October 14, 2015

「山羊座の歌」→「ハルモニーレーレ」

●12日は西麻布のSuperDeluxeで、ソプラノの太田真紀さんが歌うシェルシ「山羊座の歌」へ。以前、オペラシティのBtoCで抜粋を聴いたが、今回は全20曲を。溝入敬三(コントラバス)、大石将紀(サックス)、稲野珠緒、神田佳子(打楽器)、有馬純寿(エレクトロニクス)。特殊唱法満載だが、唸りや叫びがもたらす呪術性は決して強調されておらず、20世紀後半に書かれた連作歌曲集の名作として歌唱芸術を堪能した。非言語的な表現から立ち昇る多様な情動、執拗さが生み出す時間感覚の変容を満喫。
●13日はサントリーホールで下野竜也指揮読響。ベートーヴェンの序曲「コリオラン」、ヒンデミットの「白鳥を焼く男」(ヴィオラ独奏:鈴木康浩)、ジョン・アダムズの「ハルモニーレーレ」(ハーモニーレーレ)という魅力的なプログラム。ヴィオラ独奏とヴァイオリン&ヴィオラ抜きのオーケストラ伴奏が作り出す「白鳥を焼く男」のくすんだ色彩感と、ヒンデミットならではの硬質なリリシズムを味わう。ポスト・ミニマルの古典「ハルモニーレーレ」は「サンフランシスコ湾から巨大タンカーが宇宙船のように浮かび上がる」という、中二病そのままの楽想がカッコよすぎる。第2楽章はワーグナーの「パルジファル」およびマーラーの交響曲第10番オマージュなんすね。深遠な音楽が対象となってはいるけど、自分は笑うところだと解した。この種の曲だと、疲れを知らない正確無比なマシーンに演奏させたほうがいいんじゃないの的な疑念を随所でつい抱いてしまうんだけど、人間がぜんぶ演奏するから現代性が担保されているのかな、とも思う。
●ところで、白鳥は焼くと旨いのだろうか。カモ科ではあるわけだから、食感は鴨肉みたいな感じ?

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