ドミノ・ピザ【PC向けサイト】
December 2, 2016

「今宵は気軽に クラシックなんていかがですか?」 (楽しく学べる学研コミックエッセイ)

●お知らせをひとつ。学研のコミックエッセイ「今宵は気軽に クラシックなんていかがですか?」(著:田中マコト、監修:飯尾洋一、鈴木文雄)が刊行された。今日あたり店頭に並ぶ予定。思いっきり入門者向けのコミックで、有名曲35曲を集めたCD付(スマホでも聴ける)。これまでクラシックとはぜんぜん縁がなかったOLさんが、新しい趣味としてコンサートに足を運んでみるといった筋立てで、マンガを読みながらクラシックに親しめるという構成になっている。
●著者の田中マコトさんは、「のだめカンタービレ」の登場キャラ「音大生のマキちゃん」のモデルになった方で、音大出身の漫画家&イラストレーター。帯には二ノ宮知子さんの推薦文付き。ワタシは監修としてお手伝いさせていただいたのだが、ネタ出しには携わっていないので、中身のおもしろさはすべて田中マコトさんによるもの。編集段階でのネームやゲラを読ませてもらって、最初の読者のひとりとして楽しませてもらった。ネームを読むのってなんだか新鮮。
●本文196ページ、冒頭がカラーで、CDまで付いて本体価格1000円で収まるのってスゴい。売れますように。

December 1, 2016

デュトワ指揮N響のプロコフィエフ、ラヴェル、ベートーヴェン

●30日はサントリーホールでデュトワ指揮NHK交響楽団。プログラムが少し変わっていて、前半がプロコフィエフの組曲「3つのオレンジへの恋」とラヴェルの「マ・メール・ロワ」、後半がベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。ゲスト・コンサートマスターにロイヤル・フィルのダンカン・リデルが招かれていた。N響には3度目の登場。ロイヤル・フィルはデュトワが芸術監督を務めるオーケストラ。
●前半はデュトワ得意のプログラムで、切れ味鋭いプロコフィエフと色彩感豊かなラヴェル。「マ・メール・ロワ」の終曲「パゴダの女王レドロネット」がすごく柔らかい弱音で開始されたのが印象的。そこから曲のおしまいに向けて次第に高潮してゆく様が白眉。この日の3曲って、1曲目から順に編成が小さくなっていくんすよね。で、「3つのオレンジへの恋」と「マ・メール・ロワ」っていう「おとぎ話」プロに、ベートーヴェンの「運命」が続くんだけど、これは「おとぎ話」としての「運命」がありうるってことなんじゃないかなと思った。波瀾万丈の物語、とことん描写的な4つの冒険譚からなる「運命」。
●「運命」冒頭の気合の入り方がすさまじかった。フンッ!フンッ! え、今のだれの唸り声? あ、デュトワ!?
●「3つのオレンジへの恋」って、なんでオレンジなんでしょう。

November 30, 2016

「火の鳥」、立ち上がったマリス・ヤンソンス

●28日はサントリーホールでマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団。この日のプログラムは前半にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ギル・シャハム)、後半にストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1945年版)というプログラム。ベートーヴェンの協奏曲、第2楽章から第3楽章に入るときの一瞬ティンパニが入るカデンツァはなに? 堂々たる風格漂うベートーヴェン。アンコールを弾く前に、袖からハープ奏者やホルン奏者が入ってきて、なにをやるのかと思ったら、シャハムがクライスラーの「美しきロスマリン」を弾く、と。なんと、オーケストラ伴奏入りだった。
●後半の「火の鳥」はやや珍しい1945年版の組曲。「火の鳥」にはいろんなバージョンがあって、よく演奏されるのは1919年版の組曲。これがまあ、いちばんよくできているとは思う。2管編成だし、長さも20分程度。密度が濃い。でも、コンサートの後半を任せるには尺が足りない。全曲版はもりだくさんで楽しいけど、4管編成が必要で、45分もかかる。なんだか「帯に短したすきに長し」って感じだけど、これをうまく補ってくれるのが1945年版、ということになるはずなんだろう。1945年版は2管編成で30分くらい。1919年版を大盛りにした感じで、密度もほどよし。でも、なんだかオーケストレーションが微妙に硬い気がするのは自分だけ? いろんな版があってややこしいんだけど、だったらもういっそモジュール化して、演奏会ごとに選曲とかオーケストレーションをカスタマイズできる仕組みがあるといいのかもしれない。「魔王カスチェイ」の出てこないイジワルな「火の鳥」組曲とかあったらイヤすぎる。
●本編のプログラムが終わって、カーテンコールで、ステージに出ようとしたヤンソンスが転倒するという場面があった。凍りつく客席。一瞬、拍手は完全に止んだ。しかしヤンソンスは立ち上がって、客席に向かって両手でガッツポーズを見せてくれた。とはいえ、本当に大丈夫なのか。心配な気分のまま、アンコールへ。グリーグの「過ぎにし春」、そしてエルガー「野生の熊たち」。盛り上がって終わったが、なんだか気になる。帰宅してみたら、主催者のTwitterで、随行するドクターに診てもらったヤンソンスの「大丈夫だから心配しないで。会場に来ていた皆さんにも伝えて!また会いましょう!」というメッセージがあげられていた。

November 29, 2016

大きすぎる白シャツについて

白ワイシャツ●クリーニング屋のビニール袋をかぶったまま、たぶん10年くらいは着ていないんじゃないかという白のワイシャツを発見した。着てみると、なんだかサイズが大きい。首回りがゆるゆるで指一本どころか拳が入りかねない。袖もやたらと長い。上着の袖からガバッとシャツがはみ出る。どう考えても、これは着用できない。なぜこんなことになったのか、考えてみた。
●仮説1。この10年の間に体が縮んだ。縮みゆく男なのか。
●仮説2。これは自分のワイシャツではない。10年前、クリーニング屋から手違いで他人のシャツを受け取ってしまったにもかかわらず、すぐに確認しないまま月日が経ってしまった。10年前、ピチピチのワイシャツを着て苦しそうにする巨漢を近所に見かけなかっただろうか。
●仮説3。シャツが伸長した。
●ひとまずは正しいサイズのシャツを一着、買い求めることにした。

November 28, 2016

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団のアルプス交響曲

昭和記念公園の紅葉
●26日はミューザ川崎でマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団。ハイドンの交響曲第100番「軍隊」とR・シュトラウスの「アルプス交響曲」という大変魅力的なプログラム。2曲の共通項はバンダの活躍か。「軍隊」の第2楽章、トランペットのファンファーレは舞台袖から。第2楽章の後、打楽器隊が袖に引っ込んだので「もしや?」と思ったら、第4楽章終盤で、客電が少し明るくなって、下手から軍楽隊のパレードが登場して客席最前列を練り歩いた。これには笑った。以前、まったく同じ趣向をブリュッヘン指揮新日本フィルで目にしたが、ブリュッヘンによればこれは歴史的にそういう事例があるといった話だったように思う。趣向のおもしろさに加えて、演奏も生気にあふれた見事なもの。
●で、後半は大編成の「アルプス交響曲」。のびやかでパワフルだけど余裕の感じられるブラス・セクションをはじめ、オーケストラ全体が一体となって描く最高水準の音のパノラマ。細部まで彫琢された響きの芸術に圧倒される。描写的でドラマティックな曲ではあるんだけど、むしろ絵画的という意味で静的な印象も。この曲って、自然賛歌であるにもかかわらず(というか、だからこそ)、神々しいと感じてしまう。もっぱら世俗的なイメージを喚起させるシュトラウス作品にあって、例外的に神秘的恍惚感をもたらしてくれる作品というか。盛大な喝采にこたえて、ヤンソンスのソロ・カーテンコールあり。とてつもない演奏を聴いたという実感。
●この日、公演の前に昭和記念公園に紅葉狩りに出かけていたのであった。山歩きの内には入らないけど、先日降った雪もわずかに残っていて、それっぽい雰囲気は少しだけ味わえたか。

November 25, 2016

ダニエル・ハーディング指揮パリ管弦楽団のベルリオーズ他

●24日は東京芸術劇場でダニエル・ハーディング指揮パリ管弦楽団。新日フィルでなんども聴いたハーディングが、パリ管弦楽団の音楽監督になって帰ってくるとは。プログラムが新鮮で吉。この日はブリテンの「ピーター・グライムズ」から4つの海の間奏曲、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(ジョシュア・ベル)、そしてベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」から。芸劇は可動反響板をおろしてオルガンを隠す設定。冒頭のブリテンからとてもよく鳴る。「4つの海の間奏曲」を聴くともうそれだけで気分は寒村で疎外される孤独な男の気分になれる。ハーディングが作り出すイメージは思った以上に起伏に富み、雄弁。どの曲でもそうだけど、細部までデザインが施された鮮度の高い解釈に刺激されつつも、オーケストラの色彩的で輝かしいサウンドに聴きほれるばかり。
●ジョシュア・ベルは視覚的にも音楽的もゼスチャーが大きくて、非常に甘美で情感豊かなブラームス。感情表現の振幅が大きくて、一瞬でぐぐっとギアチェンジして一気に気分を高揚させるあたりが巧み。そして第1楽章のカデンツァは初耳。これはベルのオリジナルなんだろうか。すばらしい。部分的にヨアヒムも? オーケストラの強奏時にも埋没することなく、美音が届く。あと、カーテンコールで楽器を持たずに出てくるというのはいい手かもしれない。「アンコール、あるのかな? それともないのかな?」って妙にヤキモキしなくて済むから。
●劇的交響曲「ロメオとジュリエット」をベルリオーズの最高傑作と呼んだのはシルヴァン・カンブルラン。全曲はともかく、「愛の情景」とか「キャピュレット家の大宴会」は奇跡の名曲だと思う。で、当初、プログラムでは「愛の情景」で始まって、「キャピュレット家の大宴会」で終わる4曲が発表されていたけど、当日になってみると変更があって、「ロメオひとり ~ キャピュレット家の大宴会」「愛の情景」「マブ女王のスケルツォ」「キャピュレット家の墓地にたたずむロメオ」という曲順。え、「キャピュレット家の大宴会」で華々しく盛り上がって終わるんじゃないんだ。でもこれならストーリーの順に沿っているということなのか。最後は寂寞とした幻想的な情景で、少し尖がったアンチクライマックスに。おもしろい。アンコールはなかったが、すでに9時半コースだったので長さは十分。

November 24, 2016

マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団のブルックナー

●22日はNHK音楽祭でマイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団(NHKホール)。ショパンのピアノ協奏曲第2番(ユジャ・ワン)とブルックナーの交響曲第7番。前回来日ではマーラーの5番でスーパー・オーケストラぶりを発揮してくれたサンフランシスコ交響楽団だけど、このコンビからは遠そうなブルックナーだとどうなるか、というのが最大の関心。この数年にわたる「意図してブルックナーの7番を聴く」という勝手ツィクルスの総決算のつもりで。
●ユジャ・ワンのショパン。この曲では持ち味の敏捷性、切れ味、瞬発力が前面に出ることはないが、みずみずしく清新なショパンを堪能。これから年齢を重ねていったときにどうなるかを少し予感させる。アンコールはシューベルト~リスト編の「糸を紡ぐグレートヒェン」。十分すばらしいんだけど、ここでバリバリの超絶技巧曲で客席を熱くしてくれれば、と思わなくもない。
●で、問題のブルックナー。いやー、もうまったく聴いたことがないブルックナー。「勝手ブル7チクルス」の前回はブロムシュテット&バンベルク交響楽団で、圧倒的な伝統の力にノックアウトされたのだが、今回はその正反対。明るくきらびやかなサウンドで精緻に音響設計された、ゼロから生み出したような最新モデルのブルックナー。脱教会、脱オルガン、脱ドイツの森、脱野人、脱原始霧でフルモデルチェンジ。暗黙に期待されるあれやこれやをぜんぶ取っ払ってみたら、なんだか垢抜けた作曲家像が誕生した。この曲にこんな色彩感やスピード感、キラキラとした輝きがあったとは。特に第2楽章が印象的。シンバル、トライアングル入りのクライマックスが荘厳でも重厚でもなく、透明感があって爽快。さわやかブル7。
●すばらしいベートーヴェンやすばらしいモーツァルト、すばらしいバッハに多様性がありうるように、すばらしいブルックナーにもいろんなスタイルがあるんじゃないか……と期待していた気持ちを満たしてくれたという点では、最強に強まったブルックナーだった。しかし、一方で自分のなかではかなり消化不良な感もあって、瞬間瞬間のおもしろさを頼りに聴き通せても、大曲を貫く一本のストーリー性を感じ取るのは難しかった。できることなら、もう一回聴いてみたい、かな。

November 22, 2016

J2リーグ戦が終了、プレイオフと入れ替え戦へ

松本のアルウィン
●今季のJ2リーグ戦全日程が終了した。1位のコンサドーレ札幌、2位の清水エスパルスがJ1への自動昇格。札幌は久々のJ1。清水は1シーズンでJ1復帰。戦力的に勝って当然という見方もあるだろうが(鄭大世と大前元紀という元ドイツ組が2トップにいる)、中盤までは厳しい戦いだったんじゃないだろうか。終盤に9連勝して、3位の松本山雅を得失点差でかわした。小林伸二監督がJ1昇格に導いたのはこれで4クラブ目だとか。まさに昇格請負人。
●3位の松本山雅が惜しかった。上の写真は以前訪れた松本山雅の本拠地アルウィン。球技専用スタジアムで環境は最高。途中までは2位は堅いと思ったが……。反町康治監督は日本人監督では屈指の名将だと思う。名のある選手がほとんどいなくても、堅固な組織的守備とセットプレイ得点率の高さで好成績を収める。一度資金力のあるクラブを率いるところを見てみたいもの。細かい約束事が多そうなサッカーなので、代表監督よりクラブチーム向きか。
●で、J1昇格を賭けた3つ目の椅子は、松本山雅、セレッソ大阪、京都サンガ、ファジアーノ岡山で争うことに。岡山は大健闘。今回も、引分けだとリーグ戦上位が勝ち抜けるという変則的なルールの昇格プレイオフが開催される。J1チャンピオンシップもそうだが、変則的なルールには当事者サポ以外の関心がうんと薄らぐという弊害がある気がする。
●残留争いは熾烈。最下位22位のギラヴァンツ北九州はJ3へ自動降格(元鹿島の本山雅志がプレイしている)、21位のツエーゲン金沢はJ3の2位栃木SCと入れ替え戦へ。この21位金沢と22位北九州の差はわずか勝点1。最終節、金沢は札幌とアウェイで対戦した。札幌は「引き分け以上で優勝」というシチュエーションで慎重な戦い方をしたところ、両者納得の0対0で終わった模様。北九州は山形に0対3で敗れた。もし途中で北九州がリードする展開になっていれば、金沢は札幌相手にリスクを負って攻撃を仕掛けるしかなくなり、結果的に失点する可能性も高かったはず。主導権はどちらかといえば北九州側にあったと思うのだが、後半早々に失点したのが痛すぎた。
●ついでに書くとJ3で優勝したのは大分トリニータ。J2に帰ってくる。監督は片野坂知宏。
●というわけで、J1のチャンピオンシップよりよほど熱そうなのが、金沢対栃木のJ2・J3入れ替え戦。11月27日(日)に栃木で、12月4日(日)になぜか富山で開催される(なんで富山なの??)。入れ替え戦ほど過酷な試合はないというが、自分だったら膝が震えて立っていることすらできないと思う。

facebook / twitter

Twitter

過去記事一覧

過去記事見出し一覧はアーカイブに。

制作者

飯尾洋一(Yoichi Iio)

このサイトについて/プロフィール
since 1995.

ショップ

国内盤は日本語で、輸入盤は欧文で検索。

MyBlogList

shortcut

CLASSICA [HOME]
home
links
side_b