October 17, 2016

イザベル・ファウスト&クリスティアン・ベザイデンホウトのオール・バッハ・プログラム

●例年、秋はコンサートラッシュだが、体感的にはこの一週間前後がピークという気がする。数が多いというだけじゃなくて、インパクトの質とか中身の重さとかもあれこれ含めて。
●少し遡って、10日は彩の国さいたま芸術劇場でイザベル・ファウストとクリスティアン・ベザイデンホウトのオール・バッハ・プログラムへ。与野本町駅は遠いんだけど、ここの音楽ホールは環境的に最強。最強に強まる埼京線。曲はヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番ホ長調、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調、トッカータ ニ短調 BWV 913、ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番ト長調。ひたすら楽しい。以前の濃密で凝縮された無伴奏もすばらしかったが、今回のメインはヴァイオリンとチェンバロとのソナタ。無伴奏よりも開放感とエンタテインメント性が高いのが吉。一人で立つのと、ベザイデンホウトというパートナーを得て対話をくりひろげることの違いでもあり。楽章ごとに2種類の弓を使い分けていたのが興味深い。一曲、ヴァイオリンには無伴奏ソナタがさしはさまれるが、チェンバロにもトッカータのソロがある。だけじゃなくて、ソナタ第6番ト長調は第3楽章がチェンバロのソロになっているのであった。どうしてバッハはこんな趣向を用意したんすかね。5つの楽章をシンメトリカルに配置するというアイディアがまずあったとして、その中央にチェンバロのソロを置くというのは、なにか先例があってのことなんだろうか。
●ベザイデンホウトがある時期に一気に痩せて猛烈に男前になったことにいまだに感銘を受けている自分。ハルモニア・ムンディ・フランスからリリースされているモーツァルトのソナタ・シリーズの一部ジャケ写にふっくら時代の痕跡が残っているのが、たびたび目に入ってしまうので。どうやってあんなに痩せられるのか、だれかに聞いてほしい。エンリコ・オノフリとの古楽ダイエット談義とかでも可(なんだそりゃ)。あとイザベル・ファウストのステキ度も上がっていたのは、どういう現象なのか。

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