June 25, 2019

エクアドル代表vsニッポン@コパ・アメリカ2019ブラジル グループステージ

エクアドル●以下、今朝の試合の結果に触れるので、後からオンデマンドで楽しみたい方はご注意を。コパ・アメリカ、第3戦は対エクアドル代表。ここまでニッポンは1敗1分。お互いに勝てば決勝トーナメント進出が決まるという状況。森保監督は前のウルグアイ戦から安部裕葵を外して久保を先発に復帰させた。あとは同じメンバー。GK:川島-DF:岩田智輝、冨安、植田、杉岡大暉-MF:板倉滉(→前田大然)、柴崎-三好康児(→安部裕葵)、久保建英、中島翔哉-FW:岡崎(→上田綺世)。
●エクアドルは身体能力の高いチーム。前線からプレッシャーをかけてくる。互いに攻撃的でニッポンと似たような戦い方。4バックなのも同じ。オープンに攻め合う展開になり、前半15分、中島のスルーパスに岡崎が抜け出る。相手キーパーが飛び出して弾いたボールを、中島が蹴り込んでゴール。ここでVARの待ち時間が入り、岡崎にオフサイドがなかったかを確認。無事にゴールが認められてニッポンが先制。
●その後、川島の大チョンボからあわや失点のピンチを迎えるなど、自陣深くでパスをミスして相手に決定機を与えるシーンが目立つ。川島はベテランになってから不安定になった印象がある。前半35分、右サイドからゴール間に山なりに放り込まれたボールに競り負けてシュートを打たれる。いったんは川島が弾いたが、メナにこぼれ球を押し込まれて同点。1対1。前半はスコアも内容も五分五分の展開。
●後半途中で、岡崎が大学生の上田と交代。立て続けに上田に3度のシュート・チャンスが訪れるがすべて決まらず。上田が入るとチャンスは増えるのだが、ことごとく決まらない。後半はニッポンが攻めて、エクアドルがカウンターで反撃するという流れに。攻撃の中心は常に中島と久保。終盤、前田を投入して前がかりな布陣に。終了間際に久保の縦パスから前田がキーパーとの一対一を迎えるが、決めきれず。こぼれ球を上田が蹴り込むがこれも入らない。3戦とも上田のシュートはなぜか入らない。アディショナルタイム、久保のシュートがネットをゆらすが、これはオフサイド。VARで確認しても判定は覆らず。エクアドルにもいくつか決定機があったが得点は生まれず、1対1で引き分け。両者、敗退決定。
●内容ではややニッポンが上回っていたので、勝利を逃したのは惜しい。この試合、センターバックの冨安に改めて感心。冷静で、足元の技術も確かで、後方からゲームを組み立てるのには欠かせない。板倉はこの試合では落ち着いたプレイができた。中盤の底の大型選手はニッポンでは貴重。オリンピック世代の若い選手たちにとっては経験値という点で大きなボーナスステージになった。まあ、オリンピックの開催地が東京でなければ、U23の大会にすぎないのだが……。川島と岡崎はこれが最後の代表戦出場になるかもしれない。ふたりとも来季の所属先が決まっていないようなので、森保監督が活躍の場を与えてくれたという面もあったと思う。

June 24, 2019

ウルグアイ代表vsニッポン@コパ・アメリカ2019ブラジル グループステージ

ウルグアイコパ・アメリカの第2戦、相手はウルグアイ。チリに続いて、またも強豪。苦し紛れのメンバー編成で臨んだニッポン代表だが、アウェイでこのクラスの相手と真剣勝負ができるという経験は貴重。森保監督はチリ戦から大幅にメンバーを入れ替えてきた。川島、岡崎といったベテランの先発が目をひく。チリ戦でもっとも光っていた久保はベンチへ。岩田と板倉が代表デビュー。GK:川島 -DF:岩田智輝(→立田悠悟)、植田直通、冨安健洋、杉岡大暉-MF:板倉滉、柴崎、中島、三好康児(→久保)、安部裕葵(→上田綺世)-FW:岡崎。中継はDAZN。現地映像が前の試合に続いてニッポンのフォーメーション予想を3バックで表示しているのだが、実際には前の試合も今回も4バック。まあ、ワタシだって知らない選手が何人もいるニッポン代表なんだから、現地映像の予想が見当外れでも無理はない。ウルグアイにはもちろんスアレスもカバーニもいる。
●序盤は意外にもニッポンがボールを保持。三好の低いクロスから岡崎が惜しいシュート。スアレスのロングシュートにヒヤリ。板倉は少しミスが目立つ。ウルグアイはカウンターから右サイドのカバーニを使って大きなワンツーからクロスを入れて、スアレスがビッグチャンスを迎えるも、キーパー川島の正面。攻撃の中心は中島で、ドリブル、キープ力はこの相手にも有効。
●前半25分、三好が個人で縦に突破して浅い角度から見事なシュートで代表初ゴール。これは鮮烈。マリノス者としてはお祝いしたいところだが、三好の本来の所属は川崎。おまけにこの日の大活躍で、そう長く日本にはいてくれそうもない予感。前半31分、ゴール前でのカバーニと植田の競り合いで、VARで植田がファウルをとられてPK。こんなのVARがなければまずPKの判定など出ないはず。スアレスが決めて1対1の同点。VARという仕組み、これでいいんだろうか。
●後半も攻め合いが続く。三好が決定機に決められず、そのままカウンターからカバーニが決定機を迎えるがこれも決まらず。後半14分、左サイドの杉岡のクロスから岡崎のヘディング、GKからのこぼれ球を三好が易々と押し込んで2点目。よもやの三好の2ゴール。しかし後半21分、左コーナーキックからヒメネスが富安を振り切って頭で決めて同点、2対2。ここから後は、ウルグアイの猛攻が続いて、ひたすら耐える展開に。なんどかクロスバーに助けられた。交代出場の上田は、やはり動きにキレがなく通用していない。運動量も落ち、防戦一方になってしまったが、2対2で引き分けた。勝てるチャンスもあったが、このメンバー、このシチュエーションで勝点1は大健闘。3戦全敗で当たり前くらいのメンバーだったのに、次のエクアドル戦に勝てば決勝トーナメント進出の可能性もある。やはりサッカーはやってみなければわからない。岡田武史の名言「ランクで決まるなら試合はいらない」を思い出す。

June 21, 2019

パーヴォ・ヤルヴィ&N響のメシアン「トゥーランガリラ交響曲」

●20日はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ&N響のメシアン「トゥーランガリラ交響曲」。一曲のみのプログラム。弦楽器はいつもの対向配置ではなく、音域順に並べる通常配置(もうどっちが「通常」なんだかわからなくなりつつあるが)。そして鍵盤楽器群を協奏曲のソリストのように最前列に置いた。指揮者の背後、上手にオンドマルトノ、下手にピアノ。チェレスタ、ジュ・ドゥ・タンブルも下手側。ピアノはロジェ・ムラロ。雄弁。遠目から見ても手が大きい。オンド・マルトノはシンシア・ミラー。
●なかなか聴けなさそうでいて、実は演奏頻度が高い「トゥーランガリラ交響曲」。20世紀の古典というか、もはや人気曲。パーヴォの「トゥーランガリラ」には、濃厚な愛の歌という以上にアスリート的な俊敏さを感じる。切れ味鋭く、歯切れ良い。極彩色というよりは彩度をやや抑え気味のカラフルさで、洗練されている。最後はリミッターを外して大音響で壮麗に曲を閉じた。毎回、高水準の演奏を聴かせてくれるこのコンビではあるけど、なかでも今回は出色の出来だったのでは。
●ステージ上にマイクが林立していた。今回もソニーの録音があった模様。

June 20, 2019

バイロム社の記憶

●先日、「平成日本サッカー 秘史 熱狂と歓喜はこうして生まれた」 (小倉純二著/講談社+α新書) を読んでいたら、バイロム社の話題が出てきて、久々にワールドカップ2002日韓大会のことを思い出した。そう、あの悪名高いバイロム社だ……といっても、もう覚えている人は少ないか。この本でも著者の小倉純二氏がバイロム社の酷さに「はらわたが煮えくり返った」と記している。このイギリスの会社は海外分のチケット販売を一手に引き受けていたのだが、とにかく仕事が杜撰。日本側じゃ全試合で熾烈なチケット獲得競争がくりひろげられているのに、バイロム社は売れ残ったチケットを放置してしまい、売り切れたはずの試合で大量の空席が出た。きわめつけは決勝トーナメントのニッポン対トルコ戦で、まさかのニッポン戦で空席がごっそり出る始末。小倉氏によれば、あれはバイロム社が良席をなぜか「見切れ席」として売らなかったから。実際にはバックスタンド正面のエリアなのに。しかもバイロム社は不手際を指摘されると、日本側の対応が悪かったせいだと事実無根の釈明をして、いっそう事態を紛糾させた。ほかにもチケットが届かないなど、バイロム社はありとあらゆるトラブルを起こした。
ワールドカップ2002のチケット●でも、日本のサッカー・ファンはあのとき学んだ。「これが世界だ」。物事は決して日本式には進まない。ルールが決められていても、そんなものが守られるかどうか、実際に始まってみないとだれもわからない。FIFAに人脈があるだけの小さな会社が大仕事を受注したが、やってみたら仕事は穴だらけ、ありえないミスが次々と起きる。担当者の胸先三寸でチケットはどこに行くかわからない。だったら、われわれファンも世界基準でチケット争いに加わればいいのでは? ルールより現実を優先しよう。あのときそういう機運が芽生えた。そこで、バイロム社の不備を突いて、本来なら日本人には買えないはずの海外向けチケットを購入する方法がないかとさまざまな作戦が立てられた。そして発見されたのが、海外向けのチケット販売サイトでウェブブラウザに対してある種の方策をとると(cookieの操作だったような記憶)日本からは買えないはずのチケットが買えてしまうという荒技。もちろん、ネット上で買えても、決済後にキャンセルされたり、チケット送付が拒否される可能性もあったが、一部の日本のファンはこの技でまんまとバイロム社を出し抜くことに成功した。
●いや、違うな。バイロム社にとっては売れればなんだっていいんだから、わざと穴をふさがなかったのかも。彼らと日本のファンの間で無言の取引が成立しただけともいえる。ワールドカップからはいろいろなことを学べる。

June 19, 2019

あらゆるメモをGoogle Keepに集約する

●なんとなく使い始めてみたら、いつの間にかすっかり手放せないアプリになったのがGoogle Keep。クラウド上になんでもメモできる。Androidスマホなら最初からインストールされているはず。PC上ではChromeから使う。スマホからもPCからもひんぱんに使っている。
●「あ、マーマレードがなくなりそうだから買わなきゃ」と思ったら、ささっとKeepにメモする。「このサイト、おもしろいからまた来よう」と思ったら、Chrome上でワンクリックでKeepへ。買い物リストを筆頭に、自分のシャツや靴のサイズだとか、料理のレシピ、仕事上のアイディア、気に入ったダジャレ、翻訳サイトへのリンク、こんど行ってみたいお店、タクシー会社の電話番号、よく行く公園の園内マップ、さっき会った人の名前、歌詞対訳、よく飛ぶ紙飛行機の作り方、各種会員証の写真(メモ代わり)、前回美容院に行った時の髪型の写真(次回用)、「お米1合は150g」みたいな便利メモ、図書館カードの会員番号、いつまでたっても覚えられない異国の指揮者の難しすぎる名前、けん玉の最高記録、行きたいけど決して行かないだろうリゾートホテルへのリンク、必殺技の名前……等々、なんでもメモする。写真も、手書きメモも、音声も貼れる。スマホに向かってしゃべれば音声認識してテキスト+音声データで記録してくれる。
●で、Keepではこういう雑多なメモが垂直的に蓄積されていく。必要なら検索もできる。要らなくなったメモはアーカイブにしまっておく。買い物リストなんかは常時いちばん上に固定。ラフな使い方に向いていることと、ChromeなどGoogleアプリとの連携がスムーズなのが魅力。基本、メモを整理するのが苦手な人こそ重宝する。
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●宣伝を。「埼玉アーツシアター通信」Vol.81でホルン奏者シュテファン・ドールのインタビュー掲載中。9月に来日するアンサンブル・ウィーン=ベルリンについて。もうひとつ、Qeticにチェロのジョヴァンニ・ソッリマのインタビュー。こちらは8月の「100チェロ」企画について。どちらもメール・インタビュー。最近、自分のインタビュー仕事はメール専門になりつつある。

June 18, 2019

ニッポンvsチリ代表@コパ・アメリカ2019ブラジル グループステージ

チリ●コパ・アメリカ2019ブラジル大会が開幕。本来ならニッポンに参加資格のない大会だが、今回2度目の招待参加。前回は1999年、トルシエ監督時代。そのときは1分2敗で、手も足も出なかったという印象。で、今回。当時よりニッポンはずっと強くなっているはずだが、各クラブの協力を得られず森保監督はベストメンバーを組めず。知らない選手がたくさんいる「だれなんだジャパン」状態。柴崎と中島が頼みの綱か。そして、DAZNが独占中継する。地上波でもBSでも見れないが、ネットで見れる(ら抜き)。そんな時代がついに。追っかけ再生できて便利。
●で、本日朝8時のニッポンvsチリ戦。ニッポンのメンバーはGK:大迫敬介-DF:原輝綺、植田直通、冨安健洋、杉岡大暉-MF:中山雄太、柴崎岳-中島翔哉(→三好康児)、久保建英、前田大然(→安部裕葵)-FW:上田綺世(→岡崎慎司)。FC東京からレアルマドリッドに移籍すると発表された久保建英が先発。前田大然は松本山雅のスピードスター。上田綺世は、なんと、法政大学体育会サッカー部所属の大学生だ(鹿島への入団が内定)。新鮮すぎる。久保がトップ下。
●一方、大会二連覇中のチリは豪華メンバー、ベテランぞろいで対照的。試合前の国歌斉唱では、チリ国歌が途中から伴奏と合わずにカオスに。例によって、FIFAの規定で録音では短縮バージョンの伴奏が流れているのだが、観客も選手もみんな伴奏を無視して長いバージョンを歌う。ブラジルはじめ、長い国歌を持つ南米の代表ならではの抗議。
●序盤は久保を中心にニッポンが意外にも攻勢。しっかりとチャンスは作れているし、惜しいチャンスも。オープンな攻め合い。進むにつれてチリがペースを握り、41分、コーナーキックからプルガルが打点の高いヘディングで先制ゴール。前半終了間際、柴崎のパスから上田がキーパーと一対一になるが、決めきれず。
●後半9分、ゴール前にはりつけにされたところで、バルガスが強烈なシュート、富安をはじいてゴール。ニッポンは柴崎のクロスから上田が好機を迎えるも決められず。上田はこの日、チャンスをことごとく生かせず。動きにキレもない。久保は華麗なワンツーから惜しいチャンス。久保はなんども相手を交わしてチャンスを作り出していて、中島以上に攻撃の中心になっていた。後半途中から、ニッポンは左右両サイド、続いてトップの選手を交代。ここで一点でも返せればまったく違った展開もあっただろうが、後半37分、ゴール前で左右に振られて最後はサンチェスの頭で3点目。さらに直後、ディフェンスラインの裏の広大なスペースに抜け出たバルガスがループでキーパーの頭上を越して4点目。0対4という屈辱的なスコアで終わった。
●全体としてはニッポンもかなり攻撃が機能していて、シュート数も相手と遜色ないくらいなのだが、結果は大量失点のワンサイドゲーム。決定機をなんどか続けて外すと、ここまでの差になる。試合後のインタビューで柴崎が言っていたようにインテンシティの差もあった。球際の争い、ハードワークという点でチリが一枚上手。ニッポンでよかったのは久保、柴崎。苦し紛れのメンバー編成を考えれば、結果に驚きはない。

June 17, 2019

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のウェーベルン、ベルク、ブルックナー

●14日はNHKホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団。バッハ~ウェーベルン編の「リチェルカータ」、ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」、ブルックナーの交響曲第3番(第3稿)。つまりバッハを再構築したウェーベルン、バッハを引用したベルク、ワーグナーを引用した(けど削除した)ブルックナーという、先人へのリスペクトから生まれた名曲が並ぶ。おもしろい。ゲスト・コンサートマスターにミュンヘン・フィルのナストゥリカ・ヘルシュコヴィチ。とても大柄で、しばしば腰を浮かせながら弾く。ヴィオラのトップにベルリン・フィルで見かける男性。
●シャハムはベルクのような作品を弾いてすら、どこか楽しげ。音楽の愉悦を伝えてくれる。レクイエム的な要素よりも耽美さが前面に。ソリスト・アンコールはやはりバッハ。無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番からガヴォット。朗々とした明るい響きがベルクの厚い雲をパッと吹き飛ばす。楽器が奏者と一体化して鳴り切っているかのよう。
●典型的な「ブルックナー行列」プログラムなので、休憩に入るとまたたく間に男性側に長蛇の列ができた。しかし、しばらくするとすっと解消。休憩が20分になった明確な効果がここに。って、なにを観察しているのだ、ワタシは。
●ブルックナーの交響曲第3番(第3稿)、この曲は労作感があるというか、少しつなぎ目の見える曲だと思う。パーヴォらしくテンションの高い鋼のブルックナーながら、第3楽章のトリオで思い切り田舎風のひなびたテイストを出すなど、あちこちにユーモアも。第4楽章冒頭の弦、アクセントをはっきり付けてリズミカルなのがかわいい。ラストのコーダは最強のカッコよさ。
●NHKホールからの帰り道、渋谷駅近辺で大勢の女子たちがタピオカミルクティーらしきものを手にしていた。ブームは実在した。NHKホールの売店にタピオカドリンクが並ぶ日も近い……かも。

June 14, 2019

山田和樹指揮読響のゴジラvsカリンニコフ

シン・ヤマカズvsゴジラ●13日はサントリーホールで山田和樹指揮読響。プログラムが快挙。伊福部昭の「SF交響ファンタジー」第1番、グリエールのコロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲(アルビナ・シャギムラトヴァ)、カリンニコフの交響曲第1番。なんと、定期公演で「ゴジラ」を聴けるとは。そして、チラシのデザインが最高にふるっている。「出撃!シン・ヤマカズ」って。シン・ヤマカズvs旧ゴジラ。そして北海道+ロシア・プロとも言える。
●伊福部昭の「SF交響ファンタジー」第1番、これを聴けばどうしたって胸が熱くなるのだが、速めのテンポでぐいぐいと進撃する様は爽快。自衛隊の戦闘機がゴジラにミサイルを撃ち込む様子が目に浮かぶ。曲が終わったら、客席に「イェーイ!」みたいな盛り上がりがあって納得。ていうか、よく考えたらこの曲、客席でコスプレもありえたのだと気づく。前に藤倉大さんが「ソラリス」がどこだったか海外で上演された際に、「こういう作品だと客席にコスプレのお客さんが来てくれて……」みたいなことを言ってたけど、SF/特撮/アニメ系にあるコスプレ・カルチャーって、日本のオーケストラの客層とはまだ遠い感じ。あるいは自分が気づかなかっただけで、客席のどこかに自衛隊コスプレとか「シン・ゴジラ」の蒲田くんコスプレのお客さんがいたのだろうか。
●グリエールのコロラトゥーラ・ソプラノのための協奏曲は、もうひたすら歌手の超絶技巧のために書かれたような作品で、曲はともかく、歌手のアルビナ・シャギムラトヴァがすごすぎる。この曲だけでも相当なものなんだけど、アンコールでアリャビエフ「ナイチンゲール」(夜鳴きうぐいす)を歌って、これでもかというくらいにコロラトゥーラの技巧を見せつける。強烈なヴィブラートでホールの空気がびりびりと振動する。
●後半はカリンニコフの交響曲第1番。この曲は「有名な隠れた名曲」という不思議なポジションを確立している。あるいは、「みんなに人気の隠れ家レストラン」というか。ネーメ・ヤルヴィとN響で聴いたのは3年前。聴けないようで、意外と聴ける。古典的な交響曲のフォーマットにロシア民謡風のメロディが散りばめられた、本当によくできた曲。チャイコフスキーの前半3曲の交響曲が少し近いか。あの民謡風主題は、元ネタの民謡があるのか、それとも作曲者の創作なのか、どっちなんだろう。創作だとしたらドヴォルザーク級のすごさ。曲の出来ばえからするともっとメジャーになってもよさそうなのに、なぜかマイナー感がついてまわる謎。真摯な演奏で、推進力にあふれ、熱量も十分。ひたすら楽しい一夜。

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飯尾洋一(Yoichi Iio)

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