Useless: 2015年11月アーカイブ

November 20, 2015

東京ヴェルディの「25万円でヴェルディの選手になれる商品」

●すっかりJ2に定着している東京ヴェルディだが、そういえば長らくヴェルディの試合に足を運んでいない。以前は味スタでのヴェルディ戦ってけっこう好きだったんだけどなあ、客席が空いてて。今はどんな雰囲気なんだろ。
●で、そのヴェルディが発売したサポ心をくすぐりまくるであろう新商品が「VERS(ヴェルズ)」と名付けられた高額サービス。25万円を払うとヴェルディの選手になれる。いや、なった気分を味わえる。12大特典というのがあって、主だったところを挙げると、自分の指定番号とネームが入ったユニがもらえたり、契約書調印式とか新入団会見を開いてもらえたり、ホーム開幕戦のビジョンで選手紹介してもらえたり(かなり恥ずかしいぞ)、スタジアム入りから選手入場までの疑似体験やらよみうりランド練習場で練習を疑似体験できたりする。どうだろう、お値段はともかく、なかなかいい線をいってるんじゃないだろうか。
●ただ、少し惜しいんすよ。ほとんど正解ルートのようでいて、微妙に隣のレールを走っている感、満載。で、もし自分だったらどんなサービスにクラッと来るかを考えた。まず、新入団会見とかビジョンで選手紹介とか、そういうプレスに取材してもらえる系とか他人様にアピールできる系の要素は不要。こういうのは人知れずこっそり浸りたい楽しみなのでは?
スタジアムで練習●逆にすごく惹かれるのは選手入場疑似体験とか練習疑似体験のほう。ここをさらに一段強化して、選手になりきりたい。まず、ロッカールームに自分の名前と背番号をいれてほしい。そこでジャージに着替えたい(もちろん自分の名前と番号が入っているヤツ)。そして、仲間たちといっしょにピッチに入場したい。子供たちにFIFAの黄色いフェアプレイ・フラッグを持って先導してもらう。FIFAのテーマが流れる。仮想でいいので対戦相手にも入ってきてもらう。エスコート・キッズと手をつないで入場する。そして、試合前の記念撮影だ。後ろの列で腕を組んで立ちたい。生涯最高に気合の入った顔で。
●そして、ピッチに入って、試合前の練習だ。本物のピッチで本物のボールを蹴りたいじゃないっすか。うわ、天然芝だ。フルコートだ。コーチにボールを転がしてもらってシュート練習だ。テンションがあがりまくって力んで右足を振り抜くと、ボールにカシュッってかすって、あらぬ方向にコロコロと転がる。そう、本物のユニを着て本物のピッチに立っているが、実際のオレはド素人のオッサンだ。だが、なにを気にするというのだ? とにかくなんでもいいからボールをゴールマウスに蹴りこむ。ボールがゴールマウスに収まったら、とっておきのゴールセレブレーションを披露する。長年にわたって脳内リハーサルを積んでいるだけに、レパートリーはほぼ無尽蔵にある。ここはオレの心のサンチャゴ・ベルナベウ。いや味スタか。まあいい、どっちでも。
●ぜひ仮想試合もしたい。前後半10分ハーフでいい(それ以上はムリだし)。本物の選手といっしょにチームを組みたいとまではいわない。スタッフや、同じサービスを申し込んだ仲間たちといっしょにチームを組む。ポジションはもちろんセンターフォワードだ。なりきりインザーギでオフサイドラインぎりぎりに立ち、狙うのはゴールのみ。知っている。実際にサッカーをすれば、最初の1分でイヤになる。フルコートってこんなに広いんだ。パスが来てもドヘタクソにはなにもできない。お願い、ボール来ないで、こっちに来ないで。チームスタッフのパス、強いよ、怖いって。ああ、せっかく夢のサンチャゴ・ベルナベウ(じゃない味スタ)に立てたのに、オレはなんて弱気になっているのだ。そしてなにひとつできないまま、ぜえぜえと息を切らせて10分ハーフの試合を終える。心の底から自分がどれほど無力かを痛感する。な? これがサッカーの醍醐味なんじゃね? 真の祝福の瞬間が訪れる。シャワーを浴びて、ロッカールームで着替えて、期待の新入団選手からただのオッサンに戻る。
●自分が考える、究極のサービスってこんな感じだ。

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