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December 17, 2018

パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団

●12日は東京オペラシティでパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル。ソリストにヒラリー・ハーンを迎えた豪華仕様で、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲、バッハのヴァイオリン協奏曲第1番および第2番(ヒラリーに2曲弾いてもらえて嬉しい!)、シューベルトの交響曲「ザ・グレート」。いろいろなオーケストラでポストを務めるパーヴォだが、ドイツ・カンマーフィルとのコンビからは特別な絆というか、ファミリー感が伝わってくる。ピリオド・スタイルのオーケストラにパーヴォらしい推進力が加わって、キレッキレのシャープな音楽。ヒラリー・ハーンは磨き抜かれた天衣無縫のバッハ。オーケストラ側とはまったくちがったアプローチのバッハなんだけど、彼女のスタイルで突きつめられた完成された芸術。つい最近リリースされたバッハの無伴奏アルバムも印象的だった。アンコールはやはりバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番から第2楽章「ルール」、さらに第6楽章「ブーレ」も。
●後半の「ザ・グレート」は快演。作品の持つ歌心やのびやかさと、パーヴォとオーケストラの鋭さ、細かなところまで意匠を凝らしたダイナミクスの設定が活かされて、たいへんな雄弁さ。怪物的な作品だなと改めて思う。リリカル・モンスター・ザ・グレート。アンコールはシベリウスの「悲しいワルツ」。十八番。なんども演奏する内にどんどん解釈が究められて、過剰なほどに彫琢された精巧な演奏に。
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