December 5, 2022

ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団のブルックナー2

ファビオ・ルイージ NHK交響楽団
●ふー。日々カタールで熱戦がくりひろげられているなか、東京のコンサート・シーンも熱い。だからこんなハイシーズンにどうしてFIFAはワールドカップを開いたのかと(以下略)。
●3日はNHKホールでファビオ・ルイージ指揮N響。前半にワーグナーのウェーゼンドンクの5つの詩(藤村実穂子)、後半にブルックナーの交響曲第2番(初稿/1872年)。ブルックナーの2番、しかも初稿という貴重なプログラム。前半は藤村実穂子の深くまろやかな歌唱とオーケストラの陰影に富んだ音色を堪能。第3曲の「温室で」、なぜ愛の歌に温室が出てくるのか、というのはプログラムノートの広瀬大介さんの解説を読むとよくわかるわけだが、ここでいう温室とはトマトやホウレン草を育てるビニールハウスではなく、南国の植物を生育させるオランジェリーのほう。ということは、なじみ深い場所でいえば、新宿御苑が誇る大温室がそれに近いのか? 東京のど真ん中に植えられた約2700種もの熱帯・亜熱帯の植物たちに思いを馳せる。
●ブルックナーの交響曲第2番というと、かつてムーティ指揮ウィーン・フィルの来日公演で聴いて、「こんなにすばらしい曲があったのか!」と驚いたのだが、たぶん、そちらとは版が違っていて、初稿。第2楽章がスケルツォで第3楽章が緩徐楽章になっている。初稿だからなのかな、できあがったブルックナーと粗削りのブルックナーが渾然一体となっていて、どこか「推敲前」みたいな印象を受ける。ルイージとN響の演奏はしなやかな流れを持った歌うブルックナー。終楽章は熱い。コーダの妖しいダサカッコよさは尋常ではない。ここを聴くと、オジサンたちがスキップしながら輪になって踊ってる光景を連想するのはワタシだけなのか。