April 9, 2018

マリノスvs川崎フロンターレ、隙だらけの構えでどこからでもかかってこいと啖呵を切ってみたら

トリコロール●ポステコグルー監督のハイリスクすぎる戦術を続けるわがマリノスに、試金石となる一戦が到来。マリノスvs川崎フロンターレをDAZNで観戦。マリノスの戦術はこうだ。ディフェンスラインを思いきり上げる。後ろの広大なスペースはゴールキーパーが走り回ってスイーパーのようにカバー。キーパーはディフェンスラインとともにボール回しに参加し、よほどのことがないかぎり前に蹴り込まず、ショートパスをつないで組み立てる。両サイドバックも高い位置を取るばかりでなく、中に絞って中盤に参加する。必然的にパスの本数は劇的に増える。そして、キーパーは毎試合7キロくらい走る。で、広大なスペースを相手に与える隙だらけ戦術だが、川崎はこういったスペースを突くのが猛烈にうまい。ディフェンスの裏に抜ける動き、後ろから追い抜く動き、細かいパス交換から抜け出る動き。足元の技術が高く、視野の広い選手がそろっている。そんな川崎を相手にしたらマリノスの今の戦術なんて、持ってけ泥棒と言わんばかりにゴールを献上しそうに思えるじゃないすか。
●そしたら、事実、そうなりかけたんすよ! やっぱり。前半は好き放題に川崎に崩された。あきれるほどきれいに裏を取られる。次から次へと決定的ピンチがやってくる。そして、こちらのチャンスはほとんど来ない。なにをやってるんだか。これ、足元の技術でかなわない相手には通用しない戦術なんじゃないの? ポステコグルー監督時代のオーストラリア代表がニッポン代表と戦ったときがまされにこの展開じゃん!……でも、なぜかゴールポストが助けてくれたり、飯倉のファインセーブとかで、奇跡的に前半を耐えた。前半だけで3点くらいは失点しててもおかしくなかった。
●しかし後半13分、ついに失点。家長のシュートがゴールポストに当たって、一瞬またラッキーかなと思ったら、跳ね返ったボールが飯倉に当たって、ゴールのなかに吸い込まれた。トホホ。ワタシの感覚ではこれはオウンゴールなんだけど、家長のゴールになった模様。わかった、ポステコグルー監督の戦術は通用しない。そうあきらめかけた後半16分、コーナーキックから中澤(40歳)が頭で合わせたボールがエウシーニョに当たってコースを変えて同点ゴール。これもオウンゴールだと思うんだけど、記録は中澤のゴール。不思議な展開で1-1になった。
●後半の後半は川崎の足が先に止まり、マリノスが押し気味に。途中からラインが間延びしてノーガードの打ち合いになったが、両者ギリギリのところで耐えてドロー。マリノスは勝点1という微妙な結果を手にしたわけだが、どうかな、正直言ってこの戦術、ぜんぜん機能していたとは思えない。むしろお家芸の守りの堅さで耐えた気がする。川崎は後半途中からケガ明けの齋藤学(元マリノス)を投入してきたのだが、そんな因縁話などまったく霞んでしまうほどポステコグルー監督の戦術は妖しい光を放っている。エキサイティングすぎる。これで2勝2敗2分。戦術は派手だが、結果はいたく平凡だ。
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●音楽之友社の新ウェブマガジン、ONTOMOで連載を始めることになった。本や映画、スポーツ、身近な話題など周辺的なテーマをきっかけとしたクラシック音楽コラム。よろしければ。→ 飯尾洋一の音楽夜話 耳たぶで冷やせ 第1回

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