December 1, 2022

イランvsアメリカ クラシックvsモダン ワールドカップ2022 グループB

イラン●ふう。今日は純粋にサッカーの話題だ。今回のグループステージでも必見のカード、イラン対アメリカ。もともと両国の関係から注目度の高い試合だが、両チームとも勝てばグループステージ突破が決まるという熱い状況での対戦になった。地の利を生かしてイランは観客席を味方につけるが、案外とアメリカのサポーターも多いのが驚き。ワールドカップならではのひりひりするようなタフなゲームになった。主審も簡単には笛を吹かないジャッジ。見ごたえのある試合に。
●両チームのカラーは対照的。イランはケイロス監督が復帰したのがはたしてよかったのかどうか……。堅守速攻のクラシカルなスタイル。開始早々こそ観客席に後押しされて攻め合いになったが、すぐに守りの姿勢に。一方、アメリカはコレクティブなモダン・サッカー。全員が欧州のクラブに所属し、ビッグクラブの選手も何人かいるうえに、全体が若く、スピードも運動量もある。前回対戦したときに感じたことだが、わりとニッポンと似ている(そのときはこちらが一枚上手とは思ったが)。イランは守ってボールを奪っても、周囲の選手のサポートが少なく、攻撃がつながらない。トップのアズムンの運動量があまりに乏しい。次第にアメリカの攻撃に耐えられなくなり、前半38分、プリシッチに決められて失点。
●後半頭からイランはアズムンを下げてサマン・ゴドスを投入。最初からこうすればよかったのに。タレミが核となって攻める。アメリカは後半半ばから5バックにして守り切る姿勢にチェンジ。高さとパワーで勝るイランはロングボールを用いながら、猛攻を繰り出す。ただ、これが拙攻気味で、プレイが雑なのと、選手の連動性が足りないために、決定機が少ない。気になったのは終盤になるとイランが主審のほうを向いてプレイすること。この状況で不要なアピールは損なのに。結局、アメリカが逃げ切った。イランはアジアではめっぽう強い反面、ワールドカップは6度目の挑戦にして一度も決勝トーナメントに進出できていない。中東中心の「アジアの戦い」に最適化しすぎていて、FIFAの「世界の戦い」になると勝手が違うのかな……と思わなくもない。ともあれ、アジアの好敵手イランが勝利できなかったのは本当に残念。アジア勢ではいちばん可能性が高いと期待していたのだが。

イラン 0-1 アメリカ
娯楽度 ★★★
伝説度 ★