April 15, 2019

ヤクブ・フルシャ指揮N響のシュトラウス、ベルリオーズ、ヤナーチェク

●13日はNHKホールでヤクブ・フルシャ指揮N響。以前、都響で活躍したフルシャがN響にデビュー。この間にフルシャはバンベルク交響楽団首席指揮者に就任し、ベルリン・フィル定期にもデビューするなど破竹の勢い。で、プログラムはシュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」、ベルリオーズの叙情的情景「クレオパトラの死」、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という3曲。曲の長さからいって、てっきりシュトラウスの後に休憩が入るものだと思っていたら、そうではなく、ベルリオーズの後だった。前半のほうがずっと長いというアンバランスな時間配分なのだが、これはヤナーチェクへの集中度を高めてほしいという意図なんだろうか。ゲストコンサートマスターにライナー・キュッヒル、東京・春・音楽祭の「さまよえるオランダ人」に続いて。
●冒頭があまりに有名なシュトラウスにしても、バンダが大活躍するヤナーチェクにしても、スペクタクルに富んだ作品ではあるのだが、フルシャのアプローチは外見上の華々しさに頼らずに作品に内在するドラマをそのまま伝えるといったスタイル。予想以上に「ツァラトゥストラはかく語りき」が充実。音楽の流れが自然で、起承転結がしっかりと描かれている感。ヴェロニク・ジャンスが歌う「クレオパトラの死」はあたかもオペラの終場のよう。ベルリオーズ・ワールド全開の作品で、クレオパトラが毒蛇に自身を噛ませて死に向かうという情景が描かれている。空想的に体験する、毒蛇に噛まれる感。あ、もう毒回ってます、回ってきた、もうダメ……みたいなホラーなエンディング。「シンフォニエッタ」は最後列にずらりと並んだバンダが壮観。土の香りと革新性の幸福な融合。
●N響は今月の定期公演から休憩が20分間になった。歓迎。例の男性限定の長蛇の列に焦って並ばなくてもよくなった。
●NHKホールが放送センター改修工事にともなって2021年3月から2022年6月まで休館することが発表されている。N響サイトの発表によると「放送センターの建替工事の影響で休館に先立って2020年9月から別の会場で実施する公演もある」のだとか。まだ先の話ではあるが、かなり長い休館になる。代替会場は調整中。

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