September 21, 2021

鈴木雅明指揮読響のC.P.E.バッハ、プーランク、メンデルスゾーン

●18日は東京芸術劇場で鈴木雅明指揮読響。プログラムはC.P.E.バッハのシンフォニア ニ長調Wq.183/1、鈴木優人との父子共演でプーランクのオルガン協奏曲、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」。な、なんと、エマヌエル・バッハの同じシンフォニアを2日前に鈴木秀美指揮NHK交響楽団で聴いたばかり。これは偶然、それとも企み?
●同じ曲を2種類の味わいで楽しめたのは吉。先日のN響公演では大バッハの組曲の後に置かれて父子対照の鮮やかさが前面に出ていたが、この日はバラエティに富んだプログラムを予告する幕開けの音楽。開放的でエネルギッシュなエマヌエルで、浮き立つような高揚感。指揮はチェンバロ弾き振り。続くプーランクは鈴木優人がソリスト。芸劇のオルガンは最近のオーケストラ公演では反響板に隠れることが多いのだが、この日はモダン面がお目見え(表と裏とリバーシブルになっている)。ゴージャスな音色を満喫。パワフルであり、軽やかでもあり。才気煥発ぶりでエマヌエルからの流れを受け継ぐ。ソリスト・アンコールはやや意表を突いてフォーレの「夢のあとに」。後半のメンデルスゾーン「イタリア」は作品イメージを刷新するほど情熱的な演奏で、第1楽章からひりひりするような熱さ。終楽章は大いに盛り上がって、本来ならブラボーの掛け声が出るところだが時節柄そうもいかず、客席の反応がおとなしく感じてしまうのがもどかしい。客入りは上々、恒例の分散退場に。
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東京の新規陽性者数は予想以上に急速に減っている。9月の学校再開によるリバウンドは回避できたようだ。冬に向けて第6波が来るというのだが、もはや今が第何波なんだかすっかりわからなくなっている。国別ワクチン接種完了率(Our World in Data)を見ると、もう日本はアメリカを追い越したかなという状況。というかワクチン先進国のアメリカが54%しかないことに驚く。一方でLAフィル(Safety Information)やニューヨーク・フィル(Health and Safety Guidelines)はワクチン接種証明を入場条件にしており、社会は一様ではないと感じる。

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