August 19, 2019

映画「天気の子」(新海誠監督)


●映画館で「天気の子」(新海誠監督)を見た。夏休み中ということもあってか、館内は子供たち、特に小学生が多くて驚く。えっ、この映画って、そういう扱いなの? 16歳の主人公によるボーイミーツガールであり、成長の物語。前作「君の名は。」のようなSF仕立ての入り組んだプロットはないので、小学生でもわかるといえばわかるのか。もっとも、主人公は島を出て東京に身一つで出てきた家出少年、ヒロインのほうはアルバイトをしながら小学生の弟と東京で子供だけのふたり暮らしをしているという設定で、子連れで見るには親御さんは落ち着かないかも。主人公の愛読書は村上春樹翻訳版の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。大人に管理されることを拒んだ少年少女が、東京で自分の居場所を探す。
●ボクがいて、キミがいる。そのふたりの関係が世界全体のあり方を左右するという、典型的なセカイ系の物語であり、大人不在の物語。異常気象の東京で、ずっと雨が降り続いている。だが、ヒロインは晴れ女で、祈りの力で晴天をもたらすことができる巫女のような存在。延々と雨の日が続く東京の描写は、少しだけJ.G.バラード的な終末世界を連想させる。対照的に晴れわたる青空の描写はひたすら明るく、まぶしい。東京の街の描写がリアルで具体的で、なかば観光をしているかのような趣も。風景描写の美しさは見どころ。
●これは「アナと雪の女王」と正反対の物語だな、と思った。「アナと雪の女王」のエルサは氷の女王で、雪と氷を作り出す。一方、「天気の子」のヒロインは、雨の日を晴れにする異能を授かったプリンセスともいえる。エルサは現代のディズニー映画がみんなそうであるように、王子さまに助けられるための存在ではなく、自分の人生を生きるプリンセス。「天気の子」は本質的に「ボクの物語」なので、ヒロインは待つ女。ゲームのノンプレイヤーキャラクターを連想させる(最後の場面なんて特に)。ひとつ、目をひいたテーマは自己犠牲の否定。
●「Yahoo!知恵袋」とか、日清カップヌードルとか、「バニラ」の宣伝カーとか、やたらと実在のブランドが登場するのが生々しい。

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