●あるピアニストのリサイタルで、アンコールが終わった後に客席から飛び出したかけ声がこれ。「ありがと~う!」。これは正しい、圧倒的に。「ブラボー」でも「ブラ~ボ」でもなく「ありがとう」。女性だった。ステキな音楽を聴かせてくれてありがとう、楽しい時を過ごさせてくれてありがとう。
●「ブラボー」は完璧完全100%十分にすでに客席に定着してるけど、なんかフツーの日本人としては照れくさい感が大アリなわけで、感極まったからツルッと出るかと言えば出ない。そこで「ありがと~う!」。これならツルツルッと出る。感謝の気持ち、すばらしいですね。
●じゃあ「ブー!」はどうなんだっていうと、これは前にも書いたけど、日本人の多くはうまくできないので、代わりに「エーッ!?」がオススメ。ブーイングならぬ、エーイング。
●これから東京のコンサートホールには「ありがと~う!」が流行する予感。さあ、アーティストへの感謝の気持ちを込めて、恥ずかしがらずに大きな声で言いましょう。「ごちそうさま~!」、あっ、ちがった!
「ありがと~う!」
Ctrl とCapsLock
●すっごく古典的な話なんだけど、今のPC用のキーボードって a の左隣にCapsLockキーがあって、一番左下と一番右下にCtrlキーがあるじゃないっすか。CapsLockなんて年に一回使うかどうかも怪しいくらいなのにスゴく押しやすい位置にあって、一方でCtrlキーはたぶんどのキーよりも頻繁に押すのに、ありえないほど押しにくい場所にある。だから、多くの人がするように CapsLock と 左Ctrlをソフトウェア的に入れ替えている。使ってるソフトはAltIME。
●でもこんなことしなくても、最初から物理的にCapsLockとCtrlが逆に配置されているPC用キーボードがあればいいわけだ。そう思ってヨドバシカメラとかウロウロしてもそんなキーボードは見つからない。ネットで探すとあることはあるけど、高価すぎる。どうしてこんなことになったんすかね。昔からこの配置だったっけ? 逆の時代もなかったかなあ。
●で、ふと思ったんだけど、ひょっとして今のキーボードの規格を決めた人は、ラフマニノフとかリスト並みにデカい手をしていたんじゃないだろか。ワタシは文章入力中はEnterを入力する場面では常にCtrl+Mを代わりに入力するんだけど、デカい手なら軽々と左小指でCtrlを押しながら右人差し指でMを押せるんじゃないか。ていうかそれくらいデカけりゃ右人差し指をホームポジションの J に置いたままでも楽に小指でEnterを押せるから、Ctrl+Mを使う必要すらないのか。
●あと、右Ctrlキーってどんなときに押すんだろう。これは左利きの人がマウスを使いながら、右手でCtrlを押すためにあるのかなと一瞬思ったけど、でも左利きの人がマウスを左側に置くのかどうかもイマイチよくわからない。右利きでもケータイでメールを打つ操作は左手でやるからなあ。いずれにせよ、ウチのPCの右Ctrlキーはこれまでに一度も押下されたことがない気がする。
●唐突に激しく連打して、君の存在意義を認めてあげたくなった、右Ctrlキー。(←詩人の気分で)
ラフマニノフの「鐘」
●フィギュアスケートの浅田真央が、今季のフリーの演技にラフマニノフの「鐘」を使用。と、ニュースで聞いて「えっ、それってどの曲だっけ?」と戸惑ったのはワタシだけじゃないと思う。
●この「鐘」っていうのは、有名な前奏曲嬰ハ短調Op.3-2のことなんだそうだ。この曲、ワタシはそう認識してなかったんだけど、最近は「鐘」っていう愛称が付くことが多いっぽい。初期の作品ながら作曲者本人がリサイタルで好んで弾いた(弾かされた)人気曲で、曲名でピンと来なくても聴けば「ああ、あれか」とわかるタイプの曲。古い録音だが、ラフマニノフ本人の演奏も残っている(このCDの16トラック目。amazonで試聴しようとすると「バッハ=ラフマニノフ編」と本来次のトラックに付くべき文言が誤ってくっついていて紛らわしい)。このディスクでも「鐘」なんてタイトルは付いていないんだが、「前奏曲嬰ハ短調」じゃフツーの人はなかなか興味を持ってくれないので、この手の愛称は歓迎する派。音楽の内容にも即してるし、これからはワタシも「鐘」って呼ぼう……いやどうかな。
●ラフマニノフは「鐘」がやたら出てくる。そもそも「鐘」っていう作品が別にある。管弦楽、合唱、独唱のための「鐘」作品35。フィギュアスケートのファンがまちがってこっちのほうを買ったりしないか心配だ。ていうかまちがってもそれはそれで悪くないか。ピアノ協奏曲第2番の冒頭も「鐘」の音だ。ロシア正教の「鐘」なんか聞いたことがなくても、「鐘」って伝わる。無伴奏の合唱曲「晩祷」からもところどころ鐘のような響きが聞こえてくる。鐘の音を慕うのは、少年時代への郷愁からか、あるいはロシア人としてのアイデンティティの表明なのか。
南アのコンフェデ杯で予習
●南アでコンフェデレーションズ・カップ終了。この大会の位置づけは、ずばり、ワールドカップ本大会のリハーサル。本大会の一年前に各大陸王者が集まって、本番と同じ会場でミニ大会を行なうことで、移動、宿泊、試合運営、メディア対応、ボランティア等々について予行演習を行なうことができる。今回は初めてのアフリカ大陸での開催、しかも治安が悪いとかインフラが整っていないとかあれこれ言われる南アということもあって、いろんな意味で注目されていたはず。
●でもニッポンは出てないんすよね。アジア・チャンピオンにならなければ出場できないわけで、今回は王者イラクが出場。彼らはワールドカップには出場できないんだが……まあ、しょうがない。
●で、テレビ中継は何試合か録画したけど、ぜんぜん見れない(ら抜き)まま決勝戦が終わってしまった。決勝はアメリカvsブラジルという意外な組み合わせで、アメリカが2点リードしたが、ブラジルが3点を獲って逆転するという派手な試合。でもこれ、先に結果を知っていたからテンションは上がらず。
●今回地上波は生中継じゃなかったようだが、仮に生だったとしても、テレビ観戦は厳しい。というのも南アとの時差は7時間。つまり前回のドイツと同じ(そうかー、南アだと欧州のテレビ局には都合がいいわけだ)。欧州のゴールデンタイムに行なわれる試合は、日本では真夜中から早朝にかけてだから、フツーの人は生中継はほとんど見れないし、しかも朝起きたらYahoo!等のトップページで思い切り結果バレするという悪夢のパターン。なんていうか、ワールドカップ報道に関しては「結果バレ禁止」の作法が必要な気がする、ネットだろうと新聞だろうと。夕刊一面には「アメリカvsブラジルの結果、2面で速報!」みたいに報道するとかできないものか。っていうか、試合結果ってのは「報道」の対象じゃないんでは。「リアル」にはちがいないんだけど、本質的には「人口現実化したファンタジー」(?)なんだと思う。
●と、寝言はほどほどにすることにして、ニッポンのサッカーファンとしては、まずは録画しておいて、早起きして他のメディアに一切目を通さずに追っかけ再生するとか、いろんな工夫が必要になる。コンフェデはサッカーファンにとっても本大会の予行演習になるなあ~。
週末フットボールTV~連続黒星編
●珍しくマリノス戦はテレビ中継あり。マリノスvsガンバ大阪。ここのところなぜか調子がよかったマリノスが(逆俊輔効果なのか?)、調子を落としているガンバと対戦。期待したがホームで1-2の逆転負け。悔しすぎる。
●前半20分、ベテラン松田が先制ゴール。この日、復帰した中澤と栗原がセンターバックを務め、松田を中盤の底に上げていたのだが、前半までの守備は最強に強まっていた。中澤一人でどれだけ止めたか。このパワフルな守りがこのクラブ本来のスタイルというか、強いときはいつもこれで勝ってきた。
●でも後半にあっさり崩壊。ガンバは押されてても焦らないし、基本的にパスを回す能力はウチよりずっと上。後半7分に遠藤のやたら落ち着いたゴールで同点にされ、その直後、サッカーでもっとも見たくない悲しいシーン、つまりゴールキーパーのつまらないミスで逆転ゴールを奪われた。キーパーはユース出身の飯倉大樹。新米キーパーは必ずといっていいほど、こういうミスをする。通過儀礼みたいなものなので、ここで下を向いていてはいけない。終盤、センターフォワードの渡邉千真のヘッドがポストを叩いたのが惜しかった。ちなみに「千真」と書いて「カズマ」と読むんすけど、なんかスゴいっすよね。「一真」なら読めるけど、「一」じゃなくて「千」。渡邉家では1000を1と数えるみたいな、K単位でのカウントが基本なのだろうか……。
●それからJFL。横河武蔵野FCも負けてしまった。アウェイのV・ファーレン長崎戦で0-2と完敗。でもJFL前期3位を確保したので、天皇杯出場権は獲得。ほかにJFL枠で出場権を獲得したのはSAGAWA SHIGA FC、ガイナーレ鳥取、ジェフリザーブズ。JFL上位の実力はJ2下位と比べてまったく遜色ないと思うので、本大会でのジャイアント・キリングを期待したい。
25世紀のスーパーダンサー、スペースマイケル
●マイケル・ジャクソン急死。死因はまだわからないまま。ワタシが唯一マイケルと接点があるとすれば、このゲームくらい。SEGAの「スペースチャンネル5 パート2」。いわゆるリズムゲーなんだけど、これは信じられないくらいセンスがよくて愉快なゲームだ。デモをプレイして「こんなハッピーなゲームはない」と気に入ったマイケルが、本人の希望により「スペースマイケル」役で出演している。この突き抜けたバカバカしさ、明るさ、レトロでイカしたノリノリのダンス。今プレイしてもまったく古びていない。
●昨日、テレビのニュースでマイケル・ジャクソンの死について一般の人がコメントを求められていた。「えーっ、信じられません。本当に残念です……」。でもなぜかそう答えている人の口元が緩んでいるんすよ。二人出てきて、二人とも軽く笑っていたように見えた。これは日本人だからテレビに映っているという照れ隠しの笑いなのかなと思った。続いてカメラはニューヨークに切り替わり、アメリカ人にコメントを求めると、二人の一般人が「とても残念です」といってるんだけど、やっぱり口元にはスマイルが見える。この口調ってなんていうかな、たとえばディズニーランドのなんとかっていうアトラクションが今月で終了ですと告げられて、「えー、残念です」って答えるみたいな反応に似てる。マイケルはぜんぜんハッピーそうに見えなかったし、しかも亡くなったのに、(特にファンではない)街を歩いている普通の人々は、なにか楽しいことの思い出と一緒にしかその名を思い出せないかのような反応をする。これもマイケルの偉大さなのか?
小さいカバン
●あの、セカンドバッグっていうのかなあ、男物の小さいカバン。いつの間にか男があれを持つのは最凶にダサいっていうことになってるっぽいんだけど、じゃあ代わりになにを持てばいいんすかね? 「ちゃんとしたビジネスバッグ」と「手ぶら」の中間に相当するカバンで、特にオシャレじゃないフツーの大人の男が持っておかしくないもの。ケータイと手帳と文庫本でマックスになるサイズ。
●〈東京の夏〉音楽祭、第25回の今年で終了(asahi.com)。ちなみに今年のテーマは「日本の声・日本の音」。公式サイトはこちら。
ベルリン・フィルDigital Concert Hall、来季のパスは149ユーロ
●ベルリン・フィルのネット・ライヴ中継Digital Concert Hallだが、今季のシーズン・パスが8月27日で切れる。なので、それまでに全部のアーカイブを一通り見なければとあわてていたのだが、どうやら来季のシーズン・パスを購入すれば、今季の分も全部アクセスできるようだ。なるほど、そりゃそうか。ベルリン・フィルからすれば、すでに収録してあるアーカイブをわざわざ出し惜しみする必要はないよなあ。
●ただし、来季のシーズン・パスは149ユーロなんである(これはサービス開始の時点ですでに発表されていた)。今季は89ユーロだった。これが微妙なところで、今季はシーズンの半ばから始まったから安価だったんだろうが、アーカイブにはシーズンのはじめの頃の公演もちゃんと含まれていた。89ユーロというのは超お買い得設定だったんである。今季分をすでに全部見ちゃった人には、来季の149ユーロはやや割高に感じられるかもしれない。
●国内市場はまた別だけど、1アルバム10ユーロ(または10ドル)を音楽配信の標準価格と考えて、ベルリン・フィルの最新30公演が何アルバムに相当するかという話だな。
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●東急のフリーマガジン「SALUS(サルース)」7月号、ワタシの連載はヴェルディの「アイーダ」の凱旋行進曲がお題。沿線各駅、Bunkamura、東急百貨店、東急ストアで配布中。

