February 19, 2004

ニッポンvsオマーン、2006年W杯ドイツ大会予選第一戦

オマーンは強くなっていた●埼玉まで行ってきたのである。ワールドカップ2006ドイツ大会アジア一次予選、その初戦となるニッポンvsオマーン。もう頭が真っ白になるような90分で、久しぶりに本当の代表の試合を観た気がする。年に何度も代表の試合を観ているようでいて、どれも実質親善試合、生の公式戦は7年前のW杯フランス大会予選以来なのだ。サッカーで本当に代表の公式戦といえるのは2年に一度しかないと思っている。ワールドカップ予選(そして出場できれば本大会)と、アジア・カップだけ(東アジア選手権なんてまだまだ認められない)。もっといえば、ワールドカップ予選さえ観られれば、あとは全部オマケかお祭りみたいなもんだ。
●ワタシが心配してたのは、スタジアムの中の雰囲気。最近じゃ代表戦はいつもジャニーズ運動会なので、7年前のシリアスな空気が帰ってくるのかどうか。君が代がスマップだったらどうしよう(今ならあり得るでしょ?)。でも偉いぞ、日本サッカー協会。君が代は伍代夏子! 理想的な人選ではないか。ワタシは必死になって伍代夏子に拍手した(歌は聴いたことないけど)。これなら絶対誰も「キャー!」って叫ばない。君が代はオペラ歌手か演歌歌手がいい。
●そして、われらがニッポンは弱かった。心配していた通り、怪我人を除いてベスト・メンバーだったのに弱かった。だから、あの7年前の雰囲気が甦ってきた。ちゃんとした試合の雰囲気になった。みんなブーイングと口笛で、オマーンを歓待し、不甲斐ないニッポンを鼓舞した。GK:楢崎-DF:アレックス、宮本、坪井、山田ノブ-MF:稲本、遠藤(→小笠原)、ナカタ、中村俊輔-FW:高原(→鈴木タカ)、柳沢(→久保)。監督ジーコ。

●オマーンはフランス大会予選のときよりずっと強くなっていたと思う。そして、ニッポンはまずフィジカル・コンディションでオマーンに負けていた(おいおい)。シーズンが始まっていない国内組の動きが鈍い。ボールを支配したのはニッポンだが、ゲームを支配したのはオマーン。オマーンはスピードと突破力、鋭いカウンターアタックでニッポンを脅かしていた。ただし技術では、はるかにニッポンが上。
●アジアの試合で東アジア対中東となると、主審は東南アジア。慣れない大舞台に緊張してか、不思議な判定が次々出てくる。PKをプレゼントしてもらって、これで楽になるかと思えばキッカーは俊輔。みんな予想したと思うが、やっぱり決められず。延々とバックラインでボールを回して、前半を0-0で終えたときは激しくニッポンへのブーイング。
●後半になって、前線の選手がよくパスコースに顔を出してくれるようになったことで好機は増えたが、しかしシュートが入らない。オマーンは試合開始の瞬間から時間稼ぎを忘れない。風が吹いただけで倒れこみ苦悶の表情で担架を呼ぶ。審判、イエローカード出せよ。この時間稼ぎは中東共通の伝統芸みたいなもので、すっかり見飽きた。だいたいオマーンの監督のマチャラってのが、とんでもない食わせモノなんである。前に「一次予選突破の可能性は?」とインタヴュアーに尋ねられて、「ない。一次予選突破は100%の確率でニッポンだ」と来たもんだ。ったく、二の句が継げない。
●55分過ぎあたりから、時計から目が離せなくなる。フランス大会予選の国立競技場でのニッポンvsUAE戦を思い出した。あれは最終予選の土壇場、追いつかれての1-1に終わって試合後に一騒動あった。今日はまだ初戦、一次予選なのにこんなに苦労するのかよ! 0-0で終わるのか、いやひょっとしたら0-1で負けるんじゃないのか。
●シュートはとにかく入らない。覚悟を決めたロスタイムになって、ゴール前で相手ディフェンダーにあたったボールが久保の前に転がった。どフリーなので余裕があった。どフリーだからきっと久保はハズすと思った。左足を振りぬくまでに10秒くらいあるような気がした。どうしてあのシュートがちゃんとゴールに入ったのかなあ? 久保、あのコース、ホントは狙ってないでしょ。でも入ったから久保は偉い。1-0で辛勝。幸運としかいいようがない。
●まだアウェイのオマーン戦がある。なにをされるか、なにが起きるか、わかったもんじゃない。「前半20分経ったところで攻めに転じよう」と打ち合わせをして試合に臨んだら、競技場内に時計がないかもしれない。もうどうなるか、全然わからない。わからないから、おもしろい。

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