February 15, 2002

いびりオヤジの失望

●たまにランチを食べに行くスパゲティ屋は、味も値段もそこそこ、しかし目立った特徴がひとつある。シェフのオヤジと若いバイト女性一名の小さな店だが、いつ行っても必ずそのオヤジがバイトを叱っているのだ。そして行くたびにバイトの顔が違っている。「なにやってるんだよ、バカ。そんなふうにやるから失敗するんだ、おまえはバカなんだから、慎重にやれ」「そこに置いちゃダメだろう。ちょっと考えりゃわかるだろう、このバカが、ったくよぉ」。
●いつでもこんな調子。当然、バイトの女の子は萎縮している(客まで萎縮する→店は空いている)。こんな具合なので、アルバイトはすぐに辞めてしまうのだろうが、それにしても次から次へと常に新しいバイトがやってくるのにも感心する。どういうツテで募っているのかわからないが、絶対このオヤジは女の子を叱るのを楽しんでいるんだと思う。叱責され相手が緊張し、それが原因でまた失敗を繰り返してしまう、そういう光景を見てサディスティックな欲望を満足させているんじゃないだろうか。
●ほとんど例外なくどのバイトの子も萎縮しているのだが、ある日、これまでとまったく違うタイプの女性を見かけた。なにをいわれても、元気よく「ハイ!」と返事をし、叱られてもまったくこたえた様子がなくニコニコしている。お、この子はこのいびりオヤジにも耐えられそうだ。ついにこの店で働けるアルバイトが見つかったか!
●半月ほどして、この店に入ってみると、またいつものように見たことのないバイトがやってきて、やっぱり怒られながら働いていた。思うに、あの元気な女の子は辞めさせられたのではないか。あれではオヤジのほうがいじめる楽しみを見出せなくて、つまらなかったのかもしれない。(02/15)

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