Useless: 2005年12月アーカイブ

December 22, 2005

クリスマスにいちばん見たいゾンビ映画はこれ! 「ショーン・オブ・ザ・デッド」

ショーン・オブ・ザ・デッド●ワタシはホラー映画が苦手である。特にゾンビもの。これは怖い。このジャンルの嚆矢となったジョージ・A・ロメロ作品以来、ゾンビ映画には数多くのトリビュート作品やリメイク作品が生み出されてきた。なかにはザック・スナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」のように、ハリウッド化されて文明批評の精神を失ったゾンビなどと揶揄される作品もあるようだが、ワタシなどはそれすら十分ショッキングで、怖すぎて正視できない。他にもダニー・ボイルの「28日後……」とか、「バイオハザード」なんかも「ゾンビ」の子どもたちなんだろうけど、どいつもこいつもじっと画面を見てられないのだ、恐怖と緊張に耐えられなくて。
●しかし! そんな怖がりなワタシにぴったりのゾンビ映画についに出会うことができた。朗報である。英国発、エドガー・ライト監督の「ショーン・オブ・ザ・デッド」。これはきわめてイギリス的なゾンビ映画である。たとえば主人公とゾンビの遭遇はいかに描かれるか。さっきまで平和だった街で、ゾンビが道の真ん中を歩いている。主人公ショーンはそれをちらと一瞥して、こう解する。あー、また真っ昼間から飲んだくれの失業者が歩いているよ。ゾンビはロンドンの風景に溶け込んでしまっているのだ。
●ショーンは電器店の店員。男友達と同居して、日々かったるく過ごす冴えないヤツである。出かけるとなると行き先は決まって行きつけのパブ。パブで同じくらい冴えない男たちと飲んでしゃべる。そんなショーンにも長年付き合ってるガール・フレンドがいる。彼女とのデートの行き先は? そう、やっぱりパブだ。とことん気の利かないオトコなのだ。彼女はうんざり。でも街にゾンビがあらわれた。ここでダメ男ははじめて自分の力で人生を切り開くことに目覚める。ゾンビと戦い、ガールフレンドを守り、ついでに彼女を両親に紹介したり、親子の関係を見つめなおしたりしながら、必死で一人前の男への階梯を昇る。これはゾンビ映画でありながら、なんと大人の男になるという成長の物語でもあるのだ。クリスマス直前12月23日に超廉価DVDとして発売される意味は明白である。家族と、あるいは恋人と、ほのぼの気分で鑑賞できるちょっぴりブラックなクリスマスにぴったりのゾンビ映画、それが「ショーン・オブ・ザ・デッド」なのだ。

December 15, 2005

ヲタらしく脱ヲタせよ

脱オタクファッションガイド●そうかっ、この手があったのか!→メイド美容室@秋葉原。ヲタとして生きる者も、その魂はヲタであってよしとするが、外見は脱ヲタが必要、でもなー、勇気がなくて美容院いけません、髪なんかめんどくさいし千円カットで済ましちゃう、みたいな明確なターゲットがありあり、そしてこれはヤヴァいくらいヒットする予感。オサレってなに? 全然どうしたらいいのわからんぞ!って方には「脱オタクファッションガイド」なる書もあり、クラヲタ界でも話題沸騰(ウソ)。
●これもワタシの魂を揺さぶるニュースであったのだが、「コーヒー入りコーラ発売へ」。グレートあっぱれ。おそらく米国的にはダイエットという文脈に組み込まれるべきニュースだと思うが、こちらではカルトドリンク界待望の大型新人登場という話であり、あらゆるメーカーが失敗し続けている炭酸紅茶の夢を超えて、一気に炭酸コーヒーコーラという前人未到の領域に向かって力強くパノラマジャンプ!

December 14, 2005

ボハルデ伝説、ニートとしてのフットボール・プレーヤー

●一昨日の「知に働けば蔵が建つ」(内田樹著)のエントリーで、「仕事とは本質的にオーバーアチーブであること」「仕事とは他者からの社会的承認を得るためのものであること」といった命題をご紹介した。一方ニートについて、同書では「仕事を社会的承認を得るためのものとみなさず、賃金を得るためのものと割り切り、ならば親と同居することで経済的安定を得られるのであれば仕事は不要であるという合理的判断を下した、資本主義を追い越した存在である」とみなした。これを読んで、ワタシはある世界的サッカー選手のニュースを思い出した。
●先日現役を引退した元オランダ代表のウィンストン・ボハルデ。ん、誰それ、そんなヤツいたっけ、と思う方もいらっしゃるだろうが、彼はオランダ代表として20試合に出場した実績を持ち、アヤックス、ACミラン、バルセロナといったビッグクラブを渡り歩き、2000年にチェルシーに移籍した。ここからがスゴい。
●ボハルデは週給5万9千ユーロ(約850万円)を受け取っていたが、チェルシーでの4年間、彼はたった12試合にしか出場できなかった。1年平均で3試合。週給850万円だと年俸4億4千万円くらい? 普通はこうはならない。長期契約を結んだ選手が監督の構想外となって、出場機会がまったくなくなった場合、選手は移籍を求めるし、クラブも当然ムダに雇うよりはヨソのクラブに売却しようとする。契約が長く残っていたり給与が高額すぎると買い手がつきにくくなるので(先方の支払額が大きくなるから)、選手とクラブが合意の上で現契約を破棄して、より移籍しやすい条件の新契約を結ぶこともあるようだ。
●で、実際チェルシーはボハルデが移籍しやすくなるように、契約の変更を提案したのだが、ボハルデはこれを断ったという。つまり、出場機会なんかなくても、契約を盾に毎週850万円を受け取ったほうがいいというわけである。こうしてほとんどトップチームに帯同しないまま、元オランダ代表は4年間チェルシーに留まり(どんな気分で日々を過ごしてたんだろう)、そして契約が切れた35歳、引退を発表した。すなわち、ボハルデは仕事に社会的承認を求めなかった。偉大な才能の持ち主が報酬のみを仕事の対価とみなした場合、こんな生き方だって可能なんである。超ヤンリタに成功した新時代のフットボーラーとしてこれを賞賛すべきなのか、天賦の才をムダにした人物として嘲笑すべきなのか。引退時に「サッカーに対する情熱が全くなくなってしまったんだ」とコメントしたそうだが、そりゃまあそうだろう。年平均で3試合はワタシより少ないよ(笑)。

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