June 13, 2005

君はもう「クラシカル・クロスオーバー・ガイド」を見たか

クラシカル・クロスオーバー・ガイド●これはちょっと驚いた→「クラシカル・クロスオーバー・ガイド」(洋泉社MOOK)。いきなりヘンなところに目が行ってしまうが、ほとんどカラーページで定価1050円っすよ。いやー、出版事情に詳しい方ならわかっていただけると思うが、これはスゴい。部数も絶対きっと確実にスゴい。
●このムックで取り上げられているのは、今のクラシック音楽業界で売れ筋のアーティストたち。「売れる」っていうのは「まあ売れるかも」とか「そこそこ売れる」とかじゃなくて、本当に「売れる」っていう意味。だからラトルとかゲルギエフですらない。たとえば巻頭5大アーティストを並べると、イル・ディーヴォ(イケメン4人のボーカル・グループ)、マキシム(は知ってるよね? ピアニストです)、ヘイリー(少女ボーカルの人)、サラ・ブライトマン、そしてヨーヨー・マ。
●正直言ってこの4人のうち、ワタシが聴くのはかろうじてヨーヨー・マだけだが、しかしこの選択は圧倒的に正しい。他にもジョシュ・グローバン、ラッセル・ワトソン、ボチェッリとかが挙がっている。仮にレコード産業の中での「クラシック音楽」の中心地はここらあたりにあるとする。だとして何か問題でも? 聴衆の「選択」という現実に目を背け、レコード会社の戦略を非難するのは虚しい。カラヤンだろうがバーンスタインだろうが、それどころかフルトヴェングラーだって、レコードにはそれにふさわしい商品性が演出されていたからたくさん売れたはずで、現代では同じことがイル・ディーヴォやマキシムに起きているにすぎないのかもしれない。
●このムックを眺めていると、どのアーティストもどのページも美しくて、欲しいものがびっしり詰まったカタログを眺めるような楽しい気分になれる。どうしてイル・ディーヴォやマキシムで美麗ムック本が成立して、ラトルやゲルギエフでは成立しないのかっていうのは、一度マジメに考えたほうがいいのかもしれない(って誰が?)。ていうかラトルやゲルギエフですら、クラヲタ世界の中心地からは遠く、でもやっぱりこのムックみたいな楽しさはみんな欲しいはずなんである。この楽しさ美しさはたくさん売れなきゃ実現しない。趣味にこだわって作ったはいいが商業的には討ち死にっていうんじゃ困るんである(だれも後に続けなくなるから)。一般オタク世界には「電車男」が出てくる余地があるのに、クラヲタ世界にはなんかないのか。イケメン4人組イル・ディーヴォとやらが尻尾を巻いて逃げ出すくらいのスマッシュヒットを記録するようなクラヲタ向け商品が。

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