ドミノ・ピザ
September 8, 2016

ユジャ・ワン ピアノ・リサイタル

●7日はサントリーホールでユジャ・ワンのリサイタル。事前に「曲目変更あるかも」というアナウンスは目にしていたが、結局予定の曲目で実際に演奏されたのはベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」のみ。しかし、なんの不満もない。最後はアンコールが21時半を過ぎるまで続き、客席は沸きに沸いた。サントリーホールがこんなに歓声に包まれたのはいつ以来だろか。歓声が若くて明るい雰囲気なのもなんだかうれしい。スタオベ多数。
●で、曲目だが前半はシューマンの「クライスレリアーナ」に変更。そこからカプースチンの変奏曲op.41、ショパンのバラード第1番と続いて、早くもアンコールを聴いているような気分に。ユジャ・ワンとシューマン。ものすごく遠い世界のものが組み合わされたような意外性あり。内向きの鬱屈した情熱を昇華させる、みたいな作曲家像は銀河の彼方へ。後半の「ハンマークラヴィーア」のほうが痛快だったかな。アスリート的な敏捷性やスピード感、鋭く明快なタッチを存分に生かしつつ、みずみずしく清新。思わせぶりな幽玄さなんてゴミ箱にポイ、キラッキラの金ぴかロングドレスがしかつめらしい顔をした脳内巨匠たちを降参させる。
●でもやっぱり「第3部」のほうが楽しい。アンコールはシューベルト~リスト編の「糸を紡ぐグレートヒェン」に始まって、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」第3楽章(出たっ!)、ビゼー~ホロヴィッツの「カルメン」の主題による変奏曲(そっちも来るか)、モーツァルト~サイ/ヴォロドス編の「トルコ行進曲」(これも必殺技)、カプースチンの「トッカティーナ」、ラフマニノフ「悲歌」、グルック~ズガンバーティ「メロディ」。とくにプロコフィエフからの三連発は強烈で、客席も大歓声。ユジャ・ワンって、スーパースターなんだなと改めて実感。巧いだけじゃこうはならないもの。あの左右非対称なコクッとしたお辞儀とか、ユジャ様式みたいなものが完成されてる。
●あと、アンコールはタブレットを持ち込んで出てきて楽譜を見て弾いてて(いや、見てたかな?)、セルフ譜めくりがすごい。画面をタッチするだけなんだけど、「戦争ソナタ」とかバリバリ弾いている間にヒュッ!と超高速で腕が伸びて画面をタッチするんすよ。あの加速感。鍵盤上の指の動きの合間にオペレーションとして画面タッチが完璧に組み込まれている(笑)。これも様式化されているというか。

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