June 3, 2015

ツエーゲン金沢vsV・ファーレン長崎@J2テレビ中継

●今季のJ2であるが、16節を終えた時点で首位に大宮アルディージャが立っている、のはいいとして、2位がなんとツエーゲン金沢である。今季J3から昇格したばかりの金沢、というかほんの少し前までは(2010年から2013年)JFLで戦っていた金沢、もう少し前までは北信越リーグにいてときどき天皇杯に出場していた、あのツエーゲン金沢。13試合無敗というまさかの快進撃で2位、J2残留が目標だったはずが、このままではJ1に昇格してしまうという勢いである(実はまだJ1のライセンスを取得していないという大問題があるのだが……)。ちなみに現在、すぐ下の3位が磐田、4位が千葉と長崎。セレッソ大阪は9位に沈み、22位最下位に大分トリニータがいる。J2で勝つのも楽じゃない。
●で、ツエーゲン金沢だがスター選手などはいない。なぜこんなに強いのかと思い、前節のツエーゲン金沢対V・ファーレン長崎の試合をテレビ中継で見てみた。かつてのアジアの大砲、高木琢也監督が率いる長崎のチームカラーははっきりしている。J2ながら平均身長180cmを超す大型チームで、高くて強いばかりでなく、走力がある。よく走り、ハードワークする。守備が強い。しかしそれに輪をかけて守備が堅いのが金沢。こちらは大型チームではなく、前線からのプレッシャーを身上としたコレクティブな守備で、相手に質の高いチャンスを作らせないというスタイル。失点しないことが第一。昨季の松本山雅の成功例を思い出すが、セットプレイからの得点が異様に多い。なんとゴールの半分以上がセットプレイから。自陣からのフリーキックでも、ゴール前に放りこむ。
●そんな守備に持ち味のある両チームだけに、キックオフから延々と潰しあいが続く展開に。後半11分、辻尾のフリーキックから作田がゴールを決めて金沢が先制。金沢の枠内シュートはこれが一本目(そしてたぶんこの試合で唯一)。少し興味深かったのは、先制した後、金沢がゴール前に鉄壁を築くのかと思うと、そうではなく、むしろオープンな戦い方になり、ポゼッションも高まったこと。高さでは分が悪いので、これは納得。長崎の能力の高い選手(特にイ・ヨンジェ)に一対一で仕掛けられると、金沢の守備陣は相当に苦しいのだが、それでも最後まで粘り強く守り切って、1対0で勝利した。個の能力では勝てないことを前提に、積極的な守備と練度の高いセットプレイが組み合わされている。監督は森下仁之。
●金沢のセンターバックに、かつての横河武蔵野FCのセントラルミッドフィルダー、太田康介がいた。横河武蔵野がJFLでもっとも強かったころ、中盤で圧倒的な存在感を放っていた選手。この選手はJFLのアマチュアクラブではなく、上のカテゴリーでプレイできるのではないかと思っていたファンは多かったはず。横河武蔵野を出て町田へ移り、1シーズンJ2を経験した後JFLに降格したものの、そこからJ3の金沢へ移り、昇格して晴れてJ2にもどってきた。カテゴリーが上がっても、試合に出続けているのがすごい。遠からずJ1でプレイできれば……と願わずにはいられない。

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