイルランドが通過していたとは。あと、小国アイスランドが残ったのもびっくり。
決勝トーナメントの対戦表を見ると、なんだか妙に英国度が高い。イングランド、ウェールズ、アイルランド、北アイルランド。伝統的にイングランドに次ぐ強さと思われたスコットランドは予選落ちして本大会に出場していないので、ぜんぶ生き残ったわけだ。ということは、もしも、イングランドvs北アイルランドが実現したら、両国とも国歌斉唱で「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」を歌うってことっすよ! なにそれ。見てみたい!しかしそのためには両者決勝まで進む必要あり。
スウェーデン●グループステージ第3戦、スウェーデン対ベルギーは、両者勝ちたいという気持ちが強く、この大会では珍しくキックオフ直後からハイテンションのガチバトルになっていた。イブラヒモヴィッチの代表引退宣言直後とあって「オラオラオラオラ」と攻めまくるスウェーデン。ベルギーも負けずと個の力で攻める。それでも両キーパーのナイスセーブ連発もあり前半は0対0だったのだが、中身はエキサイティング。ポゼッションもパスの本数も五分五分。
●後半38分にベルギーのナインゴランの目の覚めるようなミドルシュートが決まり(よく見ると相手ディフェンスに当たってコースが変わっている)、これが決勝点となった。敗退決定したスウェーデンだが、どうもイブラヒモヴィッチが足枷になっていたように思えてしょうがない。突出したタレントだがオレ様意識が強すぎて、他の選手がみんなイブラヒモヴィッチの機嫌をうかがうようなプレイをしていて、楽しくない。自分の知ってるスウェーデンはこんなチームじゃない。一方、ベルギーはスターぞろいだが組織戦術がないと批判されているが、トップのルカクの動きを見ているとそれももっともだなと思う。オフ・ザ・ボールの動きがおざなりで「なんで、そこでニアに詰めてないの?」と苛立たせる。ルカクは足元で欲しいようだが、あれだけスピードとパワーに恵まれているんだから予測して走りこんで点で合わせてほしい。スウェーデン 0-1 ベルギー
●スウェーデンのイサクソンにしてもベルギーのクルトワにしても本当にキーパーがうまい。今大会、キーパーの質が異様に高く、アジアとの差を痛感させられる。あとは審判のレベルも。ワールドカップでは絶対にありえない安心感。EUROはそこがいい。
---------

●お知らせをひとつ。今週土曜夜のFM PORT「クラシック ホワイエ」は、Jリーグ中継の影響でいつもより1時間10分遅い23時10分からの放送です。中止じゃないので、忘れないで~。

June 23, 2016

EURO2016 グループステージ第3戦 北アイルランドvsドイツ。僅差のワンサイドゲーム

北アイルランド●今までに一度でも北アイルランド代表の試合を見たことがあっただろうか。アイルランドならある。でも北アイルランド。同じ緑のユニで(もしかすると)似たようなスタイルのサッカーをしているのに、国歌はゴッド・セイブ・ザ・クイーンを歌っていて、やっぱりアイルランドとは違う。
●で、試合内容は一方的なドイツ・ペース。今大会で見た試合のなかで、いちばん個の力の差を感じた試合だったかも。北アイルランドはけれんのない魂のフットボールで、ドイツ相手にでも正々堂々と正面から立ち向かうので、おかげで次々とドイツがチャンスを作り出す。北アイルランドのキーパー、マクガバンがファインセーブを連発してしのいでいたが、どう考えてもこの守りでは耐えきれるはずはない、もっとパスの出どころからつぶしにかからないと……と思っていたら、前半29分についにマリオ・ゴメスに先制点を決められる。これはもう必然の失点。
●ドイツはゲッツェのいわゆる0トップシステムをあきらめ、トップにいかにもトップらしい長身のマリオ・ゴメスを起用した。マリオ・ゴメス、トルコ・リーグ得点王のベテラン。トルコ・リーグ得点王というのがドイツ基準で見てすごいんだかそうでもないんだか、なんとも微妙なところだが、とにかく結果は出した。サイドに回ったゲッツェは好機に決めきれず、どうも今大会、調子が上がらない。55分にシュールレと交代させられてしまう。人材がいくらでもいそうなドイツだが、この後トップをどうするかというのは悩みどころか。マリオ・ゴメスで解決したとは正直あまり思えないのだが……。
●結局、ドイツは追加点を奪えず、前半の1ゴールで勝利を決めた。ボール保持率は70%を超えるワンサイドゲーム。北アイルランドには前日のスロヴァキアと同様、守りに守って引き分ければ、勝点4の3位を確定させて決勝トーナメントに進むという戦略がありえた。しかし真正面から戦って敗北。ひとまず、勝点3という当落線上に留まることに。北アイルランド 0-1 ドイツ
●この日は2グループの試合が行われたのだが、スペインvsクロアチアで、クロアチアがスペインに勝利してしまった。うーん、そっちの試合を見るべきだった! クロアチアは優勝候補の一角に食い込んでいる。

June 22, 2016

五嶋みどり&オズガー・アイディン デュオ・リサイタル、EURO2016 グループステージ第3戦 スロヴァキアvsイングランド

●20日はサントリーホールで五嶋みどり&オズガー・アイディン デュオ・リサイタル。ウィーン・プログラムとでも呼べる選曲で、リストの「ウィーンの夜会」から「ヴァルス・カプリース第6番」(シューベルト原曲、ヴァイオリンとピアノ用に編曲)、シェーンベルクの幻想曲op.47、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第40番変ロ長調K.454、シューベルトの幻想曲ハ長調。シェーンベルクとシューベルトの両幻想曲で、ブラームスとモーツァルトのソナタをはさむ格好。大ホールでのリサイタルという条件を逆手にとるかのようなプログラムで、広大な空間に合わせた大柄な表現で迫るのではなく、むしろ親密な雰囲気が醸成されていた。
●とりわけシューベルトが精彩に富み、情感豊かなピアノとともに満喫。端然としたモーツァルトとの対比も鮮やか。アンコールにクライスラー「愛の悲しみ」「愛の喜び」がほぼ続けて演奏されると、いっそう盛大な拍手が沸き起こった。客席が温かい。
-------------
スロヴァキア●話は変わって(変わりすぎだ)EURO2016のグループステージ第3戦、スロヴァキアvsイングランド。グループBの裏番組はロシアvsウェールズ。同時キックオフなのでどちらかしか見れないわけだが、1勝1分のイングランドの命運が気になってこちらを選択。イングランドは1位から3位までどんな可能性も残されていたのだが、ロイ・ホジソン監督は賭けに出た。先発を6人変更、ルーニーはベンチに。トップはヴァーディ。先の先まで進むつもりという宣言ともとれる。
●試合はイングランドが攻めまくった。スロヴァキアも戦う姿勢を見せて好バトルに。前半16分、ヴァーディが縦へのスピードで相手ディフェンスを置き去りして惜しいシュート。後半頭にスタジアムからゴッド・セイブ・ザ・クイーンの歌声。イングランドはルーニー、デレ・アリ、ケインと次々投入し攻勢を強める。後半途中からスロヴァキアは疲れのためかラインを押し上げられない。そこで、はっと気がついた。スロヴァキアはここで「引き分けで3位狙い」というラディカルな作戦を敢行しているのではないか。裏番組ではウェールズがロシアに3対0で快勝。スロヴァキアは同じ3位でも負けて勝点3と、引き分けて勝点4では大きく事情が変わる。前者なら決勝トーナメント進出はどうなるかわからないが、後者ならほぼ確実(あるいは確実?)ということなのだろう。
●スロヴァキアの目論見通り、イングランドは攻めあぐねて0対0で終わった。これでウェールズが勝点6で1位、イングランドは勝点5の2位で決勝進出決定。しかし喜んでいるのは勝点4の3位を確定させたスロヴァキアの選手たちのほう。一見奇妙な光景だが、合理的な戦略と讃えたい。スロヴァキア 0-0 イングランド

June 21, 2016

EURO2016 グループステージ第3戦 スイスvsフランス。クロスバーと予定調和

スイス●さて、今週からグループステージ第3戦へ突入。大会はここからがおもしろくなる。まずはグループAのスイスvsフランス、ルーマニアvsアルバニアが公平を期すために同時刻に開催。勝点4のスイスと勝点6のフランスは、お互いに引き分ければ決勝トーナメント進出できるという優位な状況にある。スイスは勝てばグループ1位になれるし、負ければ3位に転落する可能性もあることはあるという微妙な状況。フランスはパイエ、カンテ、マテュイディを休ませた。別に休ませなくてもフランスは1位通過なら中6日で次戦を迎えることができるので、コンディション調整というよりはチームの士気を上げるためだろうか。
●前半は両チームともファイトした。スイスがパスをつなぎ、ボール保持率で上回るのだが、ゴール前でのアイディアに乏しく、チャンスが作れない。フランスが相手に適度にボールを持たせながら、しっかりとゲームをコントロールしていた感。この大会はゴールポストが大活躍する大会で、この日も絶好調。前半、ポグバの強烈なミドルシュートをクロスバーが跳ね返し、後半には途中出場のパイエの強烈なシュートを弾き出した。このパイエのゴールは決まっていたら初戦に続くスーパー・ゴールだったと思う。
●ディテールで奇妙な事件がいくつかあった。後半8分、ボールがパンクした。スイスのジャカは試合中に2度もシャツを引き裂かれた(その度に新品が出てきた。いったいひとり何着まで用意してあるのか)。しかしゴールは生まれない。後半30分過ぎからは「もう、引き分けでいいよね」的な暗黙の了解がピッチで支配的になる。凡ミスをすれば話は別ということで、両者慎重にトーンダウンして試合を0対0で終わらせた。試合を通じてポゼッションで上回ったスイスだが、オン・ターゲットのシュート数はゼロ! トップに若手のエンボロを抜擢して、攻撃は活性化されていたとはいえ、あと一歩が足りない。着実に第2位を確定させたのだから、これはこれで彼らの成功なのだろう。スイス 0-0 フランス
●裏番組はルーマニア 0-1 アルバニアで、アルバニアが歴史的勝利を収めた。試合終了後、まるで優勝したかのように喜びを爆発させるアルバニア。勝点3でグループ3位を確定させた。各グループ3位は成績上位の4チームが決勝トーナメントに進める。勝点3は十分に希望の持てる数字では。もし残れば大きなサプライズを起こすかも。

June 20, 2016

EURO2016 グループステージ ポルトガルvsオーストリア

●えー、オーストリア人もサッカーするの? 欧州にありながら(そしてフィジカル的にドイツ人とほぼ変わらないはずなのに)なぜかサッカー界では存在感がまったくなく、正直ニッポン代表より弱そうな国……と、思っていたら、なんと、今やオーストリアのFIFAランキングは10位! フランスやイタリアより上にいる。もうニッポンから見ればはるか彼方の高み。時代は変わる。キープレーヤーのアラバはバイエルン・ミュンヘン所属の23歳。ウィーン生まれで、母親はフィリピン生まれ、父親はナイジェリア人という家系(ってことは、アジア系と言えないこともない?)。
ポルトガル●で、クリスティアーノ・ロナウド率いるポルトガルと対戦。予想通りポルトガルがボールを保持して攻勢に出て、オーストリアは堅い守りで耐える展開。しかし、この日のクリスティアーノ・ロナウドは切なかった。後半、オーストリア守備陣の隙をついて決定機を2度ほど迎えるが、ともに決めきれず。後半32分には自らPKを獲得してこれを蹴るも、ポストに当てて失敗。さらに後半39分、クロスボールにゴール前でどフリーになって、今度こそ決めたと思ったらオフサイド。ひたすらクリスティアーノ・ロナウドが天を仰ぎ続けるという、割とよく見る光景が続く試合で、さっぱり盛り上がらないまま0対0で終わってしまった。ポルトガルは前の試合に続いて引き分けで、チャンスの山は築くが決めきれずに自滅している感。2試合を終えて勝点2という微妙な事態になってしまった。
●一方のオーストリアもFIFAランキング的には本命のはずが、これで1敗1分。これでグループFはぜんぜん注目していなかったハンガリーが勝点4でリード、アイスランドが勝点2という大混戦になった。なんというか、このグループは「まあ、ポルトガル以外は地味すぎるから見なくてもいいや」組だと思っていたのに、3節目がやたらとエキサイティングな状況に。うーむ、これは大誤算、テレビ観戦予定的に。ま、しょうがないか。
●ところで試合開始前の国歌だが、WOWOWの中継でオーストリア国歌は「モーツァルト作曲」とされていた。この曲、今はヨハン・ホルツァーの作曲というのが定説となっているようだが、CDでもモーツァルト作曲とされている例はいくらでもあるので、それはそれでありだとは思う。ケッヘル番号はK.623a。で、このテロップだけ見ると、「さすがオーストリアは国歌をモーツァルトに発注するのかー」と誤解する人もいるんじゃないかと思うが、そうではなくて既存の曲を国歌にしたわけだ。この手を使えば、どんな大作曲家にも国歌を作ってもらえるので、これから新たに国を作る人は新曲を委嘱するより既存の楽曲の活用を考えるのも一手ではないだろうか。などと、どうでもいいことを考えてしまう程度には、ぱっとしない0対0だった。ポルトガル 0-0 オーストリア

facebook / twitter

Twitter

過去記事一覧

過去記事見出し一覧はアーカイブに。

制作者

飯尾洋一(Yoichi Iio)

このサイトについて/プロフィール
since 1995.

ショップ

国内盤は日本語で、輸入盤は欧文で検索。

MyBlogList

shortcut

CLASSICA [HOME]
home
links
side_b