October 1, 2018

シルヴァン・カンブルラン指揮読響の「ラ・ヴァルス」他

●台風が来て外は暴風。首都圏のJRはさっさと20時以降の運休を発表した。前もって止めるというスタイルが今後一気に定着していきそう。こういうのも、みんながスマホを持ち歩いていて即座に情報が共有される前提があってこそかも。天気予報も1時間ごとの降雨確率とか雨量、風速が発表されるようになって、事前にイメージがつかみやすくなった。天気予報、すごすぎ。
●で、振り返って、28日は前週の金曜に続いてシルヴァン・カンブルラン指揮読響へ。とても凝ったプログラムで、前半にペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」、シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番(諏訪内晶子)、後半にハース「静物」、ラヴェル「ラ・ヴァルス」。全体を貫くのは、形態としては反復、旋回、漸次変化、意味としては破滅、崩壊といったところか。前半と後半が相似形のようになっている。
●このコンビとしても一段と精緻な演奏で、ペンデレツキがこんなにすっきりきれいに響く曲だったとは。シマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番は濃密、豊麗。この曲はラトル指揮LSO(ヤンセン)の曲目と重なっていて、東京では二晩連続して聴くことも可能だったという人気ぶり(?)。ソリストのアンコールはイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番より第1楽章(バッハの引用が出てくる曲)。後半のハース「静物」は2003年作曲。30分近い曲で、この日のプログラムでは一番長い曲ということになるのだろうか。カンブルランが初演した曲。内なる中二病を刺激してくれるだけのカッコよさはあるんだけど(今にもなんかスゴいヤツが出てきそう感)、終盤が少し冗長にも感じる。「ラ・ヴァルス」は出色の出来。ラヴェル作品でも一二を争う好きな曲でありながら、実演では物足りない気分で終わることがほとんどという難物なんだけど、陶酔感とグロテスクさの一体化という点でかつてないほどの絶妙さ。趣味のいいグロさというか。カンブルランと読響のつぼにはまったときの破壊力を改めて実感。

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