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November 29, 2017

エマニュエル・パユ SOLO

●28日は東京オペラシティでエマニュエル・パユの「SOLO」と題された無伴奏フルートのリサイタル。ベルリン・フィルは帰国してしまったが、パユはまだ日本でソロ活動が残っている(一方、樫本大進はフィリップ・ジョルダン指揮ウィーン交響楽団来日公演にソリストとして出演。居残り組っていうとヘンか)。大ホールで無伴奏フルートのリサイタルが成立するというのも十分すごいのだが、なんと休憩なし。短いプログラムなのかなと思いきやそうでもなくて、アンコールが終わって20時40分だったから、20分の休憩を入れれば普通の長さのコンサートになっていた。それでも休憩なしで一気に吹き切るパユ。全体をひとつの大きな作品のように聴いてほしい、という意図なんだろうか。客席はしっかり埋まっていてさすがの人気。
●で、無伴奏なので現代作品メインに古楽成分少々といったプログラム。武満徹の「声」(ヴォイス)、マラン・マレ「スペインのフォリア」、ピンチャーのBeyond (A System of Passing)、フェルーの3つの小品、ヴィトマンの小組曲、C.P.E.バッハの無伴奏フルート・ソナタ イ短調、武満徹の「エア」。武満で始まり武満で終わるのは、このホールが「タケミツ メモリアル」だから。マレはヴィオールではおなじみの曲だけど、無伴奏フルートでも演奏できるとは。官能性よりも清冽さが前面に出る感。ピンチャーは強烈にモダンな曲。特殊奏法の連続で、鋭い楔を打ち込むように激しく息を吹き込みながら、目まぐるしい勢いで突進する。激辛。フェルーは20世紀前半の民謡風、東洋風の歌の音楽。ヴィトマンの小組曲はその名の通りにアルマンド、ラメント、サラバンドの3曲からなる擬古的な装いを持つ。ヴィトマンからC.P.E.バッハにつなぐ流れがおもしろい。C.P.E.バッハで調性音楽に戻ってほっとするというんじゃなくて、むしろその独自性が際立ち、また新たに見知らぬ光景に出会ったような気分にさせてくれる。
●アンコールにヴァレーズの「密度21.5」、そしてドビュッシー「シランクス」という、無伴奏フルートならこれという2曲。帰り道のアンコール曲掲示板を見て「21.5ってなに?」と話している声が聞こえてきた。えーと、プラチナの密度なんだっけ。パユのフルートはなにでできているんだろう。(パユは違ってたけど)もし木製のフルートだったら密度はせいぜい1前後くらいだろうか。世界のどこかにフラウト・トラヴェルソのための Density 0.9 みたいな曲を書いている人がいるにちがいない。

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