October 24, 2019

映画「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」(マイケル・ラドフォード監督)

アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール
●来月公開される映画「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」(マイケル・ラドフォード監督)を一足先に観た。最初、タイトルだけを見て、てっきりボチェッリのドキュメンタリーだと思い込んでしまったのだが、そうではなく、ボチェッリの実話に基づくドラマ。役者が演じている。原作はボチェッリの自伝小説 The Music of Silence で、監督は「イル・ポスティーノ」や「ヴェニスの商人」(アル・パチーノの)で知られるマイケル・ラドフォード。ボチェッリに相当する主人公はアモスという役名で、トビー・セバスチャンが演じているのだが、歌唱場面はボチェッリ本人による吹き替え。主人公を指導する声楽教師役にアントニオ・バンデラスが起用されるなど、予想以上の豪華布陣。ちなみにイタリア映画だが、登場人物はみんな英語をしゃべる。
アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール ポスター●物語の出発点はトスカーナ地方の風光明媚な小村。まずはボチェッリの生い立ちが描かれるのだが、やはり視覚障害が正面から描かれることになる。少年に課せられた過酷な現実と、それを受け止める両親という構図は、涙なくして見られないもの。そして、この映画がボチェッリの成長と栄光を描いた物語である以上に、家族の物語なのだということに気づく。ボチェッリの両親や叔父さん、成長してからは友人や恋人など、ボチェッリを囲む人々の温かさが印象的。
●ボチェッリのインターナショナルリリースとなる最初のアルバム「ロマンツァ」がリリースされたのが1997年のこと。日本でも話題になったけど、当時すでにボチェッリは39歳だったんすよね。映画のなかではズッケロから共演のオファーが来て、結婚も決まって、一気に道が開けるかと思ったら、そこからまったく連絡が来なくなり、仕事がないまま悶々とするという見どころがある。ここからパヴァロッティの代役を務めてブレイクするまでの経緯は、やや駆け足なのだが、スターになるまで待ち続けることができたのがボチェッリなんだなと感じる。
●11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー。

photo © 2017 Picomedia SRL

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