August 28, 2003

「権力とは……」

●昨日、ルワンダの大統領選の結果について、再び小さな記事が載っていた。一昨日ご紹介した「ジェノサイドの丘~ルワンダ虐殺の隠された真実」にある、著者フィリップ・ゴーレイヴィッチの名言を思い出した。

「権力とは自分の物語を他者の現実に押し付ける能力である」

●うまいこと言うよねえ。国家レベルから小学生の仲良しグループにまで通用する、普遍的な真実って気がする。もちろんここでは「物語」と「現実」が対比されている。ワタシはガキの頃、「物語」っていう言葉がちょっと術語っぽく使われる場面でうまく意味を理解できなかった。これは自分の「物語」と「現実」、自分の「物語」と他人の「物語」の関係を、きちんと相対化して捉えられなかったせいだと思う。
●何度か紹介しているけど、クリストファー・ノーラン監督の映画がそのあたりをエンタテインメントの枠の中でテーマにしていておもしろい。映画「メメント」を観たときに「そうだよねえ、人が必要なのは記憶/事実ではなくて、物語なんだよねえ」と頷ける人には、ゴーレイヴィッチの言葉にある、権力(が濫用されたとき)の凶暴性に震えることができると思う。だって、他者の物語を押し付けられるってことは、自分の物語を奪われるってことなんすよ。(08/28)

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