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January 22, 2016

ソヒエフ&N響の「白鳥の湖」他

●21日はトゥガン・ソヒエフ指揮のN響定期(サントリーホール)。グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(ルーカス・ゲニューシャス)、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」抜粋というロシア音楽プロ。この日もソヒエフは棒を持たずにオーケストラをリード、最初のグリンカから重心の低いサウンドが鳴り響いた。快演。ラフマニノフを弾いたゲニューシャスは少しワイルドな風貌に。ソロは端正で、むしろオケのほうが情感豊か。
●後半は「白鳥の湖」抜粋。バレエ音楽ではあるが、合計50分近くになる壮大な長篇交響楽。気軽な演目かと思いきや聴きごたえ猛烈に大。以前ご紹介した「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」というあけすけなドキュメンタリー映画のなかで、ボリショイ劇場の総裁がダンサーたちを集めた内輪のミーティングで、唐突に「今この劇場は音楽的な水準が低い。シーズン中なのに異例のことだが音楽監督を解任する!」と叫んでいる場面があったけど、あの後、新たに招かれたのがソヒエフっていう理解でいいんすよね?
チャイコフスキー●備忘録。「白鳥の湖」は金管もパーカッションもにぎやかで華々しい音楽だけど、一方で「軽やかで澄んだ音」を出すための工夫が至るところにあると感じる。ハープとヴァイオリンの甘美なソロなんかもそうだし、特に印象に残るのは第1幕第8曲「乾杯の踊り」の中間部で、弦のピッツィカートに乗って、ピッコロとグロッケンシュピールが重ねられる場面。独特の軽くてきらきらとした音が生み出されていて、これって「くるみ割り人形」に使われるチェレスタを予告しているんじゃないかなと思った。後年、チェレスタに出会ったチャイコフスキーはその清澄な響きに魅了されてただちに楽器を取り寄せてもらうように友人に頼む一方で、「だれにもこの楽器を見せないように。特にリムスキー=コルサコフやグラズノフに見せてはいけない。この楽器は私が最初に使うのだから」と書いたという逸話があるけど、ああいう澄んだ軽やかな響きのイメージはずっと前からあったのかもしれない。

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