●昔さんざん中古CDショップにはお世話になってて、今でもそのような場所では本能的反射的にワクワクしてしまうんだけど、「中古CDショップ」ってものは外見上十年一日がごとく変わっていないように見えて、中身というか意味合いは恐ろしく変化したと思う。前は「だれかが一度買ったけど気に入らなかったか飽きたかしたCDが売られている場所」という認識だった。でも、今は違う。
●中古CDをPCに突っ込み、リッピングして1bitたがわぬ同一のデータをハードディスクに保存し、さらにそれを簡便に扱うためにmp3とかWMAとかに変換してみると、はっと気が付く、このデータはまさにiTunes等々の音楽配信サイトから購入したデータに等しいではないか(しかもDRMも施されていない行儀の良いデータだ)。「中古」を買ったと思ったら、いつの間にか「新品」ができあがってしまうというマジック! デジタルってすばらしい。放送とか通信とかに先駆けて(CDという形で)いち早くデジタル化を英断した80年代前半の音楽界は、こういう近未来を予期してなかっただろうけど。
●だから今、中古CDショップに行くと、そこは「音楽の原データ置き場」に見える。ワタシはもうそんなことはメンドくさくて絶対やらないと断言できるけど、もし今20代前半くらいの若者だったら(つまり時間と物欲と好奇心は有り余るほどあるけど、それ以外はなんにもない状態なら)、中古CDショップで購入したCDを次々とリッピングして(必要な場合は解説書やジャケットもスキャンして)、その後、同じCDを中古品としてショップに売るだろう。中古CDの買値と売値の差額を、iTunes等でデータを購入したときの価格との比較対象とみなしたかもしれない。容赦も妥協も愛もない即物的な方法で、もっとも効率よく聴きたい音楽を大量に聴く方法を探し出したにちがいない。
●でもまあ、今はそこまで飢えてないし、欲望より節度が大切だと思っちゃうから、想像しただけでお腹いっぱいで、そんなことよりバーゲンコーナーに奇跡の出会いがあるんじゃないかとか、フツーにヲタっぽいロマンを求めてしまうだけなんであるが。
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中古CDはあっても中古データはない
メダルゲット!
●やりました、ついに念願のメダルをゲット! 天空城のタンスから見つけました、小さなメダル、さっそくメダル王の城で「メタルキングの盾」と交換デス! 守備力50は最強、しかもラリホー、メダパニ、ザキ耐性あり♪
●……とか、4年に1回くらい書いてる気がする。
●えーと、2008から1995を引くと13か。本日、当サイトが13歳になりました。ああ、13年もこんなことをやってるなんて。そろそろ書くことがなくならないだろうか。というかネタが循環しているかもしれん。書くことない日は、10年位前の当欄からコピペして凌いでます。ウソです。祝13周年。今後ともよろしく。
●オンデマンドで配信中のBBCのProms、各公演一週間限定の公開なので、うっかりすると聞きそびれてしまう。たぶんもう今日くらいで消えると思うので、慌ててドゥダメル指揮エーテボリ交響楽団(Gothenburgでエーテボリって訳すんですよ!)の公演を聴く。去年はシモン・ボリバル・ユース・オーケストラを率いて大盛り上がりだったっけ。今年はラヴェルの「ラ・ヴァルス」、ヒルボリのクラリネット協奏曲「孔雀の物語」(英国初演)、ベルリオーズの幻想交響曲。「幻想」の第2楽章が終わったところで、気の早い人がもう「ウヒャーオ!!」って一人で奇声をあげて盛り上がってたけど、気持ちはよくわかる。ヤンチャ度高くて、終楽章の大爆発の後はブラボーの嵐。いいなあ。アンコールにステンハマルのカンタータ「歌」の「間奏曲」をしっとり聴かせて、最後はお楽しみ、「ティコティコ」を演奏し、観客は立ち上がって踊り出す(というのは想像で、音しか聴いてない。でも何か「オオッ」って客席がどよめいて、みんな手拍子を打ってた)。スゴいサービス精神。千秋真一になくてドゥダメルにあるのはこのノリだな(笑)。もうお客は「ウヒャーオ!!」って叫び放題、ワタシもPCの前で小声で「ウヒャーオ」。
夜更かし「ワルキューレ」
●ああ、いかん。昨夜も深夜のバイロイト音楽祭生中継につきあってしまった。ティーレマンの「ワルキューレ」。第1幕だけのつもりで聴きはじめたが、あまりにすばらしくて延長。第3幕の頭まで粘ったところでバタンキュー(死語)。幕間に長い休憩が入るから、この時間帯だとどうしても最後まで聴いてられない。一昨夜の「ラインの黄金」はヴァルハラ城入城に至らなかったが、昨夜の「ワルキューレ」ではブリュンヒルデがヴォータンに勘当されずに済んだ。このまま全四夜、前半だけ聴いていると、いつの間にかハッピーエンドな「指環」が完結するかも! なわけないか。
●よく「写実的な演出」って言い方をするけど、「ニーベルングの指環」の場合はもともとが神話世界だから、そういう場合は何て言えばいいんだろ。「ト書きに忠実」っていうレベルじゃなくて、真に神話的な、どう見ても本物の神や巨人や侏儒や大蛇が登場する演出というのはたぶん存在しないと思うのだが、音楽だけを聴いているときはワタシはそういうCGをバリバリと使ったような映像を空想している。特に「ワルキューレ」はそう。
●ワタシの脳内舞台では、ワルキューレとは重力を感じさせない存在だ。ワルキューレたちはペガサスに乗って空を飛ぶ。飛ばないワルキューレはワルキューレじゃない。ブリュンヒルデが登場するときは、基本的に空から飛んでくるので、(想像上の)観客の視点は空中のブリュンヒルデにある。戦場で戦死した英雄を回収すべく地表へと降下するとき、視線は下から見上げるのではなく、上からだんだんと大きくなる地表を見下ろすことになる。横にはほかのワルキューレたちも飛んでいる。彼女たちは重力から自由だ。
●さらにワルキューレたちは痩せていて、下肢が長いことになっている。ワルキューレたちはみな八頭身、いや九頭身くらいの長身痩躯で、長槍を装備している。下肢がやたらと長くウェストは細い。すなわち、「新世紀エヴァンゲリオン」における汎用人型決戦兵器、あるいは「DEATH NOTE」における死神(リュークとレム)のような体型をしている。ワルキューレが迎えるのは死者であり、彼女たちが持つ死のイメージは、エヴァや死神たちと重なる。
引き続き「バイロイト音楽祭2008」
●勢いで二日目、三日目も少し付き合う→バイロイト音楽祭ラジオ中継。
●二日目はカタリーナ・ワーグナー演出、セバスティアン・ヴァイクレ指揮の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。これ、新聞報道でもあったけど、バイロイト音楽祭のサイトで「チケット」を買うと生中継をビデオで見れるんすよね。しかし、どなたかご覧になった方はいるんでしょうか。49ユーロも払って、映像(DRM付き)をストリームで見てそれでおしまいっていうんだから、どんな太っ腹な方が購入するのか、かなり謎。音声だけなら無料で聴けるのに。新演出でもないし。
●テスト映像のページを見てみたら画面の解像度は512x288。音声は64kbps。音だけなら無料のBayern4のほうがいい。それでも映像があるとそれなりにPCなり回線なりのリソースを必要とするだろうから、よくわからないまま料金を払ってしまって、後から映像がカクカクするとか小さいとか怒ってる人がいるんじゃないかと心配。どれくらいの苦情があったのか(orなかったのか)、知りたい気もする。
●「マイスタージンガー」は前奏曲が終わって合唱につながるとことか、鳥肌ポイントに事欠かないけど、特に好きなのは第2幕の後半。ベックメッサーの歌をザックスが靴を作りながら、木槌かなにかを叩いて採点するじゃないっすか。で、この演出だと、どうやらこの部分でタイプライターをパチパチと打っているっぽい(音で聴く限りは。あっ、それを確かめたい人が49ユーロを払えばいいのかっ!)。でも機械式のタイプライターって、最後に実物を見かけたのはいつだろ。そろそろ何の音かわからない世代が確実にいると思う。
●2幕の楽しいドタバタがひとしきり済んだ後、夜警が出てきて歌う。これも大変すばらしいシーンだ。でも夜警の人は「もう夜11時ですよー、戸締り用心火の用心、おやすみなさい」(ウソ大意)みたいに歌う。ええっ、こっちは11時どころかもう日本時間午前2時とかそれくらいまで眠い目をこすって付き合ってるのに、そっちは11時で夜中なのかよっ!と意味不明に突っ込む。
●第3幕まで付き合うと朝になって日常生活が完全に破壊されてしまうので諦める。翌日のティーレマン指揮「ラインの黄金」も前半くらいまで聞いて、後はあっさり諦めた。毎年この調子で行くと、ワーグナーはどれも前半しか聴けないことになる。ヴァルターはいつになってもエーファと結ばれず、神々はいつまでもヴァルハラ城にたどり着けず、パルジファルは決して聖杯を掲げないというビューティフルドリーマー状態。いいんだろか。
ラン・ラン・アディダス
●「憧れのスター選手と同じシューズを履きたい」っていうのは、みんなが抱く男の子的な欲望なんだけど、スター・ピアニストと同じシューズを履きたくなるものなんだろうか。
Lang Lang's adidas
http://www.langlang.com/adidas
●もちろんadidasの三本線が入っている。そして、このシューズを履いてピアノを弾くラン・ランの姿が(笑)。しっかりとペダルをグリップしてくれるそのシューズはアディダス。
●これからはステージ上のピアニストの足元を注視したい。あ、この人、PUMAと契約してるんだ、とかわかるから。
バイロイト音楽祭2008開催中
●今年もバイロイト音楽祭が開幕。欧州各局の生中継をネットラジオで聴くことができる。日本時間だと金曜の23時にダニエレ・ガッティ指揮の「パルジファル」で開幕。これを律儀に生中継で最後まで付き合うと翌朝の5時くらいになってしまう。それはムリすぎなので、第1幕だけ一通り聴いて、あとは第2幕のおしまいをつまみ聞いて寝る。ワグネリアンじゃないけど、せっかくのお祭なので、遠巻きに眺めて参加するくらいの感じで付き合おうかと。各局中継予定は以下のサイトなどで。
operacast.com BAYREUTH 2008
http://www.operacast.com/bayreuth08.htm
●PC経由で聴いている以上、生中継だろうが録画中継だろうが現象的にはなにも違いがないはずなんだけど、こちらの高揚感はぜんぜん違う。「今まさにリアルタイムで演奏されている音楽がネットワークを経由してウチのスピーカーで鳴っている」というそれだけで、とてつもなく感慨深い。初めてインターネットというものに触れて、このサイトを作った1995年時点でこんな未来は想像もできなかった。ネットが世間に浸透し買い物やらコミュニケーションが便利になるっていうのは予測可能な範囲だけど、こんなにも音楽ファンに都合のいい現実がやってくるなんて。NHK-FMとか身近な放送局は専用の機械(ラジオ)がないと聴けないのに、ドイツのBayern4とかハンガリーのBartokRadioとかはPCとネットがあれば容易にアクセスできるという不思議。
●で、続いて土曜の深夜はペーター・シュナイダー指揮の「トリスタンとイゾルデ」。今まさに放送中(ついさっきトリスタンとイゾルデがヤバいクスリを!)。これもおしまいまでは起きてられないので、途中まで。Bayern 4は128Kbps MP3とビットレートは十分高くて、ヘッドフォンで聴いても楽しめる。
●余談。ウチはPCとオーディオをつなげるのにRolandのUA-1EXっていう安価なUSBオーディオ・インターフェイスを使用してるんすよ。で、ネットラジオを録音しようと思ったら、なぜかUA-1EXが使えなくて、PC内蔵のオーディオデバイスじゃないとうまくいかないのがどうしてかなあと思ってた。そうしたらちゃんとメーカーサイトのサポートに説明があるではないか(→ここ)。裏面の録音ソース切り替えスイッチを DIGITAL に入れると、PC内の再生音がループバックする、と(サンプリング周波数は44.1kHzでOK)。これ、デフォルトでANALOGのほうに入っていたのかあ。見れば気がつきそうなものだけど、こんなディップスイッチみたいなのがあることをすっかり忘れていた。誰かの役に立つかもしれないので、書いておこう。