October 22, 2020

味スタで東京ヴェルディvsジュビロ磐田 J2リーグ

●21日は味の素スタジアムへ。ウイルス禍以来、久しくスタジアムから遠ざかっていたが、ようやく本物のサッカー観戦が実現。寒くなったらもう行かないので(寒さに震えながらの観戦はもうしないと決めている)、今しかないと思って平日夜に味スタまで遠征(ぜんぜん遠くないけど心理的には遠征)。すごいんすよ、飛田給駅。駅に降りたら、「サッカー」より「通勤」の雰囲気が勝っている! 一瞬、本当に試合があるのか心配になるが、よく見ると仕事帰りのビジネスマンたちに交じって、緑をまとった人たちもちらほら。
●そもそも調布エリアは全面的にFC東京の青と赤に染まっていて、ヴェルディ(緑)感ははなはだ薄い。これはクラブのたどってきた歴史を考えれば当然のことで、ホームなのにアウェイ感すらある。そしてこの日の対戦カードは東京ヴェルディvsジュビロ磐田。つまり、かつて日本最強として黄金時代を築いたクラブ同士の対決がJ2で実現。ヴェルディには大久保嘉人、ジュビロ磐田には遠藤保仁や今野泰幸(←ただようガンバ大阪感)といった元日本代表の勇者もスタメンに名を連ねた。
●で、感染対策だが、今やサッカー観戦の観客様式はクラシックの演奏会にほとんど近い。入場時には体温チェック、手指消毒、マスクチェック、座席は市松模様で一席空け、声を出さずに静かに観戦、応援は拍手で。演奏会と違うのは入場時に荷物チェックがある点だが、それも限りなく簡易。開始前にはアウェイサポへの拍手や感謝のメッセージあり。わざわざ遠くから来てくれてサンキュー&おつかれ。これが今のJ2の基本カルチャーだと思う。本日のマッチスポンサーである株式会社エムールの社長挨拶に対しても、ゴール裏は拍手で応援モード。ファンならわかる、スポンサーあってのJリーグ。しかもこのご時世。観客数は3160人。5万人収容のスタジアムには少ないが、ウイルス禍以前からもっと閑古鳥が鳴いている試合を何度か観ているので、違和感はまったくない。
●で、試合内容だがとてもJ2とは思えないようなポゼッション志向のゲームに。お互いにボールを持って攻撃を組み立てることを信条としたチーム同士なので、びっくりするほどパスがよくつながる。スタッツでは両チームともパス成功率80%超、500本以上のパスを通していたという、J1でもなかなか見られないパスゲーム。ほぼ互角ながら、試合全体としてはヴェルディが攻勢か。両チームともにキーパーのビッグセーブが出たこともあって、攻めあった割には試合は0対0のドロー。ヴェルディのベテラン・キーパー柴崎貴広が活躍。中盤に元マリノスの佐藤優平がいて、すっかり中心選手になっていたのに驚く。ときには前線に、ときにはバックラインまで下がって、自在のポジショニングでチーム全体の舵を取る。しかもコーナーキックまで任されている! 大卒でマリノスに帰ってきて(ユース出身)、一時チャンスをつかみかけたもののブレイクせず、その後新潟、山形を渡ってヴェルディへ。マリノス時代は運動量や献身性に持ち味があるのかと思っていたが、テクニシャンぞろいのヴェルディでプレイメイカーとして活躍することになるとは、わからないもの。ヴェルディといえば線の細い天才肌の選手が多いイメージだが、そのなかで異彩を放っていた。
●ヴェルディの監督はかつてのスター、永井秀樹(この人も一時期マリノスに在籍)。少しおもしろかったのはゴールキックのとき、キーパーの両脇に選手をひとりずつ置いて、そこからボールをつなげてビルドアップするところ。キーパー+2名いれば、相手の前線がプレスをかけて来てもつなげる、ということなんだろうけど、同時に相手のハイプレスを誘発してスペースを作り出そうという意図もあるのだろうか。足元に自信のあるチームの発想だなと思う。もっとも、きれいに崩そうという意識が強くて、少々エレガントすぎるというか、低カロリーな試合になった感も否めないのだが。

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