March 23, 2009

キス特集

The Poisoned Kiss●このページの右下からも直リンクしてるネットラジオ局 france vivace をなんとなく聞いていると、ヴォーン・ウィリアムズの The Poisoned Kiss というオペラが流れてきた。この曲は知らないなあ。ヒコックスが指揮したChandosのCDだ。このオペラ、なんと訳せばいいんだろ。「毒入りキス」それとも「毒の口づけ」? 重厚な感じで「毒の接吻」でもいいか。いや、それだとなんだか30年位前の翻訳ミステリみたいだ。日本語的には「毒の~」ってのはぎこちないから避けたいところ。「毒キノコ」とか「毒婦」という言葉はあるが、「毒のキノコ」「毒の婦人」とは言わない。じゃあ、「毒キッス」か(笑)。
●で、このオペラに続いて、ストラヴィンスキーの「妖精の口づけ」が流れた。そうか、この番組は「キス特集」なのか! なかなか冴えた選曲ではないか。そしてもう一曲続いたのだが、何が来たか。
●次の曲は、サティの Valse du "Mystérieux baiser dans l'oeil"だった、といってもフランス語はさっぱりなのでよくわからん、何のワルツだろう、カッコの中を英語に機械翻訳すると Mysterious kiss in the eye と出た。これはどう訳すんだろうなー。国内盤のCDなどを軽く検索してみると、「眼の中の神秘的な接吻」のワルツというのがあった。が、「眼の中の」というのが日本語には聞こえないし、意味がわからない。日本語の語句を正直になぞると、目の中にキスが見えるというのだから、たとえば自分が相手にキスをしようとして顔を近づけたら、相手の瞳の中に自分のキスが映っていたということだろうか? それならたしかに神秘的だ。でも考えすぎという気もする。
●別の訳で、「目に意味ありげにするキス」のワルツ、という題も見つけた。これはスッキリと意味が通る。キスが Mysterious というのは、どう考えても「神秘的」というような大げさなニュアンスではなく、「いわくありげな」「意味深な」程度のものだろう。ただ、「目に」というのは、まぶたのあたりにキスをするということでいいのかな、いいような気もするけど、自信はないな。
●にしても、どういう光景だろう。サティの時代のフランス人が日常的にどれくらいキスをしていたかわからないが、まあ、親しい人同士の挨拶としてはしたんじゃないか、フランス人だし。たとえば友達連中がみんなで会って、「こんにちは」か「さようなら」の場面で、ある男女が挨拶のキスをするときに、普通なら頬を右に左にと何回か寄せ合うところを、ささっとそのうちの一回を目にキスをした、とか。前に二人だけで親しい時間を過ごしたことを示していて、ほどよく「意味ありげ」な感じ。違うかなあ。仮に合っているとして、目にキスをしてくるほうは女性だろうか、男性だろうか。曲は男性視点で書かれているだろうから、それによっても微妙にニュアンスが異なる。自分でしたのか、されたのか、あるいは第三者として他人のキスを見たのか。よくわからん。いずれにせよ、どういう光景かぜんぜんイメージできてないのに日本語の訳を作るのはムリだよな~。
●はっ、いや別にワタシが考えなくてもいいのだった。こんど誰かフランス方面に強い人に尋ねてみよう。

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