September 26, 2003

「ゲームのルール」[2]

●世界一有名なサッカーの審判コッリーナさんが書いた「ゲームのルール」を読んだ。前にも書いたように、ワタシは目の前を通り過ぎるサッカー・ボールを蹴ってはいけないなどという理不尽には耐えられない人種なので、完璧に審判なんかには縁がない。でもやっぱりこの本はおもしろかったっすよ。あ、これ、サッカーのルールを書いた本じゃないから。コッリーナさんのエッセイっていうか、まあイタリア的な香りのする自慢話だよね。「イタリア人音楽家のインタヴューと、イタリア人サッカー選手のインタヴューはそっくりだ」っていう説をワタシは唱えてるんだけど、それはまた別の話。
●で、コッリーナさんはちゃんと審判業界の代弁者となって、「絶対に人間には不可能な、テレビカメラからしか見れないような角度の映像をリプレイして、審判のミスを指摘しようとすることになんの意味があるのか」などと言ってくれてて、そりゃそうだよなと納得させられたりする。相互理解のためにも、日本の審判ももうちょっと積極的にメディアに発言してもいいのかも。
●あと、「審判はみんな経営コンサルタントか保険のセールスマンだ」みたいなことを言ってて、これもおもしろかった。つまり時間の自由になる本業を持ってないとやってられんよってこと(コッリーナさんは前者だ)。最近、日本も含めていろんな国で審判のプロ化が叫ばれてるんだけど、現状では本場欧州でもアマチュアなんすよね。これはもっともな話で、選手のような経済的成功のチャンスがないのに、どんなにがんばっても40代で定年を迎えて(しかもトップレベルでの活躍は30代半ばからだろう)、さらに選手と違って一試合の致命的なミスで仕事を奪われかねないんだから、そりゃプロ化は簡単じゃない。
●審判って大変だよね。大体、ひとさまを「審判する」んですよ。責任ばかり重くて、成果は(少なくともワタシのようなニンゲンには)わかりにくい。移動が多くて、生活上、犠牲を捧げなきゃいけないことも多い。そして、選手からも監督からもサポーターからもジャーナリストからも、誰からも非難される。感謝よりも圧倒的に非難されることが多い仕事だなんて、誰がするんですか。だが、なによりも恐ろしいことに、目の前に転がってるボールを蹴れないんすよ(←結局はそこかよっ!) (09/26)

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●世界一有名なサッカーの審判、コッリーナさんがNHK出版から本を出しているではないですか→「ゲームのルール」。ビミョー。おもしろいかもしれないし、つまんないかもしれん。審判って驚異的な存在だと思わないっすか。審判いなきゃ試合は成り立たないので感謝はするけ... 続きを読む

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