April 11, 2022

クリストフ・エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のベートーヴェン他

東京芸術劇場 クリストフ・エッシェンバッハ指揮N響
●9日は東京芸術劇場でクリストフ・エッシェンバッハ指揮N響。82歳になったエッシェンバッハだが背筋がスッと伸びていてそんな年齢には見えない。プログラムはドヴォルザークの序曲「謝肉祭」、モーツァルトのフルート協奏曲第1番(スタティス・カラパノス)、ベートーヴェンの交響曲第7番。冒頭のドヴォルザークはメリハリが利いていてエネルギッシュ。にぎやかすぎてかえって平板になりやすい曲だけど、起伏に富み鮮烈。モーツァルトでソロを務めたカラパノスはエッシェンバッハと共演を重ねる新鋭。人目を奪うゴージャスなジャケットで登場。スマートというよりはやや癖のある自在のモーツァルト。アンコールはドビュッシーの「シランクス」で、音が強く、多彩な音色で大柄な音楽を作る。
●後半、ベートーヴェンの交響曲第7番は全楽章をほぼアタッカでつなげて集中度の高い演奏。冒頭和音からズシリと重厚で、パッションと緻密さのバランスが調和した堂々たるベートーヴェン。第1楽章リピートあり。以前の同コンビの「第九」等から、もっとアクの強い解釈を予想していたが、意外とデフォルメもなく、20世紀の巨匠たちの伝統に連なる本格派の名演だった。客席の入りはよく、かなり盛大な拍手。以前なら「ウォーー」という声が出たところだろうが……。カーテンコールをくりかえした後、客電がつき分散退場のアナウンス。ここでササっと帰る人たちと、拍手を止めない人たちの二手に分かれるのが少しおもしろかった。マエストロと篠崎史紀コンサートマスターふたりで登場してソロ、じゃないデュオ・カーテンコール。
●来シーズンからN響AプロとCプロはNHKホールに戻ることになったので、芸劇で聴ける定期公演はあとわずか。芸劇、よかったんだけどなー。駅直結というアクセスの快適性ひとつとってもありがたかった(特に雨の日や寒い時期)。惜しい。

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