September 10, 2021

デイヴィッド・レイランド指揮東京都交響楽団のシューマン他

●9日はサントリーホールでデイヴィッド・レイランド指揮都響。なじみのない指揮者だが、ベルギー出身でフランス国立メス管弦楽団とローザンヌ・シンフォニエッタの音楽監督を務める。都響初登場。プログラムはシューマンの「ゲノフェーファ」序曲、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番(北村朋幹)、シューマンの交響曲第2番というハ短調/ハ長調プロ。弦楽器は対向配置。
●北村朋幹のモーツァルトは詩情豊か。弱音表現に持ち味がある人だと思うので、弦楽器はもっと小編成でもよかったかも。ピアノが埋もれがちで、本来ならもっと近距離で聴きたいタイプ。カデンツァは自作だろうか。なぜかピアノ椅子ではなく、オーケストラ椅子を三段重ねにして使用。アンコールは本日のシューマン・プロに寄せてか、シューマン「天使の主題による変奏曲」の主題部分。これは絶品。陰影豊かでニュアンスに富む。
●レイランドのシューマンは都響のサウンドと相まって非常に明快ですっきり。狂気寸前の鬱屈したロマンよりも、健全なダイナミズムにフォーカスした交響曲第2番。ドイツのオーケストラでも実績のある人なので、プロフィールから漠然とドイツ系の暗く深い音色を想像していたら、むしろ逆で、キレがあり、細身だが芯の強い音。清潔感がある。堪能。
●珍しく客席がガラガラだったのだが(一時期よくあった残響過剰な状態を久々に体験)、その分、熱心な聴衆が集まったのか拍手が鳴りやまず、指揮者のソロ・カーテンコールに。この曲ではやや意外。でも、シューマンの交響曲第2番は神がかった傑作だと改めて感じる。シューマンの交響曲、4曲どれも大傑作だけど、好きな順に挙げるなら2-4-1-3か、4-2-1-3か。ブラームスも同じように4曲書いてるけど、ブラームスだったら4-3-2-1か、4-2-3-1。なんだかサッカーのフォーメーションを書いているみたいだが。

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