July 4, 2023

調布国際音楽祭 フェスティバル・オーケストラのベートーヴェン「第九」

●2日は調布国際音楽祭へ。グリーンホール前のウェルカムコンサートをしばらく聴いてから(あまりに暑くて短時間しか聴けなかったのが残念)、グリーンホール大ホールで鈴木雅明指揮フェスティバル・オーケストラ&合唱団の公演。バッハの管弦楽組曲第2番とベートーヴェン「第九」が演奏された。オーケストラはトップレベルの奏者たちとオーディションで選ばれた若い奏者たちで編成される。コンサートマスターに白井圭、ヴァイオリンに岡本誠司、会田莉凡、フルートに上野星矢、オーボエに古部賢一(荒木奏美から変更)、クラリネットにディルク・アルトマン(南西ドイツ放送交響楽団首席奏者)、トロンボーンに清水真弓(同前)ら、そうそうたるメンバー。この豪華メンバーと若手たちが4日間のリハーサルを積み上げて、音楽祭のフィナーレを飾った。合唱団もバッハ・コレギウム・ジャパンのメンバーと公募団員が共演。
●バッハの管弦楽組曲第2番は上野星矢が軽快なソロ。「第九」は冒頭から張りつめた緊張感と熱気が渦巻いていた。マエストロが鼓舞するよりも先んじて火が付くかのよう。毎年年末になると各楽団のきわめて練度の高い「第九」にくりかえし接しているわけだが、それらとは一線を画した予定調和に留まらないスリリングさがあって、作品本来の規格外の巨大さを再認識させる。合唱団は冒頭から舞台上に乗っていたが、独唱陣の姿は見えない。第4楽章が始まってもまだだれも出てこず、いよいよという場面になって舞台上手から加耒徹(バス)がさっそうと飛び出してきて、客席に向かって語りかけるように歌い出す。このびっくりスタイルはなんども経験しているのだが、それでもまたびっくりしてしまった。まるでオペラ。続いて、澤江衣里(ソプラノ)、清水華澄(アルト)、宮里直樹(テノール)も登場。怒涛の展開で、第4楽章があっという間に終わってしまった感。名手たちと若者たちのエネルギーがひとつになった「第九」だった。
●調布といえば、調布音楽祭、味スタ、神代植物公園、かな。