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May 22, 2018

マリノスvs V・ファーレン長崎、大量得点は悪魔の甘い罠

トリコロール●連戦が続いたJリーグもこの試合でワールドカップ中断期間に入る。洗練された超高度戦術を武器に華麗なる残留争いに加わるマリノスは、ホームに高木琢也監督率いるV・ファーレン長崎を迎えた。長崎といえばジャパネットの傘下に入り、高田明社長のもと、夢のJ1昇格を果たして昇竜の勢い。スタジアムには高田社長も観戦に来ている。こうでなくてはっ! まったく頭が下がるというか、うらやましいというか。サッカーはこれだ。今まちがいなく高田社長は人生を楽しんでいるはず。テレビショッピングで財を成し、事業を後進に譲った後は、サッカークラブの経営者となって長崎市民とともに夢を分かち合う。最高じゃないか。巨大企業から出向する「担当者」じゃなくて、本物の「オーナー」だ。アウェイの試合にもかけつける。デジカメや液晶テレビは安売りしても、勝点は安売りしない。昇格したばかりなのに長崎の順位はマリノスより上だ。しかし高田社長には最大限の敬意を込めて、マリノス・サポとして言っておきたい。ワタシはデジカメも液晶テレビもヨドバシカメラやAmazonで買う。ジャパネット? 使ったことないねっ!
●さて、試合だ。ハイライン、ハイプレス、ハイリスク、ハイ失点のポステコグルー監督による戦術だが、実は少し変化があった。キーパー飯倉のポジションがだいぶ常識的になっている。さすがに前節の何度目かのスーパーロングシュートを決められて意気消沈したのか、キーパーがゴールマウスの近くに立っている。それを裏付けるように飯倉の走行距離は4.8キロしかない。どうした、飯倉。今日は7キロ走ってくれないのか? それじゃ相手キーパーと大差ないぞ。おまけにスプリント回数はゼロ。今までは試合中に何度も全力ダッシュしていたのに。マリノスは相変わらずディフェンスラインからボールをつないで高いボール保持率を実現してはいたが、飯倉が後ろにいるままなので、いつもに比べるとフィールドプレーヤーがひとり足りないかのようだ。
●で、どうなったかというと、長崎に先制されるも逆転し、5対2で勝った。久々に勝った! ポステコグルー監督の戦術がいよいよ機能しはじめたということなのだろうか。試合後のコメントで監督は「もっと点を獲れたはず」と悔しがってみせた。しかし、よく考えてみよう。5ゴールの内訳は大津、仲川、仲川、扇原、ミロシュ・デゲネク。大津はPKだ。仲川の2ゴール目は仲川の個人技と相手キーパーのミスから生まれたゴール、扇原のゴールはセットプレイのこぼれ球、ミロシュ・デゲネクはコーナーキックを頭に合わせたゴール。5ゴール中4ゴールは別に戦術とか、関係なくね? 長崎の選手との個の能力差そのものが出ただけでは。
●さて、これからどうする、マリノス。大量得点できたから今の戦術でいいのか、それとも飯倉のポジションを手直ししたように、もっと常識的なサッカーで勝点を積みあげるのか。この5ゴールは悪魔が仕掛けた罠なんじゃないか。なんだか信仰心が試されているような気がする。
●ちなみに、「V・ファーレン」は、「ヴィ・ファーレン」と呼ぶ。クラブ名称にウ濁(ヴ)もナガグロ(・)も入っていて、クラシック音楽愛好家との親和度は高そうである。しかもマスコットが「ヴィヴィくん」と来たらもうたまらない。