November 30, 2010

カンブルラン指揮読響、芸劇名曲シリーズ

●週末に出かけた演奏会。27日(土)にカンブルラン指揮読響(東京芸術劇場)。これはもう演目を見た時点からその果敢さに圧倒される気分。ドビュッシー~コンスタン編の「ペレアスとメリザンド」交響曲、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(ヴィヴィアン・ハーグナー独奏)、マーラー~ブリテン編の「野の花々が私に語ること」(=交響曲第3番第2楽章)、シューマンの交響曲第4番(初稿)。これに「名曲シリーズ」って名前が付いていて(笑)すばらしすぎる。昨日同プロがサントリーでもあったみたい。
●前半のほうが編成大きくて、どんどん小さくなっていくようなプログラム。このブリテン編曲のマーラーって、巨大編成の曲を二管編成に縮小するっていう趣旨の曲なんすね。こんなのがあるなんて知らなかった。これだけマーラーの音楽が聴衆に浸透した現在、作曲家の意に反してサイズを小さくする意味ってあるのかって疑問があるかもしれないんだが、案外実用的なところであるんじゃないかっていう予感がしている。二管編成ならできるよ、的な何らかの事情とか。
●シューマンの交響曲第4番初稿もおもしろかった。シューマンは第1番「春」を書いて、その後、2作目の交響曲としてこの初稿を書いたが出版を拒まれ、10年経ってからデュッセルドルフで改稿して「第4番」として出版するに至った。第1楽章の序奏から主部、第3楽章から第4楽章への移行部といった現行版の第4番でいちばん楽しみな部分が初稿ではあっさりしていて、これはどう考えても後年の改稿は大成功だったなと再認識。10年でめきめき腕を上げてるじゃん、ロベルト、みたいな。しかもどうも初稿だと第4楽章の提示部のリピートがないっぽいんだけど、それって反復感不足してるぜ、どうして繰り返さないのか謎すぎる……と思ってたら、ブラームスは現行版と比べて初稿のほうを高く評価したんだとか。えー、マジっすか。凡人にはわからん。
●一夜のコンサートとは思えないくらい盛りだくさんの内容でお腹いっぱい。聴衆にこれだけ気前よくネタフリしてくれるカンブルランのサービス精神の旺盛さに感謝するしか。

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