June 8, 2009

鬱々と「暁の歌」~アンデルシェフスキ

●少し前にムストネンがN響でアンコールとしてシューマン「暁の歌」から一曲弾いてくれたんだけど、一ヶ月も経たない内にまた「暁の歌」。サントリーホールのピョートル・アンデルシェフスキのリサイタル。プログラムからしてすばらしいんだが、シューマン「暁の歌」、バッハのパルティータ第6番ホ短調、休憩をはさんでヤナーチェクの「霧の中で」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番変イ長調。ああ、これは鬱々として聴くには最強。
●プログラムに注意書きの紙がさしはさまれていて、「暁の歌」はシューマンが精神を病む直前に完成させた最後の作品だから、拍手はご遠慮くださいみたいに書いてある。それだけでホントに拍手しないお客さんの行儀のよさに驚く。
●ピアノに向かってブツブツと独り言を繰ってるとそれがぜんぶ詩になってた、という演奏。満喫。特に後半。
●機嫌の良し悪しとは無関係に放っておくとナチュラルに鬱々しがちな人っているじゃないですか、根っこが暗めの人。つまりワタシなんだけど(笑)。そういう人間の魂をグワシッとつかんでくれる音楽をたっぷり浴びて、一通り聴き終わった後に思ったことは、もう一回最初からぜんぶ弾いてくれないかなあという無理難題。これから梅雨入りもするだろうし、雨の日にジメジメしながら引きこもってCDで聴くか。
●カーネギーホールで弾いたライヴCDは微妙に東京と曲目が違ってて、バッハのパルティータが第2番で、シューマンが「ウィーンの謝肉祭の道化」。ヤナーチェクとベートーヴェンは同じ。「ウィーンの謝肉祭の道化」は、「あまりにも自分の内面に近すぎるから、今後はもう演奏しないだろう」って言ってるそうで、それもなんだか饒舌な気がするけど、カッコいいからいいか。

トラックバック(0)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.classicajapan.com/mtmt/m--toraba.cgi/1184

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「ウズベキスタンvsニッポン@ワールドカップ2010最終予選」です。

次の記事は「「路上のソリスト」/「クラシックかわらばん」」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ