January 13, 2023

アーティゾン美術館 パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂

アーティゾン美術館の「パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂」
●アーティゾン美術館の「パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂」展へ(~2/5)。歌劇場が美術展の対象になり得るというのもすごい話だが、それが余裕で可能になってしまうのがパリ・オペラ座。仕事上、これは見ておかねばまずいという義務感もあって足を運んだのだが、想像以上に充実した展示ですっかり魅了されてしまった。作品数は約250点でかなりのボリューム。オペラ座を題材にした絵画といった間接的な作品もあるにはあるが、多くは劇場そのものとダイレクトに結びついた作品、たとえば舞台デザインや衣装デザイン、ダンサーや作曲家の肖像、ポスター、劇場の天井画の習作等々であって、完全に音楽ファン、バレエ・ファンのための展示になっている。自筆譜も何点か展示されている。ラモーの「遍歴騎士」やロッシーニの「ウィリアム・テル」など。
マネの「オペラ座の仮装舞踏会」
●大半の展示物が撮影不可だったので、写真でその迫力を伝えることはできないのが惜しい。上はマネの「オペラ座の仮装舞踏会」。アーティゾン美術館の所蔵作品なので撮影できる。
●ラモーやリュリが活躍したバロック・オペラの時代、栄華を極めたグランド・オペラの時代、ディアギレフのバレエ・リュスの時代など、それぞれにいろんな作品がこの劇場から生み出されているわけだが、こうして長い歴史を一望する展示を見ていると、かのオペラ座であっても多くの作品は歴史の中で埋もれてゆくのだなという儚さを感じる。大規模だっただけにグランド・オペラの時代は特にそう(といっても、今後マイアベーア・ブームがやってこないとは限らないが)。あと印象的だったのはダンサーたちに群がるブルジョワの紳士たちの姿かな。ある種の「課金システム」の存在を感じさせて、生々しい。