July 17, 2008

「股旅フットボール」(宇都宮徹壱著)

●昨日のネコ名曲の話題は一日おいて明日続けるとして。
股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影●遅まきながら、これは必読、『股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影』(宇都宮徹壱著/東邦出版)。えっと、構えた書名なんだけど、日本のサッカーの4部リーグ(地域リーグ)を取材した本なんである。J1、J2があって、最近ワタシが通っている横河武蔵野FCが所属するJFLがあって、さらにその下、4部リーグのクラブ事情を伝えてくれるのだ。画期的。このテーマでおもしろくならないわけがない。
●どんなクラブが出てくるかというと、ファジアーノ岡山とかツエーゲン金沢とかカマタマーレ讃岐とかグルージャ盛岡とか、そういうクラブだ。この中には厳しい地域リーグの争いを勝ち抜いて、現在すでにJFLで活動しているクラブもある。いや、それどころかFC岐阜みたいにもうJFLも通り越してJ2まで勝ち上がってきたクラブまである。ほとんどリアル「サカつく」の世界。
●FC町田ゼルビアっていうクラブがあるんすよ、東京都町田市に。で、当時、東京都1部リーグにいたこのクラブに、地元在住の会社員小森さんという方が惚れてサポーターになる。でも都1部リーグなんて関係者とか家族とかしか観戦に来ない。そんな中で小森さんは「一人サポ」になって熱くクラブを応援する。選手は困惑するんだけど、とにかくサポーターになっちゃう。日立ビルシステムっていうチームにもやっぱり同じような「一人サポ」がいて、「一人サポ」対決が実現したっていう話もおかしいが、とにかくその小森さんは応援するだけじゃなくて、じゃあ選手に水を配ろうとか思いついて、スーパーで配ってる無料の水をもらって会場で選手に手渡したりしはじめて、ついにクラブの代表から熱烈なオファーを受けて事務局長に就任してしまう。そこから会社員をやりつつも、持てる時間とお金をすべてFC町田に注ぎ込むようになる。やっぱり会社を辞めて専業にならなきゃダメなのかなあ、でも辞めちゃうとクラブで雇ってる人たちの給料とか自分の給料とかどうやって払うんだ、とか悩んだり。ああ、スゴいリアリティ。この手触り、現場の「サッカー」って感じがズシリと伝わる。伝説だ。
●J1やスペインリーグじゃなくて、今そこにある伝説。あなたもきっと地元クラブの試合を見たくなる。

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