December 12, 2019

ヴィキングル・オラフソン&新日本フィル トリフォニーホール・グレイト・ピアニスト・シリーズ

●11日にはすみだトリフォニーホールでヴィキングル・オラフソン。アイスランド出身の話題のピアニストだが、ようやくライブで聴くことができた。前半はピアノ・ソロ、後半は新日本フィルとの共演という、すみだトリフォニーホールならではのスタイル。まずはバッハの「ゴルトベルク変奏曲」からアリアだけを弾いて、なぜかトークが入る。続くバッハ作品の紹介をして、この日のプログラムのテーマである「変奏」について、「キリスト教でいえばアダムとイブから始まったように、この世はみんなバリエーションなんだ」みたいな話。それからバッハの「イタリア風アリアと変奏」BWV989。「ずっと若い頃に書かれた、ゴルトベルク変奏曲への準備」のような曲。先にアリアを聴いているせいもあるけど、かえって「ゴルトベルク変奏曲」がバッハの作品においてさえも特別な高みに到達しているのだと感じる。曲が終わると、ほとんど間を置かずに、拍手なしでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番ハ短調へ突入するという、ドラマティックな展開。こちらも後半の第2楽章が変奏曲。オラフソンは緻密にコントロールされたタッチで、清爽とした響き。随所に新鮮なアーティキュレーションが採用されていたりインスピレーションに富んでいるけど、あくの強さは感じない。でも、ソロは別の機会にもう少し小さな空間で聴いてみたいかな。
●休憩後はモーツァルトのピアノ協奏曲第24番ハ短調で、こちらも第3楽章が変奏曲。オラフソンが新日本フィルを指揮しながら演奏。指揮のほうはさまになっているとは言いがたいけど、弱音の表現を生かした能弁なモーツァルト。アンコールはピアノ協奏曲第23番の第2楽章。耽美。アルバム・ジャケットなどから、なんとなくオタクっぽい雰囲気の人を想像していたら、パッと明るい感じでしゃべる人だったのが意外。

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「「ラ・ボエーム」原作が光文社古典新訳文庫から刊行」です。

次の記事は「パブロ・エラス・カサド指揮N響の「冬の日の幻想」」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ