November 5, 2015

トゥガン・ソヒエフ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団

●ソヒエフ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団へ。30日の東京芸術劇場、3日のサントリーホールと2公演。オーケストラのサウンドは十分に重厚で、芯の強い音が出てくるが、カラーとしては意外と明瞭。むしろソヒエフの求める音楽が重いのかも。
●30日はシューベルト「ロザムンデ」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(独奏:神尾真由子)、ベートーヴェンの交響曲第7番。メンデルスゾーンのソロはかつてないほどドロドロとした情念が渦巻く演奏で、強烈。ベートーヴェンの7番はヘビー級。多くの演奏がスパッと歯切れよく演奏するところをテヌート気味に音価を保って、フレーズを大きくとらえる傾向があるところが独特。重量感のある物体がするすると滑らかに動くイメージ。
●3日はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(独奏:ユリアンナ・アヴデーエワ)、ブラームスの交響曲第1番。ちょうど5年前、ショパン・コンクールに優勝した直後のアヴデーエワが来日してショパンを弾いたのを聴いたけど、あの頃の初々しさとはもはや別人で、堂々たるもの。硬質なタッチで雄渾なベートーヴェンを聴かせてくれた。アンコールにショパンの「雨だれ」。ブラームスの交響曲第1番はのびのびとした文句なしの好演。豊麗なサウンドがすばらしい。なんだかオケのメンバーの表情が和らいでいるなと感じたが、演奏終了後に今回で引退する(と思しき)ベテラン奏者に小さな花を贈呈するミニセレモニーがあった。アンコールに繊細なグリーグ「過ぎにし春」と、30日でも演奏したモーツァルト「フィガロの結婚」序曲。豪快。

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