November 6, 2003

totoの失敗、愚か者の成功

●toto(サッカーくじ)の売上から配分される来年度のスポーツ団体などへの助成金が、売上額の減少で事実上ゼロになるそうである。やれやれ。
●totoを発売する日本スポーツ振興センターは、「賭け事は悪いことなので止めましょう」という倫理的な反対派の声に配慮して、様々な工夫を凝らしてきた。まず、購入場所を少なく抑えた。東京のちょっとした駅のそばですら売っていない。やっとローソンでも購入できるようになったが、事前に身分証明が必要で、なおかつ「登録キャッシュカードのデビット機能を使うtotoデビット会員は買えるが、現金払いのtoto会員は買えない」など複雑怪奇なルールが定められた。しかもコンビニでは端末からしか買えず、マークシートを持参しても買えない。さらに、「マルチ」は買えても「シングル」は買えないなど、徹底してわかりにくいルールを定めた。
●インターネットにはtoto公式サイトがあるが、ここでは「投票予約」はできるが「購入」はできない。ここでその予約をしてから、売り場に行くと買える。しかし売り場でも何度もキャッシュカードの暗証番号を打ち込んだり、プリントアウトを待ったりと、なかなか時間がかかって、みんなストレスに負けそうになる。公式サイトのFAQは見もので、「なぜこのサイトやtotoの規則が不親切か」について延々と言い訳を並べ立てている。
●そして、極めつけの「配慮」。当選払戻金のパーセンテージを賭け事とは呼べないほど低く設定し、胴元の取り分をうんと大きくした。悪徳賭場でもここまでの寺銭は取れまい。「賭け事は悪いことなので止めましょう」、この反対派のためにこれだけの工夫をして、なるべく購入者が楽しい気持ちを味わえないようにしたわけである。新しいルールが一つ決まるたびに、購入者は新しい失望を一つ味わう。
●そんなわけで、売上額が減った結果、スポーツ団体への助成金がゼロになる。市民が気軽に芝のグラウンドでボールを蹴られるようになる日はまだまだ遠い。ジャック・ティベールの名言をここにもう一度引用しよう。「失敗とは、馬鹿者の成功である」。(11/06)

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