September 8, 2004

ぼくは怖くない(ガブリエーレ・サルヴァトーレス)

ぼくは怖くない●ガブリエーレ・サルヴァトーレス監督の「ぼくは怖くない」を観た。舞台はイタリア南部の小村。ほんとになんにもないような寂しくて素朴な村である。この村の少年を主人公にしたささやかな物語。素朴な村だから、人々の生き方も素朴でのんびりしていて、ああ、シンプルな生活っていいわあ、こういうところに自分探しの旅に出かけようかしらん……なーんて思ったら大まちがい。素朴な村で生きる大人は、いかにそこで生き抜くか、さまざまな困難や葛藤を抱えながら生きている。そういう大人の事情を知らない少年の無垢な目から、小さな世界を描いたのがこのイタリア映画。傑作だと思う。
●10歳の少年は遊び場の廃屋で奇妙な穴を発見する。その穴に何かがいる。化け物なのか、天使なのか。まるでファンタジーのように始まりながら、背景にはイタリアの南北問題までうかがえる筋立て。アラブ系の血をうかがわせる顔立ちの村の男たちとミラノの人たちの対比は明白であるが、しかし一方でこの小村にふりそそがれる太陽の明るさ、見渡す限りに続く黄金色の麦畑の広大さはどうだろう。単に村が貧しいだけの土地だとしたらこの話はそれほど印象に残らなかったが、村には太陽がある。だから「告発の姿勢」を強調した小うるさい映画にならずに済んだ。進退きわまって悪事に手を染めるダメ親父がかなりいい感じ。

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ネタバレ映画館 - ぼくは怖くない (2004年9月14日 10:25)

 たった5軒の家しかない小さな村に黄金色に輝く広大な麦畑。この視覚効果だけでも充分目の保養になった。子供たちが遊ぶ中でも、ミケーレは正義感が強く、小さな村であってもボス的存在の男の子がいて、彼にも立ち向かうほど勇気がある少年。しかし、決して大人になるた... 続きを読む

『ぼくは怖くない』【IONONHOPAURA】2003年・イタリア監督:ガブリエレ・サルヴァトレス原作:ニコロ・アンマニーティ『ぼくは怖くない』脚本:ニコロ・アンマニーティ/フランチェスカ・マルチャーノ 撮影:イタロ・ペットリッチョーネ 音楽:エツィオ・ボッソ出演:ジ.... 続きを読む

監督:ガブリエーレ・サルヴァトーレス 主演:ジュゼッペ・クリスティアーノ 今日紹介するのは、同名の小説を原作としたイタリア映画「ぼくは怖くない IO NON HO PAURA」です。 イタリアの映画はほとんど観たことないんですが、これは面白かったです。 はじめは少年... 続きを読む

[IO NON HO PAURA] 痛みを伴う映画。 でもそれについては書かない 続きを読む

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