July 18, 2006

歓びを歌にのせて(ケイ・ポラック監督)

●プロムス開催中 → BBC - Proms - Listen Online。時差的に生中継ムリって方は Listen again to Proms for 7 days after broadcast でアーカイヴを聴ける。あー、パソコンにこんなしょぼいスピーカーつけてていいんだろうか。
歓びを歌にのせて●映画館で見損ねたので、DVDでスウェーデン映画「歓びを歌にのせて」(ケイ・ポラック監督)。主人公は世界的な指揮者ダニエル。8年先まで公演予定が埋まっているという多忙な生活を送っていたが、ある日体調を崩して倒れる。スケジュール帳が真っ白になったダニエルは生まれ故郷の小村に一人赴く。村人に心を開こうとしないダニエルだったが、地元教会の聖歌隊の指揮を頼まれる。音楽を通じて次第に打ち解けたダニエルは、再び音楽のすばらしさに目覚め、生きる喜びを獲得する……という喪失と再生の物語。
●こう書くと「やれやれ、都会の忙しさに疲れた人が、素朴な田舎の人々の暖かさに出会っちゃう自分探し系の話でしょ。田舎最高、スローライフとかロハスとか言い出しそうな」と思われるかもしれないが、そうではない。田舎が素朴だなんて一言もいわないどころか、閉塞した村社会で崖っぷちの人生を送る人々の醜さを、容赦なく率直に描いている。都会の人間も怖いが、田舎はもっと怖い。怖いから、コミュニティにはハーモニーが必要なんである。都会人の都合のいい田舎幻想とはまったく無関係に、人が自分の人生を自ら選択して生きてゆくこと、愛することのすばらしさを力強く礼賛する。王道。

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