Disc: 2005年1月アーカイブ

January 28, 2005

今さらdisc of the year 2004 その2 アーノンクールのブルックナー

●忘れてなくて続くんである、今さらdisc of the year 2004 その2。
アーノンクール ブルックナー●アーノンクールがウィーン・フィルを指揮したブルックナーの交響曲第5番、これは1枚目に演奏を、2枚目にリハーサル風景を収録したディスクで、とても聴き応えがあった。立派な演奏なんである。ブルックナーの交響曲の中で一番好きな曲と言われても第5番を選ばないが、一番飽きの来ない曲といわれたらたぶん第5番を挙げる。ちょっとヘンな曲だし。自己模倣的な一連の交響曲にあって異彩を放っている。で、堂々たる名演を聴くことができて、充足した。
●が、これを聴いたあとに、「舞台裏の神々」(ルーペルト・シェトレ著/音楽之友社)を読んで驚いた。この本は楽団員から見た指揮者の楽屋話、エピソード集といった楽しい本なのだが、これにアーノンクールが「音楽の冗談」と題した比較的長めの序文を寄せている。おもしろかったのはここ。

 ハンス・プフィツナーは別として、ユーモアのない作曲家はいないのではないか。ベートーヴェンの風刺やブルックナーのブラック・ユーモアは、彼らが謹厳実直な生き方ばかりをしていたわけではないことを語っている。ユーモアの感覚のないすぐれた音楽などおそらく存在しないだろう。

●ブルックナーのブラック・ユーモアと来たもんだ。単にユーモアというならまだしも、ブラック・ユーモアって言われてピンと来るだろうか。これがバルトークやショスタコーヴィチならともかく、ブルックナーである。ワタシゃなにを聴いていたのだ。ブルックナーこそ謹厳実直でひたすらシリアスであるなんてのは、先入観が生んだ刷りこみなのかもしれない……とちょっぴり思った。

January 21, 2005

今さらmy disc of the year 2004 その1:オンド・マルトノ

●秒速1秒の超高速で2004年が彼方へと過ぎ去ってしまい、年末年始恒例のmy disc of the year、つまりこの一年自分のお気に入りディスク紹介のページを今回は書き落としている。が、このまま忘れる気もなくて、恐ろしいズレっぷりで、ポツポツとここで書き始めて、いくつかまとまったら別立てのページにしよう。
オンド・マルトノ音頭だ~♪(←ウソ)●で、まずはオンド・マルトノである。オンド・マルトノとは、メシアンの「トゥーランガリラ交響曲」でおなじみの歴史的な電子楽器なわけだが、実際のところこの楽器をソロで聴く機会はめったにない。で、トマ・ブロシュが(ワタシゃ国内盤を見るまで、頭の中でこの人の名をトーマス・ブロッホと発音してたよ)、作ってくれました、「オンド・マルトノのための作品集」(Naxos)。ブロシュ本人の作品のほか、なじみのない名前が並んでいるのだが、その玉石混淆っぷりがすばらしい。「は?」と思うようなトンデモテイストな曲も平気で入っている。でもそんな中で、マルティヌーの「幻想曲」は他を圧倒して輝いていて、オンド・マルトノとオーボエ、ピアノ、弦楽四重奏という不思議な編成で、ワタシらを忘我の境地へと誘ってくれるのであった、ビバ、マルティヌー、ボヘミアの巨人よ。

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