April 5, 2006

ムーア人、打つべし

●新年度。ビジネス街はやたらと人で混雑している気がする。都心の人口は一時的に増えている。5月くらいになると元に戻る。減った人たちはどこへ?
●東京オペラの森「オテロ」、結局後半はタイトル・ロールのクリフトン・フォービスが復帰していたようである。ゲネプロしか見てないからナンだが、クリスティーネ・ミーリッツの演出はウケたんじゃないだろか。オテロはボクサーガウンに身を包み、四角いリングで拳を掲げる格闘家と見立てられていた。スパーリングのまねごとまでやってみせる。戦時には英雄として讃えられる異邦人、しかし平時には忌むべき暴力的存在。この存在が現代のどこにいるかといえば、ラスベガスあたりのリングにいるということなんだろう。シーザースパレスやマンダレイベイで華やかに開催される世界タイトルマッチでは、客は熱狂的に有色の闘士たちの凶暴性を讃えている。が、リングを降りた暴君をリーダーとして迎えようとする者はいない。オテロにはオスカー・デラホーヤみたいにリングの外で敏腕ビジネスマンとして立ち回る器用さはない。ミーリッツ版オテロの顔は褐色ではなく真っ黒に塗られていた。マイク・タイソンを思い起こす。
●タイソンといえば、しばらく前にWOWOWの中継で誰か(名前も思い出せない)と対戦して、無残にマットに沈められていたのを見た。そりゃまあ年齢的にもずいぶんな歳なんだが、それにしてもあのマイク・タイソンがこんなにも弱いなんて。デビュー直後は全身から獰猛な獣みたいなオーラが出てて、ブラウン管越しで見てても恐怖を感じたくらいだったのに。マイク・タイソンにとって、名トレーナーのカス・ダマトがデズデモナ、プロモーターのドン・キングがヤーゴ……だったらおもしろいかなと思ったけど、んなこたぁないか。

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