April 13, 2021

東京・春・音楽祭 川口成彦~協奏曲の夕べ

●12日は東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭「川口成彦~協奏曲の夕べ ピリオド楽器で聴くモーツァルト&ベートーヴェン」。フォルテピアノの川口成彦に「ラ・ムジカ・コッラーナ」(ヴァイオリン:丸山韶、廣海史帆、ヴィオラ:佐々木梨花、チェロ:島根朋史、ヴィオローネ:諸岡典経)が加わる室内楽編成の協奏曲集。プログラムが魅力的。モーツァルトのJ.C.バッハのソナタによる協奏曲第2番ト⻑調K.107-2、ピアノ協奏曲第12番イ⻑調K.414、C.P.E.バッハの幻想曲へ⻑調Wq.59-5、ベートーヴェン(V.ラハナー編)のピアノ協奏曲第2番変ロ⻑調。
●モーツァルトによるクリスティアン・バッハの編曲作品であるK.107-2を聴いたのは初めて。ピアノ協奏曲第1番から第4番までの4曲以外にも、こういった他人の編曲による協奏曲があったとは。アレグロとアレグレットのみの2楽章構成。最後にもう1楽章、欲しくなる。クリスティアン・バッハとモーツァルトの親和性の高さを感じる一方、モーツァルト固有の魅力は薄い。続くピアノ協奏曲第12番ではうってかわってモーツァルトのインスピレーションが大爆発していて、対比が鮮やか。C.P.E.バッハの気まぐれな独奏曲が全体のなかでアクセントとして効いていた。白眉はベートーヴェンで、親密なアンサンブルがもたらす愉悦を満喫。ききおぼえのないカデンツァはやはりご本人の作だったそうで、ベートーヴェン本人のカデンツァは後から書いたものであるため今回使用したヴァルターのレプリカでは音域が足りないのだとか。
●フォルテピアノの音色はニュアンスに富み、弦楽器とも無理なく美しく調和する。柔らかい音色を出す弱音装置の効果は絶大。一方で、モダンピアノに比べれば音量ははるかに小さく、文化会館の小ホールですら巨大空間に感じる。経済合理性を超越してはじめて聴ける贅沢品という思いを新たにする。
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●東京・春・音楽祭のために、すでにリッカルド・ムーティが来日している。現在「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」が開講中で、4人の指揮受講生、歌手たちがムーティの指導を受けており、その模様がインターネットで無料ライブ配信されている。本日13日は中休みなのだが、明日から16日まで毎日10:30から17:00までの開催。配信は日本語の同時通訳付き。

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